ループ2:勇者リト レベル60 ①
「…っ!」
よお、また会ったな。俺はリト、勇者って職業に従事している。御託は良いからさっさと話せ?まぁそう焦んなって、ちゃんと話してやるからよ。
二度目の巻き戻りで少し考えたんだ、魔王の手下であるノエルのそばに居るにはどうすればいいかって。ノエルは恐らくだが、魔王城まで半分の距離になると俺を殺そうとしてくる。だからと言って、モタモタしているとそれはそれで殺されるだろうな。
だから、俺は最速で魔王を倒すことにした。ノエルに殺される前に魔王を倒して、俺が魔王になる。今の俺なら魔王城まで半年くらいで行けると思ったからな。
とりあえず魔王城まで駆け抜ける。まぁ、この作戦で上手く行く気はしなかったんだが…。また次の巻き戻りでの目標みたいなものだ。
転移魔法で魔王城まで行けたら良いんだが、アレはどうも行ったことのある場所にしか使えないらしい。過去に巻き戻った「俺」は魔王城へ行ったことがない。説明が難しいんだが、つまりそういうことだ。
あとは…ノエルに焼き殺されない程強くならなくてはいけないな。前回は事故みたいな感じでノエルは死んじまった。
まあ、色々考えてたけど、最終的に全てダメなら…ノエルをどっかに閉じ込めて自由を全て奪うぐらいしか無いな。まぁこれも俺がノエルより強くならなきゃいけないんだがな!
時々ノエルのステータスをこっそり見てみたんだが、毎回見る度に変動しまくってたんだよな。
俺に意識を向けている間は「レベル1の村娘」で、向けていない時は「レベル13の魔法使い」、眠っている間…正確には、寝言を言ってる時は「レベル66の魔女」と来た。
ちなみに、格上のステータスは見ることが出来なくて、自分と同じレベルで表記されるんだ。まさに一寸先は闇って感じだな。つまりノエルは俺よりまだまだ強いらしい。しかも料理が上手くて可愛い。
ちなみにヤンとセイは今回、ノエルを仲間にした後、すぐに仲間にした。
「なんで俺たちが…?わぁっ、頭を下げないでくれ!!わかった!!仲間になるからよ!!」
とか言ってた気もするな。まぁあの二人も大切な仲間だ。居てくれる方がありがたい。
ん?リトは今、どこで何をやってるんだ?って?
ああ…今、俺はなぁ…
ノエルに痛めつけられているところだ。
また魔王城まで半分のところで仕掛けてきたんだ。辛そうな顔も可愛い。とりあえず耐えれるところまで、耐えてみようと思うと、痛めつけられている間は暇…でなぁ。痛いのは当然、だが、ノエルの魔法を……直に浴びてると思うと、楽しい、気持ちになる。
残りHPがあと1のところまできた。まぁ俺も意識がほぼない状態だが…抵抗はしない。限界まで耐えてみせ…る…。
諦めろ…ノ…エル…おれは死なないし…ノエルもころさない…。
もう、からだが熱いのか、どうかも、わからない。
ノエルの身体が、たおれる。
いや、たおれたのは…おれだ。
酷い顔をしたノエルが駆け寄ってくる。何か必死に叫んでいるようだが、あきらめてくれたのだろうか…?
…やっと、あきらめてくれたんだな…ノエル……。
ゆっくりと閉じたリトの目蓋は、いくらノエルが泣き叫び回復魔法を使おうが…再び開くことは無かった。
『ふぉ、ふぉ、ふぉ!バカ勇者め!死んでしまうとは情けない!
まあ、ノエルを殺さないという強い意思は受け取っておくぞ!
一つ、ワシからヒントをやろう!
力関係はしっかり見極めよう!
お主、料理の時に弱火と強火の違いとか知らんじゃろ!最初は強火で火を通してからあとは弱火でじっくり煮込む…おっと、話が逸れたの!
ノエルは最初から弱火じゃ!火が通っとらんのならだんだん火が通るように火力を強くするじゃろ!
…なに?最初からノエルの方が強いことは分かっていたじゃと?フハハハハハハ!!!
やはりお主は生粋のバカじゃのう!!!
そんな愛いお主に助言じゃ。お主が彼女より強く成らねば、彼女を助けることは難しいぞ。
じゃ、少し前に戻してやるからの〜。じゃあの!』
☆バッドエンド『火炙りの刑』を記録しました!
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