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四話

一日で傘を三本失った(-_-;)

はてさて。どうしたものか。


状況説明は一言で終わる。


『人質事件発生なう』


寝坊したり二度寝したりなんだりで気が付いたら昼ごろになってたので、昼飯食ってからいつもどおり三峡に向かおうと画材を脇に抱えて歩いてたら遭遇した。


幼女を人質にしたいかにも悪役なおっさんズ発生。


それを取り囲む警備兵。


この時代、人質とってもまず意味は無い。


ある意味、人命の価値が限りなく低い時代。


人質がよっぽどの価値を有しない限りは人質使った交渉は無意味。


つまり、この幼女は死に瀕しているということだ。


ぶっちゃけ、どうでもいい。


幼女は好きだが、野次馬①な自分がどうしようもない状況である以上は心を痛めるだけ無駄な話なのだから。


………。


……。


…。


「うっ!」


ゆっくり後ろに転身しようとしたら人質幼女と目があった。


涙目だ。


どうしようもなく絶望して、でもそれでも助けを待つ目。


むきゅう。


私の中の『俺』じゃなくて元から徐庶だった部分が『もっとお米…もっとがんばれよ!最後まで諦めるなよ!あきらめたらそこで試合終(ry』と叫んでいる。


…ミスった上に途中から別の名言だし。


まあ、目もあっちゃった上に助ける策も簡単ながら思いついた以上。ここで逃げればお天道様に顔向け…。


うん。この街のお城が邪魔で文字通りお天道様に顔向けできなかったよ。道理で日中なのに涼しいわけだ。


じゃなくて。さっさと策を施そう。ボケてたら幼女死にましたとかマジありえねえから。


まずは近場の露天商に声を掛ける。


「すいません。この指輪、いくらですか?」


「おう、こんぐらいの値段だな」


「はい。それでお願いします」


綺麗な銀色の指輪購入。


それからゴリゴリと水鏡先生に頂いた護身用の短刀で適当に幾本かの直線と曲線を掘り込み、手持ちの絵具から赤と黄色。ついでに青を取り出して掘り込んだ溝にカラフルに見えるように詰める。


後はこれを指に掛けて賊の目の前にドヤ顔で参上。


「そこの賊。人質を私に変えろ。この指輪を見ればわかるだろうが私はあの大富豪単家の一人娘の単福だ。そこの小さい娘よりも価値がある」


なんとなく、絵具で高級感を増した指輪を小道具に交渉。ぶっちゃけ逆光だしよく見えないだろう。


だが、テンパっている連中は私の嘘なんて気付かずに首を縦に振るはず。


あとは人質が私の首に短刀を突きつけているときに某人気サスペンスドラマ相○で学んだ必殺技『あしのこうをふむ』を発動させる。


流石私。完璧。


「おい、俺たちゃあその単家なんぞ知らねえ。だから手前の名前に掛けておとなしく人質になると誓え。信じてやる」


なん…だと…。


自信の根拠が…消えた…。


むむむ、ここは急いで更なる嘘を考える必要がある。


俺の弁舌が光って唸る!!!


