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RIGHT AND LEFT

 少々の間となってしまったが小休止が再び訪れた。左手の補修と細胞を修復したため集中治療室に居たが零紫はそこから出てきて普通の生活に戻った。……のだが……再び琴乃が心中穏やかではなく荒れている。原因は零紫だというのだ……。確かに零紫にも原因が無いわけでない。たが、全く悪びれないためか遂に琴乃の我慢ができなかったようだ。それ以外にも『愛知』内ではもう一つ変化がある。零紫が『ガイア』の重官であることを公前に明かしたのだ。確かに義手や多数の目立つ怪我をこれ以上は隠しきれないのだろう。高校の征服ではなく『ガイア』の新しい征服を身につけている彼は右肩にも致命的な傷を受けていた。そのため荒神の残したレポートを基に構築した細胞構築理論を適用している。それで回復させ左腕は荒神の残した物を基体にして作り普通の肉体より神経伝達の感度が高く彼の体に入っている『コア』をリンクしているため普通より強度もたかめだ。


「零紫君。今日は琴乃さんと一緒ではないんだね。どうかしたのかい?」

「少し口喧嘩をしただけです。で、何ですか?」


 亜潟 康介は肩を切り落とされてしまったため……もう、以前のようには生活できず体を起こすことさら自分ではできないらしい。その彼が零紫を病院に呼び出して用向きを話しているのだ。彼は残っている腕で何とか壁に掛かっていた彼の太刀を指差した。黒刀と白刀は持ち主が持てないため抑える金具に押さえつけられている。零紫が刀に手をかけると亜潟が今の容体を伝えてきた。零紫の肩を心配そうに眺めるが……。彼も心配できるような容体ではない。彼は幾多の死線を越えて体に致命的な傷を受けた半機械……アンドロイドのような存在だ。それの機械の機能がほぼ完全に停止し心臓の心音すら微弱になっているらしい。荒神時代の特務兵はもうほとんど生き残ってはいないだろう。彼もそんな一人だった。


「私はもう長くはない。私の命はあと数日のうちに絶えるだろう。わかっている。死なせたくないなどとは言わないでくれ。私は死ぬことなど怖くない。怖いのは……私の意志が失われることだ」


 亜潟が零紫に真剣な眼差しを送り刀を零紫が手に取って刃を打ち鳴らした。亜潟が頷き二本の刀を携えた零紫の背中に言葉を重ねる。亜潟の正体が明らかになったのは彼の遺書が見つかってからだった。彼は詳細としては……荒神 修羅の所属した部隊『鬼神部隊』の生き残りの一人だったのだ。その後、亜潟の葬儀を関係者のみの参列に抑えて『ガイア』本部で執り行い、彼は『愛知』の墓地に埋葬された。その人望を見せる参列者達は皆、涙しうなだれていたという。零紫の胸には重い物が重なった。だが、彼も前を向いて行こうとその時、決心を揺るがぬ物にしていたようだ。


「君は……お父さんとは違うな。彼が築いた道を君が進なら。君は『ガイア』の月になるんだ。健闘を祈る。私は……疲れたよ」


 零紫と亜潟が誓いを交わしたその日から二日後、亜潟は長老に看取られ息を引き取った。亜潟の刀は彼の家の宝刀らしく僧侶だったらしい長老が式典を行い零紫に正式に託される。そして、その日。零紫が帰宅すると琴乃の様子がおかしかった。いつもはもっと明るいのだが……下を向き零紫が「ただいま」と声をかけても返事をしない。夕飯が終わった頃に琴乃が荒神の部屋を改装した零紫の部屋に降りてくる。零紫がそれに気づき機械を組み立てる手を止めた。最近は琴乃にもよくわからない心の流動が起こるようだ。自分の心の奥底では何が動いているのか彼女自身にも解らず時として精神が不安定になるらしい。零紫もそれに気づいていない訳ではなかったが……。傷つけてしまうといけないためあえて触れなかったのだ。


「零紫は……どうして、アタシに優しいの?」

「それは……」

「最高のパートナー? そんなこと言って実はお荷物なんじゃない?」

「おい、琴乃」

「どうせ……アタシみたいにドジでバカで誰かに助けてもらわなくちゃ戦えないひ弱な女なんて……」

「琴乃……流石に……」

「篠みたいにさ、何でもできる女の子の方が良かったんじゃな……キャッ!!」


 零紫が珍しく怒鳴って琴乃の頬を平手で打った。彼はそんなことをする性質ではないが……余程、血が頭に登ったと見える。目がいつもとは違い敵にも見せない怒りに満ちた目をしていた。零紫は多少の事ではそこまで血を上らせたり手をあげたりはしないのだが……。感情の変化と言うなら彼にも大きな変化が出始めているのだ。その変化は思世が零紫に問い詰められ荒神の過去について語った時から顕著に表れている。何より、父親がそうするであろうことを意識的に遂行するようになっていたのだ。彼は荒神のなしえなかった『コア』のシステムの解析を八割方終えていた。そして、壁にぶつかり今はそれを模索しているところだったらしい。それだから、今は琴乃に構ってやれる暇がないと見える。彼自身は琴乃を思っているが行動と彼女の心情の変化に彼が追いついていないのだ。それに加えて最近は彼の周りで目まぐるしくことが動いた。荒神の死以降、動乱期の頭角が徐々に現れ始め亜潟の死も重なり彼も余裕がないのかも知れない。流れ動く世の中を受けるために多忙となり次は心や精神的にも疲れがきているとも言える。


