三話目
三話目です。
まだまだですね。百物語には。
頑張っていきます!
今回は男性が主人公です。
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ある夏の日。俺と、カズと、テツの3人グループで肝試しをしようという話になった。
俺は、いい年した男3人で何をやろうとしてんだか、と思ったが、同時に楽しそうだと思ってしまった。
何たる不覚。
「リクさー、嫌だ嫌だと言ってた割に意外と楽しんでんじゃん。」
「うるせ。ここまで来たらもうノリだろノリ。」
肝試しとか言いながら単なるドライブ。車の中では、音楽は付けていないが、男3人ではしゃぎ、かなり煩かった。
「カズが言ってた橋ってどこに、あるんだ?」
「この先。俺の友達が言ってただけだし当てになんないかもしれないけど。」
「確か、カーナビが何故か案内しないっていう?」
「そーそー。」
ジュースを飲みながら、暗い山の中を走る。対向車は全くない。
明かりも全くない。車とはいえ、独りでここには来たくはないなぁ。
「あ、あれじゃないか?」
道の先にコンクリート造りの橋が見えた。
特におかしな点はない。見た目も普通だ。
「何もねぇぞ。」
「テツ、行くか?」
「おう!当たり前だ。」
テツがノリノリでその橋に向かっていく。
今になってカズがオロオロしだした。
「なぁに、何もないさ!」
「リク、テツ、やっぱ止めねぇ?」
「ビビりだな、あっはっは。」
いよいよ橋を渡る。曲がった時、初めて対向車とすれ違った。
おお、こんな所でも来るんだな。俺らと同じように、肝試しに来たんだろう。
「普通の橋だな。」
「そうだな。つまんねぇ。」
俺とテツは談笑しながら普通にしていたけど、カズが全く喋らなくなった。
「カズ、起きてるか?」
「お、起きてる。」
カズは震える声で、返事をした。すごい怖がっているが、どうかしたんだろうか?
「あーわかったわかった。戻るか。」
テツがやれやれというようにUターンしようとして、やめる。一車線分しかないから出来ないのだ。
「特に何も無かったな。」
「だな。」
テツが眠たそうに欠伸をする。俺も同感だ。少しの期待を込めて、車の外装とか見たが、何も無かった。
「テツ、リク、お前ら気づいてないのかよ!」
カズがありえないとでも言いそうな顔でこっちをみたが、何を言いたいのか、全くわからない。
「あの橋は一車線分しかなかったろう!」
「そうだな」
「で、最初対向車を見たろ!」
「で、それがど…」
気付いた。対向車は、来れないはずだ……
だったら、あの車は何だったのだろう?