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心情の行方  作者: ひろゆき
2/5

 二 ~ 失意の根源 ~

 何が面白いだ。

 ここに来たのには、それなりの覚悟が……。


 

「人間、お前は面白いな」

「……」

「ふん。何を怯えている。その様子では、お前の覚悟はそれほどではなかったようだな。すでに、お前の思考は手に取るように分かっているぞ」

「……なら」

「ーー殺すか?」

「…………」

「殺せるのか? 否。お前には無理だ」

「……ころ…… す……」

「ふん。強がるな。怯えているではないか。まぁ、いい。なら、一つ忠告でもしてやろうか」

「忠告? 命乞いの間違いじゃないのか」

「命乞い? フフッ、調子に乗るな」

「ーーっ」

「まぁ、いい。私に楯突いた褒美だ。私を殺したところで、なんの利益もないぞ。そもそも、お前はなぜ私に殺意を抱く?」

「そんなの決まっているだろ。お前が災いを招くからだ」

「私がか? 鬼だからか?」

「そうだ」

「そもそも、そこが根本的にズレている。私は人間に興味などない」

「よく言う……」

「言葉を詰まらせるほど、殺意は強いわけか」

「……」

「ふん。ならば、私を殺すか?」

「……もちろん、そのつもりだ」

「ならば、のちに後悔するぞ。もう一度言う。お前の考えは根本的に間違っている。私を殺せば、何も残らないぞ」

「何が言いたいっ」

「そもそも、私を見つけたときにひと思いにやらなかった? それは迷いがあるからであろう」

「……それは」

「分かっている。お前を取り巻くのは“不”であろう。それは怒りか。何か大事なものを失った悲しみか?」

「お前に何が分かるっ」

「動揺するのがその証であろう」

「………」

「今度は沈黙か。まったく」

「なんで…… なんでお前は…… お前が生きているから……」

「戻ってはこないぞ、求めているものは」

「ーーっ」

「分かるぞ。意識はすべてな。怒り、悲しみ、その奥底に芽吹いているのは…… そうか、恋人を失ったか」

 言葉が惑わす。

 心では反論しているのに。

 なんで? なんでなんだ?

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