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とある勇者の強くてニューゲーム  作者: ヤン・デ・レスキー
8/14

ノエルの料理と三つの過ち 又は、三つの偶然

ノエル視点です。




ーーーーーーーーーーーー


発行日:結構前


標的: はじまりの国のリト


データ:

 勇者である確率:50%

 勇者になる確率:大

 基本情報:ンー、なんか弱そうだな。ヒョロガリってところか?なんでか知らねーが勇者っぽいらしいぜ。まあ知らねえけど。苦手な物と言えば、お母さんが怖いらしいぜ!!ニンゲンとは大違いだな!大体隣町の酒場で酒を浴びてるらしいぜ!とんだ飲兵衛ってやつだな!


 ー詳しい情報・リアルタイムの情報は魔界鏡でー


ーーーーーーーーーーーー




 ノエルがリトへ最初に接触する前夜の事。ノエルは自身に割り振られた部屋でリトの情報を改めて見直していた。


「ヒョロガリか…寝首をかくのが一番楽そうね……。あと何人殺せば終わるかな…」



 ノエルにとって、殺しは命令(仕事)でしか無かった。凄惨な殺し方にも楽しい遊び方にも興味は無い。楽に殺せれば一番であった。悲鳴や断末魔が聞こえないなら尚のこと良い。




 そんな彼女のミスは、標的リトの最新情報を確認しなかったことから始まっていた。






◇◇◇




「…どうしよう」



 リトとファーストコンタクトを取ったノエルは焦っていた。なんと料理を作ってくれと泣き落としに掛かられたのだ。

 しかも、ヒョロガリだと思っていたのに実際見てみるとレベル60くらいはあった。

 魔界鏡の嘘つき!!ノエルはどこへもやれない苛立ちをリトの情報が書かれた紙にぶつける。紙は一瞬でただの灰と化した。



 とりあえず標的リトとコンタクトを取るには料理をつくるしか無さそうだ。料理を持っていかなかったら恐らく門前払いされるだろう。かなり面倒だが近づくにはそれしか無い。


 ふと、良い方法を思い付いた。料理に毒を仕込めば、楽に標的を殺すことができるのでは無いか!


 この作戦だ!と思ったノエルはふと、思い留まる。もし勇者が毒耐性を持っていたら、バレる…そうするとノエルはもう勇者を殺すことが出来ないだろう。


 殺すなら、徹底的に殺す。チャンスは一度きりだ。ノエルは耐性があるかも知れない毒ではなく、呪いを使うことにした。





 調理法は簡単だ。料理を作っている間に呪いを流し込むだけ。とりあえず即死する呪いを込めておいた。それだけでは足りないかも知れないので、箪笥の角に足の小指をぶつけると即死する呪いや、深呼吸をすると即死する呪い…ありとあらゆる原因で即死する呪いを込めておいた。



 見た目は美味しそうな、でも見る人が見れば失神するようなインペリアル子豚の角煮ができた。手間取らせやがって、あの元ヒョロガリ。





 ちなみに、ノエルはミスをまた犯した。ノエルの二つ目のミスは、勇者には呪いが効かないことを忘れていたことだ。






◇◇◇





(コイツ…私の呪いを完食したわ!呪いが効かないなんて、そんなこと有り得ない…。

 勇者だ…コイツは勇者なんだ…。)



 見事ノエルの料理を完食したリト…しかも、ノエルの料理がずっと食べたかったと言うリトはノエルから見て、明らかにおかしな奴だった。ふと、リトが言っていた言葉を思い出した。



「オカンの料理だぁ…いや、オカンの料理以上だよノエル…やっぱりノエルは最高だ…!!」




(オカン…?コイツのお母様のことかしら?コイツのお母様も料理に呪いを…?

 ずっと食べ慣れていたから耐えられた…?いいえ、まず最初に食べ出した時、それなら死んでいるわよね。

 そもそも、コイツには呪いが効かないし勇者ってことで確定でしょう…。はあ、仕方がない、実力行使を…)




「…ノエル、ありがとな。ノエルのメシが食えて俺は幸せだ」




 一息ついたであろうリトは、とても幸せそうな笑みをノエルへと見せた。






(…やっぱりやめた。まだ殺せる機会はあるし、私の呪いが勇者に効かないのなら効くようにしてやる)





 ノエルの三つ目のミス…それは、もう殺しに疲れきっていたことだ。

 この人は殺したくない、と誰が叫んだのだろうか。ノエルの中のどこかから聞こえたその声は、ノエルの心へと小さな波紋を広げた。










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