三話
更に字数の減る現実。
さて、やってきました益州。
護衛を雇おうかと思ったら財布を落として困ってるボーイッシュ美少女を発見してひとまず立て替えてあげたり、その娘の師匠が恩返しに行き先も同じだからと道中の護衛を引き受けてくれたりした。ついでに『あの』魏延と厳顔だったり、ノリがバサラな。
『闇より暗き深淵より出でし』『其は科。
ではなく、『キャーオヤカタサマー』『エンヤー』
だったりしたが、他には何もなかった。
厳顔さんはついでに就職も世話してくれるとも言っていたが『劉焉』って確か劉備にやられた人かその関係者だった気もしたんで断った。
魏延は『ここにいるぞー』事件は知っているし、有力武将なのは知っているが私への視線は妙に百合百合しいので却下。
Noと言える日本人(笑)
二人は用事が成都という街にあるらしく別れた。
張さんと違い、資金援助は無いが益州内で困ったら厳顔さんの名前を言えばいいと保証をもらった。
私はここ、江州の街に残る理由?
私がこの街で運命を発見したからだ。
その名前は『三峡』
現代とは比べものにならないほどに自然のあるこの時代。それでもなお、これほどに美しい光景はヤバイ。
もう私の芸術魂がマッハだ。
水鏡先生に貰った旅費に張さんに貰った餞別を加えてお金持ちだった私は迷わず紙と筆。絵具を購入して最近は日がな一日、ここで絵をかいたりしている。
最近はここに釣りによく来ている季玉さんとその姉の任さん姉妹と仲良くなった。
絵画はいいよリリンが生み出した(ryってやつだ。
最初は現代の技術をなんとか持ち込もうとして自分の知識の無さに残念な思いをしていた私だが、ここで現代チート(笑)が発動した。
この時代。遠近法からして無いのである。
現代であれば絵画など学生時代だけという社会人でも知っているであろう技法。
基本は近くの物は大きく、遠くのものは小さく書く技法。まあ、実際にはもっとメンドイが。
それをロリっ娘季玉に見せたらずいぶんと感心された。姉の方は焼いている魚に興味津々だったが。
いやあ、張さんに牛乳を分けて貰うんだった。
腐るから貰わなかったんだけど、ぜひ季玉ちゃんに…。
* * * * *
夕暮れの道を二人組の少女が歩く。
「暇な日にそなたの趣味に付き合うというのもあながち悪い選択ではなかったな。面白いものを見れた」
「面白いもの…ですか?」
「うむ。絵もよかったがそれ以上にあの才。素晴らしかった」
「劉璋様、あれだけお気に召されたならば徐庶とやら登用なさればよかったでしょうに」
「ならぬよ張任。あやつはああやって自然体が故によいのじゃ。それに当家には法正がもうおる。下手に優秀な軍師を招き入れればアレが嫉妬して国を割る。母様もそれは認めまい」
「法正殿って絵が書けたのですか!?」
「…何を言っておるのじゃ。あ奴の本職は軍師。張魯めについて話した時の言葉聞いたか?」
「ええ。あの火加減と塩の振り具合。素晴らしかったです」
「誰が鮎の味を離せと申したか…はあ。あやつは言っておったよ。『宗教って割と弾圧すると元気になりますからね。適当な失敗に教義をぶつけて宗派割って内紛起こしてやっと消える』じゃと。まるで絶対に起こることか何かのように言い寄った。『あの』母様があれだけ頭を痛めておるというのに」
「劉璋様ぁ、難しい話はちょっと」
「…紫苑に教育を頼むべきかもしれんな。璃々と共に学ぶのでちょうどいいじゃろうし」
「???」
実年齢幼女と同じ知能認定された張任。
実年齢は十八歳以上である。
ちなみに認定した幼女も実年齢は十八歳以上である。
* * * * *
季玉ちゃんの賢さに全俺が泣いた。
『宗教が勢力を持つと厄介ですよね』
髪の毛がピンクだけど、中身がピンクどころか私の学生時代を凌駕する思考でいらっしゃる。
だが、宗教革命を知っている私に死角はない。
欧米で圧倒的勢力を誇ったカトリックが何か萎びたのは何故か。
それは…誰だったかが免罪符をゴニョゴニョして…。
うん。つまりその誰かさんが聖書と違うって言い始めたんだよ。
後は、この幼女の視線を裏切らないように言葉をオブラートに包む。
『宗教って割と弾圧すると元気になりますからね。適当な失敗に教義をぶつけて宗派割って内紛起こしてやっと消えるんじゃないですか』
パーペキ。江戸時代の隠れキリシタンだか天草一揆云々だかから学んだ内容も配合したハイブリッドなアレだ。うんアレ。
ちなみに金髪バック三つ編み固めアホ毛onはさっき焼けた鮎にかぶりついて素晴らしい笑顔を見せている。
イギリスのウィンターウッドにでも行って来い存在するか知らんが。三尖刀持ってる人と正義の味方抜きで最終決戦でもしてろ。
まあ美少女だから許すけど。
ストックにせず何やってんだ俺と思いつつ更新。
原作キャラよりもオリキャラの方が出番があるんだ。
張さんと劉璋張任ペアがすべての元凶なんだ。プロットではモブだったくせに。
この更新速度は感想をくださった皆様のぱわー的なものと受験生なのに日曜は休日なアホで構成されています。