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転々  作者: 待って
7/7

サクラ

3ヶ月。

3ヶ月もすれば、人は慣れるモノらしい。


この世界。人同士の戦争は滅多にないが、魔物との生存競争は日常である。

戦い、究極の生存の中で人は技術を発展させてきたのはこちらの世界も同じで生活に不便が無かったのは大きい。


巨大都市を繋ぐ転移門。

馬とは比べ物にならない身体能力を持つ魔物を使った馬車モドキ。

大量に保管出来る魔法の鞄は少し高いが店で買えるモノだった。


欲しい物のおおよそは苦労無く手に入った。



英雄として召喚された彼らは、まだまだ育っておらず英雄を名乗り辛い。彼らは自身のグループを『サクラ』と名付けた。



さて、此度は複数召喚されたと言えども、少数の英雄が居たところで人類が救えるか?と言えば、救える。


但し、人類を守るのではない。

人類が都市を核として勢力を築くように、特に強い魔物は広い縄張りを持つ。その魔物を倒せばしばらくはその一帯は空白地帯となり、人が勢力を広げる隙となる。

倒せなければ、今回召喚が実行されたように幾つかの国が滅びる。


英雄とは、確実に縄張り持ちの魔物を倒せる者を指すのだ。



彼ら、サクラは戦闘能力を持つ者を中心に縄張り持ちの中でも弱い魔物を狙って遠征し、そして欠ける事無くサクラの拠点に帰ってくる事が出来た。



「ただいまー」

「お帰り」

「お帰りなさいませ」

「疲れた~」

「それより肉を寄越しなさい」

「あ、別途素材が有ればこっちにも」

「ショウさん、今回の費用とおおよその成果を纏めておきました」

「おう。あ、生産組は素材分はちゃんとツケとくからな!」


比較的弱いとは言え魔物のボスを倒せる能力は有るのだった。そして武具や薬に道具も一流の域に、商人は商人でそれぞれ成長を遂げる様はまさに全員で英雄の姿である。


「正直、タカが一番恐かった」

「うん。向こうの商人相手にサクラの地位も利用してむしりとってた」

実際チームに商人役が居るだけで、収益は3倍程に上がる。


「タカが一番変わったよな~」

「相変わらず何考えてるかわかんないけど、昔の無表情より今の笑顔の方が怖いって」

「よく言いました。ショウ、今回の初遠征の成功のを祝ってパーティーをしましょう。彼らの奢りで」

「オレ等!?功労者だぞ!」

「まあまあ。お金の方はともかく、初遠征成功パーティーはしても良いですね」



わいわいと、彼らは、サクラ達はこの世界に馴染んでいた。









『タカ』

(どうした?ナビ)

『商売ギルドの第3秘書が来る』

(分かった)

ナビゲーターはタカにあらゆる情報を与えた。


ソレは

時に、ナビゲーターに宿る気配察知からの情報

時に、この世界を知る神能力『記録閲覧』の情報

そして、ナビゲーターがかつてこの世界に英雄として呼ばれた時の経験からの情報だった。


「先生……っとケイコさん。商売ギルドから人が来るようです。遠征帰還を聞いて挨拶に来るのだと思います」

「分かったわ。追い返しておくわね」

「お願いします」

皆名前で呼ぶ事になって、佐藤先生もケイコさんと呼ばれるようになった。ケイコさんはサクラの代表で、人の情報を読み取る鑑定能力が有るので対人担当だ。



「……っざけんじゃないわよ!強欲狸は出ていけっ!!」

……御目がねにかなわなかったらしい。









「『次の遠征先ですが、###の森のビッグビートルが難易度的にも良いかと思います』」

他にも、ボスを倒す事で得られる土地資源的に、政治なども絡む。

難易度や居場所などは神能力『記録閲覧』を使えば知ることができる。


能力自体は隠しているが、タカは商売ギルドで情報を集めている事をかくれのみにしている。タカにナビゲーターと言う存在が憑いている事や神能力は事故であって、サクラ内部の格差を作りたくないので隠しているのだ。






サクラ達は過去の英雄とは違う。


一人でボスを倒せる強さはない。

誰が持っても倒せる強さの武具は作れない。

人を鍛える事も、軍勢を指揮する力もない。



それでも、

武具はその都度、きちんと整備され。

道具や薬を豊富に抱え。

衣食住の環境を保つ。


万全の力を発揮出来る戦闘パーティーは、少人数で結果を出した。

サクラは確かに、一つの英雄だった。




誰も欠ける事無く、大きな怪我すらなく。

結果を出した事の一つに、正確な情報が有った事に気付いた者は少ない。

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