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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
3章 --刹那を刻むアルヒェエンゲル--
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背水の防衛戦 1

「全員伏せろ、そしてこの場から離れろ!」


 叫ぶグリフィンとミカの操作で立ち上がるオートマトン。

 突然ついた明かりに襲撃者たちは焦点が合わず攻撃をやめて隠れるが、標準を終えた大砲が逃げ惑うグリフィンたちに向けて放たれる。

 空気を裂く音だけが響き盾にしていたオートマトンを三機ほど貫き、倉庫の壁に到達した。


「なんて、威力だ」

『動力から電力を得てコイルから自壊を生み出してのガウス加速器、コイルガンです。発射時は電力を砲台に移しているようでその間の方向転換はできないようです』


「防衛兵器なら大した弱点じゃないな、自分で歩く野砲ということか」


 続いて第二射、動き出したオートマトンの破壊へと標的は変わり障害を薙ぎ払う。

 倉庫何十機ものオートマトンがいるため、動き出したそれらの影に皆は隠れ襲撃者たちは動き出したオートマトンを近いものから順に破壊し始めた。


「発射間隔が短いな」

『向こうは火薬もガスも使っておりません。砲身も過熱しにくく、弾さえ供給されれば何発でも連射できるでしょう』


「弾切れはいつになりそうなんだ」

『発射されている弾は重さ800グラムの針状の物質、弾は豊富なようでおそらくこの戦いでの弾切れはほぼないでしょう。榴弾でない為直撃しなければ問題はありませんが、破壊されたオートマトンの破片が飛び散って危険です。奥へ進んでください』


 皆に指示を出しグリフィンの作った防衛陣地の背後の壁が動き出し奥へと続く道が開く。


「また壁が開いたか。ここはずいぶんと隠し扉が多いな」

『この場所はもともと人が来る予定の場所ではない為です。本日のように敵が侵入してきても、私のメインシステムの防御のためです』


 動けるベニユキたちが戦闘不能なものたちを抱え、新たに開いた通路の奥へと入っていく。

 通路の奥へと消えていくグリフィンを見届け全員がその場から離れると、ミカはオートマトンをあらかた破壊した襲撃者たちを見ながら光の粒となって消える。




 しばらくして一斉に動き出したオートマトンを破壊し尽くした襲撃者たちは一ヵ所へと集まり、自らが破壊したオートマトンの残骸を踏み越え新たにできた奥へと続く通路を見た。


「砲台が損傷し動きが悪くなった。まだ奥があったか、すぐに追うか?」

「深追いは危険だ、また待ち伏せを受ける。一度体勢を立て直す。ウリに連絡を取る、休め」


 リーダー格の襲撃者は仲間に指示を出し機械の獣と蜻蛉型のドローンの準備をし各々傷の手当てを始める。

 そして腕に巻いた装置に話しかける。


「ウリ、俺らの銃が当たらないがどうなっている。こちらに犠牲が出ているぞ」


 腕に巻いた装置は声に反応し光が点滅し、女性の声で返事が返ってきた。


『この箱舟3号のシステムを奪うのに失敗しました。向こうはこちらの襲撃の備えていた様子で私が手こずってしまい、その間にこちらのとりつく隙間がなくなってしまいました。さらにシステムの防衛中にこの私のシステムに干渉し銃のオート標準を狂わせている様子。ガブやラーファと違いミカは思った以上に厄介な相手、次の侵入口を見つけ改めて電子戦を仕掛けます。それとここからは補助を切ります。こちらのサポートを必要としない新しい武器を送りましたのでそちらを使って戦闘を継続してください』

「増援はどうなっている、まだ待たせるのか」


『ラーファからの増援ももうじき到着します。しかし向こうはまだ準備に時間がかかっている様子で、待っているとミカが先にこちらへの反撃をしてくるかもしれません。到着はしますが、増援はないものとして武装が届き次第奥へと進んでください。出ないと完全にこちらが不利になる、現状こちらはこの箱舟の管理AIの負荷をかける程度しかできる手立てがない、あなたたちが頼りです』

「わかった。新たな武器が届き次第奥へと進む。バトルアニマロイドは使いつぶすが構わないな」


 リーダー格の襲撃者が通信を終えると、ヘルメットを剥がされたプラチナブロンドの女性が茶色い髪の女性を髪を掴んで隊長のもとへと引きずってくる。


「それは、ここの兵隊だな。死体か?」

「いいや生きている。こいつから指揮をしている奴を聞き出して、そいつらを優先的に殺した方が早く片が付くと思うけどどう思う?」


「そうだな、ならそっちは任せる何か引き出せたら教えてくれ。ところでルナ、ヘルメットはどうした」

「捕まりかけて向こうに剥がされた、逃げることを優先して取り返しはしなかった。持って行ったのかこのガラクタのどこかに埋まっているのか知らないけど」


「そうか、まだ戦えるな」

「もちろん。私の記憶を取り戻すため私は戦う……が」


「どうした?」

「敵に私を知っている奴がいた、もしかしたら友人か何かなのかもしれない。そいつを見つけたら私が捕まえる、記憶が戻ったとき気分が悪くなるから」


「ああ、余裕があればそうしろ」

「とりあえず、彼女の尋問をしてくる。拘束するのにアニマロイドを借りるけどいい?」


「ああ、新たな武器が送られてくるまで時間がある好きに使え」

「戦った感じ、戦闘には慣れていない感じだったすぐに口を割ると思う」


 そういってルナは茶色い髪の女性を引きずっていく。


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