消去
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短編ですが、宜しくお願いします(_ _)
──ピロリン。
メールの着信音が鳴り、ドクン。ドクン。ドクン。と、高鳴る私の鼓動...。
スマホを開きメールを見た途端に、高鳴っていた鼓動が聴こえなくなり盛大なため息が出た...。
「はぁ……。」
来たメールに適当に返信をして、スマホを閉じて放り投げた。私は力なくベットに倒れ込む。
やっぱり来ないのかな…。
そう思った瞬間に、またため息が出た。私は天井を暫く眺めてからゆっくりと目を閉じた。
──ピロリン。
その瞬間に着信音が聞こえた。私は目を閉じたまま、手を動かしスマホを探した。スマホらしきものが、手に当たりそれを掴んだ。
「どうせまた他のひとっ──えっ?!」
画面に表示されてる名前を、見た途端に私は飛び起きた。私はあまりの驚きに、誰からのメールか再度確認した。
それは間違えなく、待ち詫びた人からのメールだった。
「……うそ。まさか、ホントに来るなんて。」
今年卒業してしまった先輩からで、卒業式当日に勇気を出してメールアドレスを先輩に渡した。先輩と私は、委員会が一緒だっただけの先輩と後輩。
メールアドレスを渡しても、メールをもらえるとは、限らない。それでも私は、渡してから一時もスマホを離すことはなかった。
待ち詫びた先輩からのメールだから、なんて返信しようか迷った。でも言いたい事を全部繋げて返信をした。
スマホを閉じて、またベットに倒れ込む。今度は嬉しさとまた来るかもしれないメールへの興奮で、足をバタバタさせた。
すぐに着信音がなって先輩の返信の速さに驚いたが、先輩から、またメールをもらえたことが嬉しかった。
それから途絶えない先輩とのメール。
勇気が出なくて、先輩と話す機会がなかったけど、メールで意気投合した。
それから毎日のように、先輩とメールをやり取りするようになり先輩への想いも積もり積もってく…。
少しずつ、自分にもチャンスがあるんじゃないかと思った。
いっその事気持ちを伝えようと思うほど、自惚れていた。私はゆっくりとスマホを開き、文字を打っていく…。
「ずっと前から好きでした。付き合ってください。」
文字を打っているとメールが来た。
画面に表示されたのは先輩の名前。私は先にメールを読むか迷った。だけど、あとからでも想いを伝えられると思い、先に先輩のメールを読もうと思った。
──あとからでは手遅れだと思い知るとも知らずに…。
私は先輩のメールに返信をした。さっきの告白のメールは下書きフォルダーに、入っているのを確認して、先輩からメールが来るのを待っていた。
──ピロリン。
着信音が鳴り、私はすぐにメールを開く。開くべきでは無かった…。
「俺好きな子と付き合えることが出来た!」
「え…?」
恋愛アニメとかでは、こんなメールが来る前に嫌な予感がするもの。でも私は全く感じなかった。浮かれすぎたんだ…。
次々に先輩からメールが送られてくる。それは全てその好きな子の話。
本当に嬉しそうだ…。先輩の嬉しさが文字から伝わってくる。今まで先輩からのメールが嬉しくて仕方なかった。でも今は──。
ピロリンという着信音が私の耳に入った。私は我に変える。
……何か返信しないと。
そう思い心にも無いことを送った。手が震えて時間がかかってしまったけど。
"おめでとうございます。先輩。"
いつもより長く続いた先輩とのメール。その後も私は淡々と文字だけ打っていく…。
未だにフォルダーに残っている私の告白メール。送ることのできないメールを、いつまでも下書きフォルダーに残しておく必要はない…。
それでも消せないでいるのは、先輩への気持ちが消えずにいるから。消せば自分の気持ちまで、否定されたように思えて仕方なかった…。
でも私はフォルダーを開いた。
【メールを一件消去しますか?】
「消去っと…。」
【メールを一件消去しました】
私はスマホを閉じ、ベットに倒れ込み天井を眺めた。
前もこんな風にして先輩のメール待ってったっけ…?
先輩から初めてメールが、来た時の嬉しさを思い出した。涙が溢れて、眺めていた天井がぼやける。メールを消しても何も変わらない。
私の気持ちまで、消えてはくれない…。
短編でしたが、最後まで
読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
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