「ありがとう」>「ごめんね」
「いつのことか」と、問われるまで気づきもしない。
だってあっという間に、時間て過ぎてくもんでしょう?
そうなんだよね、時間って自分の感覚とは違う時間軸があるとしか思えない位、
勝手に過ぎていくんだよ。
あ、言い訳って言われても何も言えないね。
一言、「ごめんね」って言えたらいいのに。
いつものように、いかにして誤魔化すかをまず考えてしまう、
悪い自分に気がついた。
敢えて言うと、これが私か。
……悔しい、なんてね。
これじゃいけないって思うのは、一時だけなんだよ、悲しいのは、いや、悔しいのは。
だってちゃんと自覚してたら繰り返したりしないでしょう?
そう、これが「反省」だったりして。
あれ? なんか忘れてない?
そうだ、しなくちゃいけにないことが、あったんだ。
あの時言われてたのに、気がついたら、こんなにも時が経っていたなんて。
「全くいつのことになるやら」
ため息つきながら言われたのは、ついさっき。
「別に、いつでもいいよ。出来る時にして」って言ってたのに。
話が「違うじゃないか」って、言いたいよ。
仕方ない、しなかった自分が悪いんだ。
さて、どこから始めたらいいんだっけ?
「まあいいや、何かはしておかないと、言い訳どころじゃないし」
目の前の資料は、当然山のようになっている。
どこに目的のものがあるかすら、非常に怪しい。
あるとは思うが、ここに。どうやって探し出す?
そうだ! ちょっといいこと、思いついた。
「ほら、片付いた」
これだから、友達っていうか、仲間は嬉しい。
あっという間に仕事が片付いた。
「手伝ってもらって、すごく助かった。ありがとう」
「いいよ、気にしてないし。っていうか、こんなことだと思ってたし」
笑顔と共にこの言葉、言葉にできないくらい嬉しいよ。
そう言うと、その仲間は帰って行く。
早速出来上がった資料を依頼主に届けて、
「へえ、出来たんだ。ごめんな、さっきは。ありがとう」
そう言いながらの苦笑いは、こっちの方がくすぐったい。
そういえば、さっきの仲間の去り際、
「本当に、ありがとうは好きだね。
その代わり、ごねんって聞いたことないよ。
いいんだけど。
ありがとうは、耳にタコできる程聞いた」
あれっ、そうだっけ?