第七話 王都到着
皆さんご無沙汰しております。
少し忙しくて放置プレイしてました。本当に申し訳ないです。
まだ忙しいのですが、少しでも進めていくつもりです。
領主館で一泊し、朝食を済ませた後、王都へと向かうことになった。
ランダルが同行することになったので、領主から馬車を借り受けることになり、荷積みが行われていた。
「ランダル殿、馬車を貸していただきありがとうございます」
当初、街で王都まで馬車をチャーターするつもりであった。
カインのアイテムボックスの中には自走式のバスもあるが、この王国で出したら騒ぎとなるので控えている。
「気にしなくていい、俺としてもカイン殿みたく強い仲間が同行してもらえるなら助かるからな。それに……」
ランダルは拳を強く握りしめる。
ランダルも本当は前線に出て仲間と戦いたかったのだが、親が治めている街を守るために、街から出ることは許されなかったのだ。
しかし負け戦の情報だけが入るだけだったのにランダルは耐えるしかなかった。
だが今回、カインの実力を確認したガンダルに同行を許されたことで、ランダルの気はすでに高ぶっていた。
「俺もできれば前線に出て一度でも戦いに赴きたい……」
「そうですか……」
カインは好戦的である獣人が、戦争が行われている場所より、使命とはいえ内地を守っていたのが、カインのおかげで前線まででれるのだ。
「あ、カイン様は回復要員なので、前線に出てはだめですからね?」
後ろからエスフォート王国からの同行者に声をかけられた。
確かにカインは王国を出発する際に、国王と前線に出ないようにきつく厳命されていた。
カインが一人出てくるだけで戦況は大幅に変わる。
いや、カイン一人いるだけで帝国からの侵攻を凌げると王国上層部は理解している。
しかし、獣王国にそこまでの理解はない。カインの実力を見てしまったら、いくら友好国とはいえ、いつ危険視されるかわからないのだ。
「…………ですよね」
カインは諦めたようにため息を吐いた。
「カイン殿が前線に出てくれたら百人力だが……。これは獣王国と帝国の戦争だ。俺の雄姿を後ろから見ていてくれ」
「えぇ、後方にて回復要員として待機していますので、できればこないでくださいね」
「もちろん世話になるつもりなどない。帝国の奴らなど、全員追い返してやるわ!」
実際に知り合いが亡くなるのは辛い。いくら知り合ったばかりのランダルが強いといっても、戦場ではいつ命を落とすかわからない。
息巻いているランダルを横目にちらりと見たカインは、馬車から見える風景を眺めることにした。
◇◇◇
ケルメス獣王国の王都まで二日間の旅だった。途中、街もあり、野宿することもなく、王都へとたどり着くことができた。
王都の街並みは基本的には木材を利用した家が多かったが、王都を囲う石垣と中央に見える城だけは石造りとなっている。
ケルメス獣王国は森を切り開いて国をつくったので、豊富にある木材が利用されたのだろう。
戦時中とはいえ、街中は商店が開いており、人通りは多くにぎやかなイメージをカインは受けた。
やはり獣王国だけあり、住民のほとんどが獣人だ。
犬人族、猫人族、兎人族など街を歩いている住民は多岐にわたる。人族も少数だがおり、普通に街を歩いていた。
「どうだ? 戦時中とはいえ、賑やかであろう。今日は王城で泊ることになると思う。すぐに謁見が開かれるはずだ」
「そうですね。人々の表情も明るいですし、少し安心しました」
馬車は街中をゆっくりと進み、止められることもなく王城へとたどり着いた。
ランダル、ハグネスとともに、すぐに従者に案内され豪華な応接室へと通されることになった。
「謁見の準備ができましたら、ご案内いたしますので、それまでこの部屋でお待ちください」
「わかりました」
案内された応接室は、細かい装飾が施されており、ガンダルの治める港町のような武骨な感じはなかった。
カインが部屋の造りを眺めていると、ハグネスが笑みを浮かべる。
「獣人にも手先が器用な種族もおりますので、その種族に合った職業についていることが多いのです。この部屋の装飾は狐人族でしょうね。手先が器用ですし、センスもいいですから」
「思っていた以上に豪華な部屋で驚きました。なかなかここまでできる人はエスフォート王国にも少ないと思います」
「えぇ、ですから。その器用さを利用して、外の国と貿易を行っております。幸いに獣王国にも金山がありますし、貴金属も豊富なんですよ」
「こんな装飾をしたって、戦いに勝てるわけじゃないのにな」
まったく装飾に興味のないランダルの発言に思わず、ハグネスとカインは苦笑する。
部屋に待機していた、兎人族のメイドが淹れてくれた紅茶をゆっくりと飲む。
「この紅茶も美味しいですね。初めて飲む味かもしれません」
「えぇ、茶畑もありますから。帰国する際には用意しておきますね」
「ありがとうございます。屋敷の皆も喜ぶと思います」
三人で雑談をしていると、扉がノックされ従者が入ってきた。
「お待たせいたしました。謁見の準備が整いましたのでご案内いたしますね」
カイン達はその言葉と同時に気を引き締めて席を立ったのだった。
 




