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十七話

じんぐるべーじんぐるべー(゜∇゜)

「…どういうこと?」


徐庶の止水関における失踪。それが誘発した止水関防衛戦の敗北。


賈駆にとってそれの解釈は連合側の策によるものであった。


しかし、李儒の言うとおりにこの状況が徐庶の想定によるものなら話は変わる。


――徐庶が故意に敗北を齎した可能性。


賈駆はこれまで、徐庶という人物を信用はせども信頼はしたことがない。


信頼するには徐庶という人格は危険すぎた。


言っては悪いが、賈駆に知力で劣る陳宮や李儒などの文官ならば彼女を出し抜くのは難しいし、特に二人は賈駆と同じ正統派の軍師であり思考が読みやすいゆえに。


武官も華雄をはじめとした譜代の家臣ならば伝統と誇りがあるゆえに。


呂布、張遼といった丁原の死後に董卓配下となった者達は丁原から董卓への信頼を知るがゆえに。


高順は二線級の実力でしかない上に性格自体は単純であるがゆえに。


みな、信頼がおけたのだ。


しかし、徐庶は違う。


出身は荊州であり董家との縁はない。


謀略の才は賈駆に勝るとも劣らず。


性格は穏やかに見えるが、扱う悪辣な策を見るからにそれは周囲を欺く仮面だ。


読み切れない。


かつて重用したのは自分とはいえ、彼女はその前に下級官吏として士官してきていた。


そこで一つの疑問が生まれる。


なぜ、董家なのだ。


確かに月は名君だ。しかし、同時に仁君であるがゆえに謀略はあまり好まない。


それに比べて荊州の劉表や益州の劉焉ならば清濁併せ呑む性格から謀略も好むし、月ほどではないが君主としての実力もある。名声という点でも彼らは皇族であり申し分がない。


名前こそまだ微妙だが、見る目があるものならば注目する曹操や孫策もいる。



以前に本人に酒の席で聞いてみたが『路銀が天水で尽きまして』などと返ってきた。


豪商の張家の当主である張世平と仲がよい事は知っているから明白な嘘であり、言うつもりはないという意思表示だった。


一時期は間諜かとも疑ったが、それには目立ちすぎる。


士官理由がわからず、未だに思考も読み切れない。


警戒するには十分な理由だ。


賈駆の思考は止まらない。

(こんなところで反逆?いや、それなら更に時期を待った方が効率がいい。わざわざボク達が逃げられる時間を残す意味はない。…逃げたところを捉える?何のために、意味がない。今更『董卓』と『賈駆』というのは交渉の手札にすらなれない。連合への手土産にするならそれこそ虎牢関まで抜かせる手引きをするはずだ。じゃあ何?何かをボクは見逃してる?―――まさか)


賈駆は息を呑み、自分の予想を検証し、動機以外を読み切った。


(まさか、まさか徐庶が羌と繋がってるなんて)


羌と言えば漢の大敵、五胡が一つであり、漢の西に位置している。


そして羌が漢の深くまで侵入できない理由は董卓と馬騰の二大勢力。


羌の抑えとなるには精強な騎馬隊が必須条件であり、董卓勢力が弱体化した時には馬騰と公孫賛くらいしかその条件を満たせる勢力はいない。


しかし、公孫賛は北の異民族の烏丸への抑えである以上は羌に対することはできず負担は馬騰に集中することとなる。


これまで2勢力で抑えていたものが簡単に1勢力のみで押さえ込めるはずもなし。必ず羌に利する結果に至るだろう。


賈駆の脳内では『コードキョウ~反逆のジョショ~』が流れている。

皇帝陛下がモブな恋姫、キャスト的には月が若〇ボイス。


まさに大惨事。


あるいはここに賈駆一人であれば徐庶討伐すらはじまりかねない。


しかし、ここには李儒と高順がいた。


賈駆が表情を変えずにいるから二人とも内心が読めず、説明を続ける。


「これは徐庶様が敗北の際の次善の策として用意したものです」


内容自体は難しくない。


一定期間の潜伏期間をおいた後に陳留を強襲し、奪取する。


「徐庶様の指示で調べたッスけど、孔由と劉袋は既に裏で曹操に下ってたッス。更に許には物資が山積みになってるッスよ」


「曹操は董卓討伐後に撲陽と許の支配権を得るつもりでしょう。更に洛陽に近く、立地としては陳留以上の許に民を集めにかかるはず。そしてそのために許では一気に開発を進めるのが有効ですわ」


そこまで聞くと賈駆の頭脳も徐庶と羌の繋がりという誤答ではなく正解を導き出す。


「曹操と重臣の大多数の消えた陳留を奪ってしまえば曹操は支配域を分断されるし、陳留からなら改めて洛陽にも圧力がかけられる。なるほど、でも確実に陳留は落とせるの?」


「ええ。洛陽で徐庶様の培った人脈は深く広いですわ。そして徐庶様に心服される方に張莫、張超という姉妹がいらっしゃいますの」


「――流石ね。ボクの知らない間に陳留太守を掌握済みとは」

(ここまで周到に用意されて次善の策、本当に?)


