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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
3章 --刹那を刻むアルヒェエンゲル--
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暗闇の一閃 1

 突然開いた隠し扉の先は奥へと続く通路となっていて、ベニユキたちは戸惑いながらも奥へと進んでいく。

 武器の入ったコンテナを乗せたドローンは来た時と同じように壁に空いたドローン用の出入り口に消えていっていた。


「この通路はどこに続いているんでしょう」

「戦う用のスペースでもあるのかもな?」


 緩やかな下り坂でついた先は広い倉庫だった。

 足をたたんで機能停止しているオートマトンが整列されて並んでおり、その間を一列になって進む。

 ベニユキは天井に向かって話しかける。


「なぁミカ、こいつらは動かないのか」

『このままこの箱舟のシステムが乗っ取られてしまうと、ここにあるオートマトンはあなた方を襲いだす恐れがありますので倉庫内の物はすべて燃料と弾薬を抜き電源を落としております。残念ながらオートマトンでの皆様の補佐、戦力の強化は今回できません』


 天井は高く上に上るための梯子や細い鉄骨の足場、兵器を搭載させたり回収した資材を移動させるためのクレーンなどがあった。


「厳しい戦いになりそうだ。敵はもうきているのか、今どこに居る?」

『ここに侵入されるのは確実で、今はまだ抑え込めておりますがあまり時間がありません。防ぎきれない為、侵入個所はエレベーター乗り場へと誘導、この場所への侵入口はここだけです。ただ、侵入者は人のほかに何かの反応があります』


「なにかってなんだ?」

『わかりません。機械なのか怪物なのか、人ではないということだけです』


「ペット連れで襲ってくるのか」

『まだ何かわかりません。……きます。私はシステムを取り戻します、すべてが終われば相手は降参すると思われますのでそれまで耐えてください』


「時間を稼げばいいのか?」

『できるのならば敵の完全排除が望ましいです』


 その声を最後にミカの声は聞こえなくなり施設内が激しく揺れ、皆は近くの物にしがみつく。


「来たか」

「相手の武器は、あの光る剣でしょうか?」

「俺らと同じように世界を回っているのだとしたら、もっと高性能な物かもな」


 時間はなく倉庫内に広がりオートマトンの影から通路の方を覗く、何人かは急いで梯子を上り高い場所へと向かう。

 いきなりの戦闘にまだ心の準備ができておらず大きく深呼吸をして銃を握る。


「なにか音が聞こえたな、向こうが乗り込んできた音か」


 施設内全ての明かりが消えベニユキたちが進んできた通路の奥から複数人が走ってくる足音。

 相手は今までと違い怪物ではなく人。

 誰もが引き金に指をかけるのに躊躇する中、グリフィンとベニユキ、そのほかにはアイン、ウーノンが引き金を引いて向かってくる敵に攻撃を始めた。


「なんだ、四角い?」


 向かってくるのは頭からつま先まで黒い装甲のついた強化外骨格で身を包んでいて、彼らは皆しゃがんだ人が一人隠れるくらいの大きさの盾を持っていた。

 放たれた銃弾はその盾に弾かれ火花を散らす。


「盾を持って向かってくるぞ、どうした! 弾幕を張れ、プレッシャーをかけろ」

「でも、だって、人です、よ」


 銃を持つが物陰に隠れたままエレオノーラが頭を抱えて答える。

 ウーノンが手榴弾を投げると一人がそれに覆いかぶさるように飛びつく。

 バグムッと爆発にしては小さい音が響き覆いかぶさった者のしたから煙が出て、付近にいる敵の被害を一人の犠牲で受ける。


「こっちより向こうの方が訓練された兵士だぞ、まったく迷いがない」

「せっかく、待ち伏せだってのに火力が足りないか」


 銃撃を続け相手の反撃を抑えているが縦で攻撃を防ぎながら、あいてはどんどん距離を詰めてくる。

 オートマトンが並ぶ倉庫の中へと入ってくる前にグリフィンは対戦車ロケットを担ぎ戦闘を歩いてくるものの背後を狙ってロケットを放つ。


 爆発は先陣を進む者たちと後衛を分断し盾を落とし倒れた前衛の敵に銃撃を浴びせる。

 数発弾かれるが装甲版を割り中身を撃ち抜き息の根を止めた。


「硬い、こんなのが何人も来るのか」

「ベニユキさんは、躊躇なく撃てるんですね」


「ああ、元の世界でも経験は少ないが要人の警護や救出任務で必要があれば殺めている」

「……私は」


 ビーと甲高いモーター音のような物が聞こえ始める。

 ロケット弾の次弾を装填していたグリフィンは次を警戒し大きな筒を肩に乗せ構えた。

 爆炎の中から飛び出してきたのは数機の機械の蜻蛉。

 稲妻のようにカクカクとした動きで空中を飛び回り赤と緑の光を点滅させながら暗い倉庫内に広がる。

 人ではない為、ブラットフォードやギルベルトたちは銃を撃ち撃ち落とそうとするが素早い動きに翻弄され一機も落とせないでいた。


「偵察機か、こちらの布陣を見て攻め込むきか」


 明かりを消したため暗く蜻蛉の腹にあたる部分の先には一発だけ手榴弾がくっついていることに気が付かず、人が固まっている場所の真上で蜻蛉はそれを切り離す。

 何かが落とされたことに気が付き何人かは逃げ出そうとするが間に合わず、爆発音とともに銃声の数が減る。


「何だ自爆するのか!?」

「爆弾を搭載してる、固まらないで散らばって!」


 悲鳴やうめき声、指示などが入り乱れ混乱しているうちに人影は倉庫の中に入り込んできた。


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