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竜なる少女と回復士  作者: kanten
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第十話「手がかり」

自分もお金ないので初投稿です。

「………手がかり?」


「ああ、液体ってだけだと絞るものも絞れねぇ。手がかりじゃなくてもとっかかりすらないとお手上げなんだ。もっと何かないか?」


さらわれた際に注入したという何かが影響しているのは明白だし、調べれば何か出てくる可能性はある。正直俺もどういうメカニズムであの腕が発現するのか知りたいし。だが、液体って情報だけだと期待値が低すぎる。せめてもう少し何か欲しい。


「お前、液体入れられたときのこと何か覚えてねーのか? それの色は? 入れられたときにそいつらは何か話していなかったか? そいつらの顔は? その脱出を手引きした奴から何か言われなかったのか?」


「………………。」


かなり頭を悩ませているようだ。結構前みたいだし、記憶をたどろうとすると必ず地獄の体験が思い出されるんだ。なんだか申し訳ないことをしている気分になる。だが現状、コイツの記憶しか手がかりがないことも確かだ。何かないか?


「………あ。」


「お? なんか思い出したか?」


「………うん。」


なにか記憶から引っ張り出せたようだ。それが腕の正体に関する何かであることを願って続きを促す。


「確か私に注射を刺していた人が「竜の因子が予想以上に体に馴染んでいるようだ」とか言っていたような…。」


「竜の…因子?」


「………うん。聞き覚え、ある?」


「いや、まったくないな。竜はわかるが。」


「………それは人間だったら誰でも知ってる。」


竜というモンスターが存在することは、この世界に知らないやつはいないだろう。人類を脅かすモンスターという存在において頂点に君臨する怪物だ。体は山と見まがうほど大きく、咆哮をすればはるか遠くの民家の窓ガラスが全て割れる。最強は何かという話題はこいつらのためにあるようなものだ。万が一竜の素材がオークションに出るようなことがあったらささくれであろうと金貨一千枚では足りないくらいの値段が付くに違いない。それほどまでの生物なのである。そいつの何かがアイラの中に入っているというのか?


「その情報から考えると、お前のその腕は竜の物である可能性が高いな。」


確かに腕だけであそこまでの威圧感がある生き物はそうはいない。竜のものであると言われると納得できなくもない。因子というのは、竜から採取した何かであろう。しかし、竜からか。


「………竜から何かを奪えるとは考えづらい。」


そうなんだよな。因子だか何だか知らんが竜の所有物を奪える奴なんてこの世に存在するのか?A級ですらたくさんの犠牲を払って撃退が関の山なのに。基本人間が住めない地で生活しているらしいから糞の採取すら厳しいだろうし。コイツをさらった組織とやらはそんなに強い奴がいるのか?それであればどこかで噂くらいは聞きそうなものだが。

…そういえば、竜の素材を使った武器を所持してるやつがA級にいたような。何て名前だったか。


「………カサンドラ王国S級冒険者、フィーア・カストル。」


そうだ。数年前、竜と単独で交戦し撃退したことで一躍時の人となり、S級に上がったという凄まじい経歴を持つ「七賢人」が一、フィーア・カストルだ。アタッカーを思わせる身のこなしと、世界最高峰と謳われる強力無比な水魔法が持ち味の世界最強の一角を担うウィザードで、その名声はここウェルキア王国にまで届いている。確かあいつが少し前に「私は竜の素材を使った杖を所有している。」と言ったことで話題になったんだよな。杖はウィザードが魔法を放つときその手助けをしてくれるもので、魔力との親和性が高い素材でできたものほど強力なサポートをしてくれる。竜はそこも完璧らしく、彼女がA級最前線で未だに活躍しているのはその杖の影響が大きいと言っていた。アイツならもしかしたら…。


「………因子については知らないと思うけれど、竜については何か聞けるかもしれない。訪ねてみたい。」


可能性はありそうだな。手がかりが少ない現状、わずかな可能性があるなら賭けてみるべきだろう。カサンドラ王国はここウェルキア王国から馬車で約一週間かかるくらいの場所にある水源が豊富な国だ。噴水など水に関連する建造物がたくさんあり、それらの美しさから、「水の都」と称される。

ちなみに、フィーアに限らずカサンドラ王国で活躍するウィザードは水に魔法の使い手が多いらしい。何か関係性はあるのだろうか。


「ここでうじうじ悩んでいるよりそいつに聞いたほうが良さそうだし、行ってみるか、カサンドラ。」


「………よしきた。」


アイラは気合十分といった感じで頷いた。カサンドラには一回行ってみたかったし、このチャンスは活かすべきだろう。そうと決まれば早速準備だ。長い道中には必要なものがたくさんあるので準備せねば。あ、そうそう、今後旅を共にするコイツに言っておくべきことがあるんだった。あぶねぇあぶねぇ。


「ちょっと聞いてくれ。お前にはパーティを組む「仲間」として伝えなきゃいけないことがあるんだ。」


「………なに?」


ちょっとソワッとしながら返答してくる。仲間を強調したのが功を奏したのか、コイツはテンション高めだ。今ならこれを言っても大丈夫なはず!


「俺、金ないんだ。交通費、食費、宿泊費のもろもろはお前持ちでよろしく頼む。」


「………。」


ゴミを見るような目をされた。だってしょうがないじゃないか。金ないんだもの。


読んでいただきありがとうございます。良ければ感想や評価お願いします。

なお、第十一話以降は毎週月曜日に投稿したいと思います(第十一話は明日の予定)。

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