疑惑と思考は軍師の役目。董卓軍軍師の賈文和は未だに消えぬ疑惑に目を向ける。


(例え場所を移しても『董卓軍』や『董卓軍残党』であれば潰される。ならば君主は月ではなく、月とある程度の距離があり、君主と名乗れるだけの名声を持つ人物でなければならない。それは丁原配下から董卓配下となった過去があるがゆえに外様と見られ、最強と呼ばれ名声も高い呂布。あるいは、新参家臣でありながら止水関にて存分に名を上げ、陳留太守を抱き込んだ張本人の徐庶)


これは徐庶による董卓勢力の乗っ取りになるのではないか?


そう、賈駆の思考は帰結する。


しかし、賈駆に逃げるつもりはもうない。


今度こそうまくやれば月は君主ではなくとも荊州に逃げるよりもずっと豊かな生活を得られる。


「わかった。ならば早く行動しましょう。徐庶は今、どこにいるの?」


「曹操配下の夏侯姉妹ッス、さっさと助けに行くッスよ」


「…捕まってるの?それとも策の一環?」


「徐庶様は武人ではありませんからね、武官と対峙してしまえばこうなります」


要するに徐庶自身の意に沿わぬ形で捕縛されているということだろう。


“あの”徐庶の想定外の事象が存在しえたことに少なからず驚愕を覚えるが、そこまでで十二分に驚愕していた賈駆は割と冷静に反応した。


「そう。高順、李儒。話はわかった。虎牢関にも伝令を。徐庶も早く拾ってきて」


「了解ッスよ」


「わかりましたわ」


※曹操は原作では陳留刺史となっていますが、刺史は州牧より偉い州刺史の略称です(多分)本来の陳留の支配者の呼び名は太守です(多分)更に曹操ではなく張莫が陳留太守で曹操はあくまでもその友人だったはずです。いまいち詳しくないんで違ったらごめんなさい。ひとまず本作品内ではそういうことにしといてください。




「騎馬隊を確認。旗は『高』、数は百程度です」


「む、馬謖。どの将かわかるか」


馬謖…あぁ、私じゃん。


一瞬、私に夏侯淵さんが尋ねてきているのに気付かなかったが、すぐに偽名を思い出した。


さてさて、質問に答えなければいけないわけだが、偵察兵の言う『コウ』が『高』ならば高順あたりだろう。


彼女は洛陽守備隊のトップだし、タイミングと場所的にも違和感はない。


実は私は高順と李儒に、今回の戦で私が曹操様に下ることを見越してさりげなく曹操陣営の素晴らしさをアピールしてきた。


偵察任務や情報収集任務の対象に史実で曹操勢力下の地域の豊かさを教えたり、割と洛陽に常駐気味の曹操配下の張姉妹と交流したりとしてきたのだ。


別に必ず成功しなければならないわけではないが、曹操陣営に高順や李儒が加わったらいいなぁ程度の動機だが。


多分、彼女達の中では曹操の株は上がっているはず。


さて、もしもここで夏侯姉妹VS高順が勃発したらどうなるか。


互角な勝負をして認め合い、互いに好感度UP?いやいや。常識的に考えろ。



高順DEADENDでFAじゃないか。


だってただでさえ二対一のくせに高順と夏侯姉妹ですよ?


武力80代VS武力90オーバー×2ですよ。


つまり、高順は逃げる以外の生存方法はない。


そして、高順が死ねば私のこれまでのさりげないアピール活動が無駄になる。


だいたい、彼女とも長い付き合いだ。死んだら悲しい。だから。




「多分、高順ですね。武力は一流武官に劣る程度で、得物はいろいろ使いますが基本的には剣か槍です。はい」


冥福は祈るぜ。ここで嘘をついて万が一にも死ぬのは勘弁だし。


ああ、目があったら気まずいし寝たふりしとこ。




最終的に、私は高順に抱えられて董卓軍の皆さんと合流した。


見捨てたことの罪悪感と彼女が夏侯姉妹を突破したことへの驚きがパなかった。


――なんで助けたねん。

何はともあれ華琳様マダー(AA略


本当は高順VS夏侯姉妹を書くつもりだったんですが、上手く書けないので割愛(¬o¬;)


詳しくは活報にて書きますが、次話は来春になります。感想も暫くしたら一旦、書けなくします。


要するに四カ月ほど休載します。


四カ月後に復活してなかったら四カ月+いつもの更新間隔=∞みたいなノリで待ってて下さい。


ではノシ

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