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ゼロに連れてこられたのは、ひどく田舎の駅だった。
小さくて、木で出来たホームは、少しの衝撃でも潰れてしまいそうだ。
しばらくして、揺れの激しい電車に乗り込んでも、二人は無言だった。
他に乗客のいない電車は、少し寂しすぎる。ヒカルは無意識に、露で白くなっている窓の向こうを眺めた。
景色は次第に、森から建物の多いものへと移り変わっていく。
「ゼロ……僕は、あそこから逃げてきてよかったのかな」
ヒカルがうつむきながらぽつりと口を開いた。
「まだよくわからないんだ。僕だけ逃げてくるなんて、何だか卑怯な気がして……」
「うーん、そうだな……。確かに逃げることはマイナスだけど、結果的に自分にプラスになるんだったら、それでいいんじゃないかな」
ゼロは、いつもの穏やかな表情を少年に向けた。
「ヒカルがこれで良かったって思えるなら、結果オーライだ」
向けられた笑顔に、寒い日なのに、体の芯から暖かくなった。
いつか、こうして良かったと思える日が来るなら――――。
白い息を吐き厚く着込んだ乗客も、徐々に増えた。終点は近い。




