05
駅を出ると、二人は思いっきり空気を吸い込んだ。
目の前に広がっているのは、姿は変わっているけれど、確かにヒカルの故郷・東京だった。
昔とは違い、今は民家も何もかも、全て同じ形、灰色に統一されている。
ひとつだけ変わらないのは、人だった。
矯正施設にいた頃に出会った人間とは違い、ここで生活する人はみんな、生き生きとしていた。
少し行ったところには、朝市で込み合い、にぎわっている通りがある。
懐かしい匂い、音、景色。
ここにいれば、施設で過ごしたことなんかすぐに忘れてしまいそうだった。
「なあヒカル、思い出したよ。昔、僕の爺さんが言ってた」
少しの時間しか経っていないのに、随分久しぶりにゼロの声を聞いたような気がした。
「知ってるか? 昔の東京は、もっと活気があったんだって。いざこざや事件なんかは今も昔も変わらずあるけど、でも、今よりずっと生きるのが楽しかったって爺さんが言ってた。
――――そんな時代に生まれていたらきっと、毎日が楽しくて死ぬのが惜しいって思えるんだろうね」
その時、何故かゼロが遠くに行ってしまうような気がして、思わずヒカルは振り返った。
そこには、歩道を行きかう街の人々を眺めるゼロの姿があった。
「じゃあ、僕はもう行くよ。親父さんや、家族にも会いたいし」
「ゼロ、あの、ありがとう。あの時君が森にいなかったら僕、今頃死んでたよ」
「感謝するなら僕じゃなく、偶然の神様に感謝してくれ。それに僕も、君と出会ったことで楽しかったよ。ずっと一人だったから」
二人は笑い合い、微笑みを残したまま向き合った。
そして、何も言わずゼロが背中を向けて歩き出した。
「また会えるかな、ゼロ……!」
ヒカルが、歩き始めたゼロに向かって呼びとめる。
言いたいことが、どんどん込み上げてくる。言葉になる前に、消えていく。
ゼロは振り返らず、右手をひらひらさせながら言った。
「さあなー! 少なくともお互い、あの施設でばったり、なんてことにはならないようにしよう!」
そう言ってゼロは、雑踏の中へ消えていった。
姿が見えなくなるまで見送り、やがてヒカルは、反対の方向に向き直った。
その面持ちは、自然と希望に満ちていた。
そして、少年は一歩踏み出す。
灰色に染まった東京の中へ。
何が待ち受けているかわからない、遠い未来へ―――。
書き終えました……! といってもワードの文章をコピペしただけなんですけどねww
拙い文章ではあると思いますが、最後まで読んでいただけたなら幸いです。
コメントも随時受け付けております。
最後に。
灰色都市の細かい設定とかは私のブログにてちまちま書く予定です。
よければそちらの方もどうぞ。




