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プロローグ 『白の世界』
はじめまして、霧雨リアです。
処女作なので、多少大目にみてもらえるとありがたいです。
それでは、キリサメメモリーズ一章、
プロローグをどうぞ。
何もなく、静かな白い空間。
何もない、というのは少しだけ間違いだった。
正確には、少年と『人型』が存在するだけで、他にはなにもない。
不意に、片方の『人型』が少女を型取り、何かを呟く。
『■■■■■■■■■■■』
しかし、それは全て不快なノイズによってかき消されてしまい、少年は耳を抑えた。
「 」
少年も返すように何かを叫ぶも、その言葉は声になって出ることは叶わない。
やがて、少年と少女は靄によって包まれ、その姿見を薄くしていく。
『■の過去は、変わらない』
影でしか判別できなくなってしまった少女の言葉が初めて、少年に届いた。
意味を問おうとする少年だが、その前に少年が倒れ伏す方が早く、疑問を抱えたまま、少年は気を失った。
『■■■■……思い出して』
その言葉はこの世界から弾かれた少年にはもう、今は届かない。