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灰色都市  作者: 黒羽
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01

少年は走っていた。

ただひたすらに、地面を蹴って。

闇の中で、吐く白い息が消えて行く。

もがいて両足がもつれ、倒れそうになりながら、訳もわからずに走った。

顔に吹き付けてくる冬の厳しい風さえ、今は心地よく感じる。



何から逃げている?

何のために逃げている?

そもそも僕は、どうして逃げている――――?



気がつけば、灰色のコンクリートの壁にもたれかかっていた。

投げ出された両足はつっていて、少年は体中の血が逆流しているように感じた。

酸素を求める肺が、心臓が、止まることを知らないように脈打っている。

目をうっすらと開けると、いつの間にか、雪が降り始めていた。

真っ黒な絵の具を垂らしたような夜の空に、青白い月がこうこうと輝いていた。

手の甲に降ってくる雪は冷たくて、溶けずに積もって行く。

手が冷たすぎるのか、と少年は、頭の片隅でぼんやり考えた。

身につけている服も薄い。普通ならもうすぐ凍え死ぬだろう。

これが死なら、死ぬのも悪くないと思う。

少なくとも、全力疾走した後で眠るように死ねるのだ。

少年にとって、何かから逃げることさえ、もうどうでもよくなっていた。






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