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竜なる少女と回復士  作者: kanten
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第十一話「カサンドラ王国にむけて」

物価などの辺りは大学で専攻しておらず、無知であるため初投稿です。

「そうと決まったら早速準備して出発するぞ! 善は急げっていうからな!!」


他人を流させる時は勢いが大事だ。俺は爽やかさマックスの大声を張り上げる。


「………わかった。じゃあ早速行こう生ゴ…ルーカス。」


「おう、とりあえず俺のあだ名生ゴミにすんのやめようか!」


通用しなかったか!さすがはB級冒険者といったところだろう。あと、生ゴミという蔑称だけは勘弁してくれ。生きているゴミと解釈するなら俺にギリギリ当てはまってしまう。定着しないうちに早めに訂正するのが吉だろう。

それはさておき、カサンドラ王国に向かうための準備をしなければならない。一週間という長旅をしなければならないため、寝袋や日持ちする食料をしっかり揃えないと道中で凍えたり飢え死にしてしまうのだ。クランにいたときにそういう備品は与えられていてかつ脱退するときに回収されなかったのでそこらへんの出費は考えなくてよいのがありがたい。それらをコイツに要求していたら、生ゴミというあだ名で固定されるのは避けられないだろう。危なかった…!


「とにかく、備品は足りてるから食糧を調達するのと馬車の手配をするか。お前馬車使ったことあるよな? アレグリアからこっちに来たんだし。任せていいか?」


「………わかった。じゃあそっちはこれで二人分の食糧をお願い。」


「あいよ。ってちょっと待てぇ!」


アイラは了解の意とともに俺に金貨一枚を渡してくる。あまりに自然だったため普通に受け取ってしまったが、どんだけ俺に買わせる気だコイツ!?


「多すぎだろコレ! お前どんだけ大食漢なんだよ!?」


冒険者向けの乾物などは安く、腹持ちがよいものが多い。そういうのを売っている店は冒険者が貧乏なことを知っているから。金貨で買おうとすると、一か月分余裕でいける。それを一週間分で考えるとすると、コイツは俺の2倍食うってことか?はんぱねぇ。


「………大食漢? そんなことはない。アレグリアではこれが普通だった。」


しかし俺のツッコミは真っ向から否定される。いやいや、国ごとに胃袋の差なんてないから。と言おうとして気づいた。そうか。アレグリアとここには胃袋の差はないが、物価が違うのか。あちらはここより裕福な分物価が高くなる傾向にある。それは冒険者用の食糧であっても例外ではないのだろう。

俺は納得するとともに、絶対アレグリアには行かないようにしようと決意を固めた。行ったら何にも買えず飢え死にまっしぐらだ。


「こっちはアレグリアほど物価高くないから、これの二分の一もいらねぇ。銀貨を5~6枚くれ。二人分だったらそれで充分足りる。」


「………そう。道理で宿があんなに安かったんだ。じゃあ、はい。」


と、格の違う納得の仕方をして俺の手元にあった金貨と銀貨を交換した。初めて手に持った金貨が離れていく事に若干の寂しさを感じつつも、アイラと別れて食料を買いに店に向かう。さて、俺のことを白い目で見てたアイツに一泡吹かしてやりますかね。


「おばちゃん! こいつの値段なんだけどさ。—もうちょい安くなんないか?」


俺は売店の女店主に笑いかける。さあ、戦闘開始だ。




「よし、こんなもんで充分だろ。」


しばらくして俺は一週間分の食糧を確保し集合場所に戻ろうとしていた。しかし、今回はうまく値切れたな。普通であれば安値で売られているものを値切ろうとはおもわない人が大半だろうが、俺ほど貧乏になると話は変わってくる。粘って粘って定価の一割引きという最高の結果を手にすることができたわけだから、俺が使ったこの30分は無駄ではなかった。


「………お帰り、遅い。」


集合場所に到着すると、既に帰還していたアイラからお小言をもらう。手続きをさっさと済ませて早めに戻っていたらしい。機嫌がよくなさそうだが、俺のベストを尽くした結果を見れば手のひら返しするだろうな!


「おいおいそんなこと言わないでくれよ。俺は最高の結果を持ってきたんだぞ?」


「………最高の結果?」


俺がもったいぶって話始めると、アイラは訝しげな視線を送ってくる。だがそれもこの一瞬のみ。これを聞けば天地がひっくり返るほど驚くこと間違いなしだ!


「おう!いつもは失敗するんだが、今回は一割もの値引きに成功したんだ!」


どうだぁ!ひれ伏せい!!


「………バカ?」


馬鹿にされた。なぜだ!!??


「………あなたのお金じゃないんだし、私はお金に余裕があるんだから、あなたが値切る意味がない。」


なんかかわいそうな目をしてそう言われた。てか諭された。しまった。いつも値切っているからついその癖で…!確かに他人の金で値切る意味はほとんどない!俺の30分は無駄だったのか…。


「………まあ、私のお金も無限ではないし、節約できるところで節約するのは間違いではないから。とても嬉しい。」


俺のあまりの落ち込みように慌てたのか、アイラから生暖かい目をしながら優しくフォローを入れられる。だが、その理由まではわからないようだ。金をうまく節約したつもりが別の物を浪費してしまっていたのが悔しいのだ。だが、俺の金を消費しなくていいということを理解した今、もう過ちは犯さない。俺は節約の神となる!


「………なんかバカっぽいこと考えてることだけはわかる。」


更にバカにされた。なぜだ!!!???


読んでいただきありがとうございます。良ければ感想や評価お願いします。

なお、第十二話は8月30日の予定です。これ以降毎週月曜投稿です。

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