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とある勇者の強くてニューゲーム  作者: ヤン・デ・レスキー
3/14

ループ1:勇者リト レベル44 ①



「はぁ〜…メシが美味くない…不味くはねぇんだが……」



 よぉ。俺はリトって言うんだ。お!知ってるってか?ありがてぇな!まぁ色々あって勇者をやってんだ。過去の世界?に来てから1ヶ月、ずっとこの酒場でノエルを待っているんだが…今日もハズレだな。



 俺はあの後、過去の世界へと転移された。最初はあのクソ国王のイタズラだと思ったさ。でも、自分宅の部屋で2、3日ボーッとしてたら急にオカンが「アンタ!!今から魔王を倒して来な!魔王を倒すまで帰ってくんじゃないよ!」とか言い出してさ…



 俺もう魔王倒したのに?!俺頑張ったし、オカンも「アンタよくやったねぇ!それでこそアタシの息子だよ!まぁアタシなら1ヶ月で倒してくるけどね!カッカッ」とか言ってたじゃないか…!!とか思ってたんだけどよ、それでここが本当に過去の世界なんだって自覚したんだよ。



 そんで、家を追い出された後にクソ国王の元へ行ったら「おー!よく来たな勇者リトよ!話は全て見えておる!まぁ前と同じように手紙も毎週出しとくからの、寂しい時はそれを読んで心を奮い立たせるのじゃぞ(^ー^)」とだけ言われてほっぽり出された。ありえん。前は軍資金とヘボ装備一式をくれたのに…



 まあ、ここが本当に過去の世界と同じなのならば近いうちにノエルには会えると思っているさ。

 にしても、料理が下手なのか?この酒場の店主は…前の世界の酒場よりは味がマシだが、それでもまだまだノエルとオカンの味には程遠いぞ。



 …ノエルは魔王の手先だ。ノエルの任務は俺を殺すこと。俺はノエルの側にいて、ノエルの料理が食べたいし魔王もまた倒さなければならない。俺が魔王になればノエルは側に居てくれるのか?…いや、現実的じゃねーな!




「あ、あの…?勇者様ですか…?」



「!」



 リトがうんうん唸っていると、見慣れた白銀の髪を持つ懐かしい顔がリトを横から覗き込んでいた。リトは「ノエル!!!」と叫び出したい気持ちを死ぬほど抑え、ノエルを見据えた。



「…っ、そうだぜ。勇者の俺になんか用でも?」



「あ、あの、、私ノエルって言います!そのぅ…わ、私を!勇者様の旅に同行させて下さい!」



(ノエルは前回と変わらず、俺の旅に同行したいらしい。俺の答えは一つしかないな…前は断ったが、それでも食い下がって来たし…ノエルが仲間になるのは強制みたいなもんだろうな)



「良いぞ。俺もちょうど仲間が欲しかったところだしな。で、ノエル。ノエルは何ができるのか聞いても良いか?」



 前回は『炊飯係』として旅に同行していたノエルだが、今回はどう出てくるのか。リトは興味本位で聞いてみた。まぁ予想はできてるんだけどな!炊飯係だ!



「あ…ええと、私は魔法が少しだけ使えます!一番得意な魔法は火属性の魔法なのですよ!」



 おっと、これは予想外。せっかくだし、少し掘り下げてみるかぁ?



「……魔女、ってところか?」



 リトのその言葉に、ノエルは一瞬目を見開いた。

 暗転。そして次の瞬間、リトはどこか分からない場所を漂っていた。



(……?!ノエル?!どこだ!ノエル!!)



 リトは経験したことのない状況に陥りパニックになった。しかも、よく見ると自身の身体も何もかもが変な方向にふにゃふにゃと曲がっているではないか!



 リトは大変残念な人間ではあるが勇者でもある。この状況はノエルが何かしたのだと分かった。



 ふと、何かがリトの近くを漂っている。どうやら手紙のようだ。リトが手を伸ばすイメージをすると、その手紙は一人手に開き、リトへと文面を見せた。




ー 勇者リトよ!元気か〜?


 どうやらノエルの魔法で異空間に飲み込まれたようじゃな!


 そこから助かる術をお主は今、持っておらんようじゃな!ふぉふぉふぉ!面白いから助けてやるぞい!時渡で数十分前に戻してやるからの!


 一つお主にヒントをやろう!


 初対面の女の子には、言動を気をつけよう!嫌われちゃうよ!☆〜(ゝ。∂)


 お主、ノエルと大して仲良くなっておらんのにノエルの暗部について核心を突きよったの!馬鹿め!ふぉっ!

 そんなのノエルから直接的に消されるに決まっておろう!ノエルにとって今回のお主は、まだ見ず知らずの危険な男じゃぞ?


 そうじゃ、これも見せてやろうかの!数分前のノエルの心境じゃ!



『あの男…勇者に任命されてからの1ヶ月、ずっと酒場で茹っているって話でしたけど、私の正体に気がついていたのかしら…。


 焦って異空間に放り出したけど、まぁ良いか…戻って来れないでしょうし…


 あのままアレの旅に着いていってたら、途中で消されるのは私の方だったかもしれないな…』



 ほれ、わかったかの?じゃあ戻すからの!

 

 次は間違えるんじゃないぞー  ー




 手紙を読み終わると同時に、リトは異空間から引き戻され、酒場の椅子に座っていた。


 そして隣には、ちょこんと白銀の少女が座っているのだった。















☆バッドエンド『異空間』を記録しました!


これまでのデータを、セーブしますか?


→はい

 いいえ


勇者リト レベル44 セーブが完了しました

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