「ああ。きょうの名前に懸けて」


結局、本名は嫌だから前世のあだ名を引っ張ってきた。


駄目だったよ。


「よし。おい、こっちこい。それからガキを解放してやる」


既に力尽きた私に思考能力は無い。


ただてくてくと近づき。


「ぶべらっ!」


「ちっ何しやがる!」


「ひでぶっ」


「あべしっ」


「たわばっ」


「みょ~ん」


目の前が真っ白になった。


   *   *   *   *   *


「貴方のお蔭で私の娘の命が助かった。この黄漢升。心から礼を言う。それから私の真名。紫苑を貴女に送るわ」


目の前の少女を見ながら心の中にいまだに残る驚愕を抑える。


街に遊びに出ていた愛娘が護衛とはぐれ、いつの間にやら賊の人質にされていると聞いたときは本気で死ぬかと思った。


その後も、己の自信のある狙撃の腕でけりをつけようと城の高いところに上り、我ながら人外じみた視力で賊の姿を克明に認識したはいい。


しかし、手が震え娘に当たるのが怖くて射ることが出来なかった。


おそらく、あのままでは娘が殺されるか私が震えた手で一か八かの賭けに出るか。どちらかしかなかったと思う。


そんな時だった。


賊と町の警備兵の捕り物に集まっていた野次馬の一人だった少女がコッチを向いた。


あの時は驚いた。


娘を想い、手こそ震えていたが戦場で鍛えた殺気の隠蔽はしっかりしていたはずだし。そもそも彼女から見て私のいた位置は逆光だ。


しかし、事実。彼女は私を見て微笑んだ。


私とて武人の端くれ。相手を一目見れば武人か否かはわかる。


そして彼女は間違いなく武人じゃない。


それなのにあれだけ離れた位置の私を見た。


しかもその後。指輪を小道具に娘を抱きかかえ二人で私の射線から大きく離れてくれたおかげで私もやっと手の震えも収まって射ることが出来た。


そのことからも確実に私を視認していた。


後から聞いた話だとその時、『きょう』という名を名乗って賊の警戒を解いたらしい。


なんとも賢い。


本来なら名に懸けて誓ったものを裏切るというのは相手が賊とはいえども下手をすれば父祖殺し以上の大罪だが、『きょう』なら別だ。


絶対に許されざる漢王朝の敵たる彼らの名前で誓ったならば裏切っても何も問題は無い。


一歩間違えていれば己の命すら失いうる場所に躊躇せず飛び込める胆力とこの機転。


かの司馬微の元で軍師となるべく教育を受けていたというが、おそらくは将の素質もある。


訊いてみましょうか。


「徐庶さん。娘を救っていただいた礼を言う場で失礼かもしれないけれど、我が主。劉君郎の元でその才を奮ってもらえないだろうか?」


   *   *   *   *   *


幼女人質事件は結局、あの時に私がすっ転びながら幼女も引っ掛けたおかげで結果的に警備兵や弓の名人の黄忠さんの狙撃が付け入る隙ができ、解決したそうだ。


ついでにあの幼女の親はこの街の太守だったらしく、礼を言いたいと御呼ばれしたので喜んで行ったら。


ムッチムチなお姉さんがいらっしゃった。


しかもこの人が『あの』黄忠さんだった。


まあ、諸葛亮や鳳統が幼女だった以上は五虎将軍が美女でもなんら違和感和感じないが。


そんで今。登用のお誘いを受けている。


ここまでの張さんの『一緒に行・か・な・い・か?』や魏延さんの『ぜ、ぜひ。ぜひぜひぜひ。一緒に来て欲しいですっ』厳顔さんの『ふむ。お主だったら十分。出世できよう。未だに焔耶が照れて真名を預けられていないこともあるし。ともに来る気はないか?』といったお誘いも断ってきたのだし。今回も断ろうかと思った。


だが、よく考えろ俺。


張さんや厳顔さんはそもそも三国志であんまり聞いた覚えがない。魏延はまだそこまでの身分じゃない。


そう考えたときに黄忠さん。いや、紫苑さんはどうだ?


かの五虎将軍で地位も街の太守。


優良物件?


そもそも断り続けたのもそれぞれ行き当たりばったりだった。


うーーーーーーむ。


「ごめんなさいね。確かに私がいきなり言い出して。断る文句を考えるのも大変よね。謝礼の金品は後で届けさせるわ。それに今晩の食事と寝台くらいは使っていってちょうだい」


えっ?


「返事は言わなくてもわかったから大丈夫よ。それでも気が変わったらいつでもいらっしゃい。歓迎するわ」


…これもまあ成り行きか。


まあ、別に急いでニートやめなくてもいいか。


そんなこんなでいまだに無職な私です。

原作キャラ参上。


ついでに実は初めての真名GET。


天ぷライオンは魏√が好きなのになぜ蜀の皆さんと出会うのだろうか。

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