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第十二話 神の使徒?

更新頻度あげていきます!


「信じられん。カイン殿、ここまで回復するとは……。改めて感謝をさせてほしい」


 頭を下げるジルに、カインは頭を上げるように促した。


「いえ、私たちは怪我人の治療をするためにこの地まで来たのですから。もっと早く来ていたら……」


 カインは窓から見える砦の外の墓地へと視線を向ける。実際にカインが前線に立つことがあれば、負けることはなかった。

 しかしカインは他国の貴族であり、戦争の前線に立つ資格もない。

 手助けできる範囲が限られていることにカインは我慢するしかなかった。


「それでもカイン殿のお陰で、怪我人は癒えまた前線に立つことができる。自分たちの国を守ることができるのだ。誰もが感謝しているはずだ。まずはゆっくりしてほしい。今はバイサスからも攻撃も落ち着いているしな」

「いえ、今はできるたけお手伝いさせていただき、それから休みたいと思います」


 実際にカインがこうして話し合っている間にも、同行した者たちは各所を回り回復魔法を掛けるために奔走していた。

 カインが持ち込んだマジックポーションで魔力を回復させながら。一人でも多くの命を救うことがエスフォート王国から来た者たちの使命であった。


 夕食を一緒にとることを約束したカインは、同行者たちを手伝い、その日のうちに怪我人全員を完治させることができた。

 後ろをついて回っていたメルも、カインやエスフォート王国からの同行者たちの回復魔法を眺めながら悔しそうに歯を食いしばる。


「もっとわたしに力があれば」


 そう呟くことしかできない。父である獣王からも前線に立つのは禁止されている。今回同行が許されたのも、カインと一緒にいることと、前線に立たないことが厳命されていた。

 実力を認めているカインがいなければ、メルやランダルは前線に赴くことすらできなかったのだ。


 カインは回復を掛け終えた者たちに慰労の言葉を掛け、宿で休むように伝え、一人で前線を守ってきた砦に赴くことにした。

 高さ五メートルほどの砦であったが、すでに幾度とない戦いであちこちが崩れた状態で、いつ崩壊してもおかしくない。

 そんな中、休む暇なく補修にあたってる者たち。

 そしてバイサス帝国の兵士を監視する者たちがその砦の上で敵国をじっと見つめていた。


「前線に立たなければ問題ないよね。回復って、人だけじゃなくて、砦も回復ということにすれば」


 カインは一人の兵士に声を掛ける。


「この砦の補修をしてもいいですか?」

「え、私からはなんとも。許可をもらってきます」


 兵士はそういって駆けて行った。十分位経ってから兵士の言葉を聞いたのであろう、ジルが砦までくることになった。


「カイン殿、砦の補修と聞いたのだが……」

「えぇ、土魔法も使えますので、少しでも役立つかなと思って。すでに怪我人の治療は終わってますから」

「カイン殿は有能なのだな。獣人は基本的に身体強化しか使わないし、それ以外を必要としていないのでな」

「それではすぐに取り掛かりますね」


 ジルから一度砦の上で監視している者たちを下に降りるよう指示してもらい、誰もいないことを確認してから外壁に手を伸ばす。


補修(リペア)


 カインが魔法を唱えると、ボロボロだった外壁が光を放った。そしてその光が消えていくと、綺麗に補修され、とても数十年経った外壁とは思えない状態になった。


「「「…………」」」


 カインの魔法を見ていた獣人の兵士たちは口をポカーンと開けたまま絶句している。

 いつ崩落してもおかしくない外壁がここまで新しくなるなど誰も思っていなかった。

 しかし、カインはこれだけで済まそうとは思っていなかった。

 戦うことはできないが、守るのを手助けできることはできる。

 そのまま新しくなった外壁に手をかざし魔法を唱えた。


創造魔法(クリエイティブ)


 ゴゴゴと地鳴りとともに、土が盛り上がっていく。先ほど修繕した外壁を巻き込むように土壁は今までの倍近くまで高くなった。


「これを何回か繰り返せば出来上がりそうだな。防衛もしっかりできるだろうし」


 許可をもらおうと振り向いたが、様子を伺っていた全員が先ほどよりも驚きの表情をしていた。

 メルも手を口に当ててそのまま固まっていたが、勢いよくカインに抱き着いた。


「カイン! すごいっ! 魔法ってこんなにすごいんだ! こんな魔法初めてみたっ!」


 メルは大喜びではしゃいでいたが、ジルやランダルはその場でカインに向かって膝をついて頭を下げた。

 それに習って、兵士たちも続々と膝をつき頭を下げていく。

 その光景に逆にカインが驚き、立ち上がるように促した。しかし全員がその場で頭を下げたままだ。


「皆さん、頭を上げてください。僕はできることをしただけですから」


 ジルはその言葉を聞き、頭を上げるが立ち上がることはない。


「カイン様は神々が遣わせてくださった、――使徒様ですね」

「えっ」


 ジルの言葉にカインは驚く。さすがに〝神の使徒〟にはならないだろうと思っていたからだ。


「獣人族に危機が訪れたとき、突如現れ人を癒し、守る力を授ける使徒が訪れる。と獣人の中で言い伝えらえております。カイン殿、いや、カイン様の所業は使徒のごとく。私は若い頃、他の国にも赴いたことがあります。だからこそわかる。この魔法の凄さが」


 兵士たちの中では、胸の前で手を組んで祈るものまで現れた。

 カインは焦るが、メルはよくわかっておらず、魔法の凄さを実感しているだけだった。



いつもお待たせして申し訳ありません。かなりやる気モードになっているので

執筆頑張ってます。


公式HPでPV第2弾が公開されました。

それにしてもヒロインたち可愛い。

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― 新着の感想 ―
続き…続きを…オクレ。 もうハーレムはお腹いっぱい、要らない。
[一言] おお…やる気モードありがたい…! これから楽しみにさせて頂きます!! 体調崩したりしない程度で…
[一言] 更新再開あざますっ! もうこの際、前に堀とかもつくればいいのに(笑)。
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