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二話

今回はPCも併用したのでわかり辛いかもしれないけれど襄陽と譲陽は同じです。


『襄』が携帯で出ないんです(^_^;)

「Hey!私は張。気軽に張さんと呼んでくれっ!Say!」


「ち、張さん?」


「もっと気安くっ!Say!」


「張さんっ!」


「Hey!よろしく嬢ちゃん!」


水鏡先生に紹介して頂いた商人の張さん。


あまりにもキャラが濃かった。というか『Hey!』やら『Say』やら、明らかにいろいろおかしくないだろうか。


他に張さんのところで働く商人見習いさん四人に下働き十三人。護衛が二十六人の大所帯が私が今回、襄陽まで連れて行ってもらう隊商だそうで。


ちなみに張さん以外の言語センスはいたってノーマルだった。


   *   *   *   *   *


Hey!俺の姓は張!気軽に張さんと呼んでくれっ!!!


ああ、すまん。こんな勢いじゃ引くよな。だけど商人たるものこのぐらいの勢いは当然なんだぜ!


今回、昔から世話になってる司馬微さんに頼まれてお弟子さんの徐庶っていう嬢ちゃんと襄陽まで一緒に行くことになった。


司馬微さんのお弟子さんはみんな女だし、襄陽は荊州一のでかい街ということもあって数年に一回くらいの割合でこういうことは頼まれる。


流石は司馬微さんのお弟子さんということか、彼女たちとの会話は実は俺の楽しみの一つだ。


書物あたりから学んだであろう含蓄のある発言から斬新な発想まで。共通点はみんな純粋に世を想い憂いた上での言葉ということだ。職業柄、普段から付き合う連中はどうしても自分の保身や利権が会話に絡む。


そういったのなしで話せる会話は青臭く理想論でしかなくとも楽しいものだ。


その上で、今回の嬢ちゃんはさらに違った。


物知りなのはもはや司馬微さんのお弟子さんだしびっくりするつもりもないが。その他の面でもなかなかだったのだ。


いつも俺は司馬微さんのお弟子さんへの一言目はこう尋ねる。


『Hey!嬢ちゃん!牛の乳は飲まないかい?』


西の国では牛の乳を飲むと聞いて飲んでみたらうまいのだこれが。


合わない奴は腹を下しちまうから無理強いはしないが、少なくとも言われている飲んだら牛になるってことは無い。というか飲んでたら心なしか健康になった気がする。


だから大丈夫ならぜひ飲んでもらいたいから問うのだ。


だけどやっぱり一般では飲まれていないのが事実であり、司馬微さんのところでも飲まれていない。だからそれへの返事ってのはだいたい決まってる。


『えっと、牛さんになるのは…』


『すいましぇん、牛の乳はちょっと…』


こんな感じなんだ。


しかし、この嬢ちゃんは凄い。


『へー。牛乳ですか。いいですね、ぜひお願いします』


そんでしっかり飲みやがった。


高価なものではないかと気にしているのかこっちをチラ見しながら飲む様子はなんというか、微笑ましかった。


しかもそれだけじゃあない。その後にこれを利用した食事まで考えやがった。


名前を聞いたら無いらしい。だから『士大夫も躊躇う』ということで士躊シチュウって名前付けたらびっくりされた。


これだから司馬微さんのお弟子さんたちは面白いんだ。


   *   *   *   *   *


個人的には牛乳よりもミルクの方がなんというか、響きがいいよね。


古代中国ってことで牛乳もあったらいいけど無いだろうなあと思ってたら普通に飲ませてもらえてうれしかった。


それに私が牛乳を飲むときの張さんの顔。アレは紳士の顔だと思う。


自慢ではないが私は美人だ。というか水鏡女学院はみんな美人だ。


私は前世での分類分けに従って属性を付けるなら。『黒髪』『ロング』『お淑やか(偽)』といったところ。


まあ、牛乳が顔にかかるのを期待したくなる外見ってわけだ。


とはいえ、そんなサービスをするつもりはなかった。


だけどさ、あそこまで期待に満ちた顔されたら少しかわいそうになるだろう。


だから代わりに紳士用アイテムをプレゼントした。


というか作ったけど捨てるのはもったいなくて、でも水鏡女学院に放置して見つかるのも嫌だから持ってきてしまったフィギュア三点セット( 悪魔・冥王嫁・子狸)だ。


襄陽に着いた後、本職が馬職人だという張さんは幽州に向かうらしいが、黄巾の乱を知ってる身としては舞台となる華北や中原に向かうのは気が進まず、むしろしばらくは安寧である(ゲーム知識なので確実ではないが)益州に向かうことにした。


そこで別れの餞別としてフィギュアを贈ったのだ。


張さんが細かい設定を聞いてきたので乗馬装置から算盤や水着と一通り教えてあげた。


乗馬装置は今の技術じゃどうせ作れないし、算盤は三国志ゲーム内で登場したから既にあるはず。水着に至ってはそもそもレジャーとしての水泳が存在しないので一切、技術的な問題は無い。


ついでに張さんがこれからは彼に言うか、各地の張さんの友人などが経営する商家に言えば資金援助もしてくれるらしい。しかも返済無しで。


代償はこれからも仲良くするだけでOK。


もはやニートしても何も問題なしな気がした。


ところで旅するニートって新ジャンルじゃね。


   *   *   *   *   *


俺は確信したぜ。


この嬢ちゃんは発明の天才だ。


素人でも馬に乗るだけならできそうな『鐙』


計算を一気に早くする『算盤』


敢えて鎧のたぐいではなく、むしろ衣服を簡素化した間諜用の装束『水着』


士躊だけじゃなく、こんなもんまで考案していやがった。


しかも本人は世紀の発明をした自覚なし。


これは間違いなく金の卵だ。


だからこそ彼女を縛るのではなく、自由にさせ援助することに決めた。


これほどの才気。以前に都で見かけ、今も援助している金髪の少女とは方向が違うがまさしく天の才。


ふん、商売の約束さえなければ益州に向かったんだけどな。

長さは一話の半分くらい。


プロットではいきなり襄陽の予定が張さんがいきなり妄想からPOPしたのでこうなった。


原作で牛乳イベントあった気もするけど気のせいに違いない。

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