「バカな事を言うんじゃない! 誰がお荷物だ! お前が居なきゃ俺は死んでたんだぞ! それにお前は俺の大切な……」

「だったら……」

「何だよ……」

「だったら何で頼ってくれないのよ! 少しは頼ってくれたっていいじゃない! それに……パートナーなら……アタシにもあなたを助けるくらいの事があってもいいじゃない!! 零紫なんて知らない!」


 零紫のラボを飛び出して玄関に駆け込みブーツ型のエアシューズに足を入れて琴乃が玄関を飛び出した。零紫は追おうともせずにただ、琴乃を打った右手を見ている。伸びた黒髪を結っていた紐を解き部屋の奥にあるリクライニングチェアに深く腰をかけて目を閉じた。彼は思いつめるといつもそうしている。亜潟に託された通り父の残したレールに自分の道を重ねることをしている零紫。亜潟の刀を眺めつつ心底穏やかでない自分の心中をなんとか抑えようと努力している所なのだ。彼は『大阪』戦の時以来、体と心に歪な変化と義手以外の遺物間をうったえていた。特に戦闘時に感情が高ぶると……体表に鱗が現れたりするのだ。それの研究も並行して行っているためさらに多忙を極めている。荒神の残した記述からは文章や経緯、状況的推察は可能だ。しかし、バイオテクノロジー的な観点から考えるとそれが可能なのかを見つけなくてはならない。特に零紫は自分がそうであるため尚更不安だった。


「あれ? 琴乃?」

「……」

「どうしたのよ」

「喧嘩した……零紫と」

「え゛……。早……、どうしたのよ。あぁ~ぁぁ……こんなにほっぺ腫らしちゃって」


 『ガイア』本部から遠く離れた市街地……この地域は昔は豊橋と呼ばれ多くの民家が存在した地域だ。現在も荒神の改修の影響は少なく民家が増えて学業都市としての発展が見込まれている。ただし、特殊な学部を専攻している君枝は未だに『ガイア』本部にほど近い中央高校に通っていた。実は荒神の改修後に学業施設などの公共施設はかなり多くなっているのだ。分割された区域に必ず一つ以上ある。その豊橋に新居を構えそこに住んでいる大原 君枝宅の部屋に上がり込み君枝の両親に事情を説明すると二人から滞在の許可が降りた。琴乃の姉の美琴は放任主義で自由主義者でもある。だから、家出しようが迷子になろうが人道から外れたり早死にするようなことをしなければ多少のことは黙認しているらしい。喧嘩をした張本人の零紫はもちろん角など……誰一人探しに出ないようだ。琴乃自身もそんな姉の行動を熟知しているためあえて動こうともせず君枝の家族にかくまわれている。次の日から琴乃は君枝の家から登校し荷物は『ガイア』の本部にある自分のブースに置いてあるためそこから取り出しつつ1日を過ごしていた。しかし、彼女の心は一向に晴れない……。確かに昨日の発言に関して言い過ぎたとは思って居るらしく零紫が学校にいる間に謝ろうと思っていたのだ。それなのだが、零紫はその日を無断欠席し角もはっきりした所在を知らなかった。ただ一人、彼を除いては……。零紫はよくそこに足を運ぶ。父の眠る場所に……。ただ一人だけ零紫の居場所を知る彼もまた同じだった。心を見返しているのだ。


「零紫、どうした?」

「いえ、少し心の整理をしていたんです」

「そうか……。考えるのはいいがあまり先を考えすぎると目先の難題で蹴躓くぞ」

「わかってます」


 琴乃は君枝宅で君枝に『大阪』でのことを話していた。半ば愚痴のようになりかなり感情的な話し方になっていたが君枝は落ち着いて菓子をつまみながら聞いている。しかし、琴乃の心はまだ晴れずさらに重くなるばかりだったようでだんだんと沈痛な表情になって行く。その顔を見た君枝がいきなり額を指で弾き同じ行為を琴乃に二回当てて彼女が額を押さえたのを見るやまだ少し腫れている右頬に人差し指を突き立てた。人差し指でぐりぐりしながら笑顔を作り琴乃に向って話しかけている。零紫と琴乃のことに関しては好意的な視線を送る君枝。ただし、彼女は琴乃が困っていたとしてもいつも助けない。彼女は苦難こそ人を育てる材料となると言った理念を持つ人物だ。そのため彼女の苦難をわざわざ助けようなどとしないらしい。


「で、どうしたの?」

「零紫はいつもアタシを助けてくれるじゃない?」

「確かにねぇ」

「アタシ……ドジなの。だから、零紫の左腕や『大阪』での怪我は全部アタシのせい……。アタシはやっぱりお荷物なんだ……アテッ!」

「バーカ! 琴乃がそんなんだから零紫君は琴乃を守ろうとするのよ」

「お荷物……イタッ!」

「また、またよ。それが違うの! 当事者には解らない物ね。じっくり考えなさい。私は……そんな暗い顔してるのなんて琴乃じゃないと思ってるから!」


 ぽかんとした表情の琴乃をよそに零紫の所には篠が現れていた。玄関に上がるなりグーパンチが零紫に向けられたが要件はだいたいわかっていたためあえて彼はよけなかったようだ。篠の拳は少しとげとげしい堅さがある。その拳で殴られれば意外と痛いだろう。事実零紫の頬には真っ赤な跡ができている。篠の瞳にはとても強い怒りが見てとれた。零紫はいつものように感情表現の薄い澄ました顔で彼女の怒りを受け止めている。表情一つ変えない所を見るとそれなりの覚悟があるのだ。零紫の頭の回転はよすぎる程にいい。そのためだいたいの選択判断やその場の状況からのイメージなどは簡単にできる。しかし、コロコロ変わる人間の心情を読み取るのは大の苦手らしいのだ。


「何をした?」

「それは俺が具体的に何をしたか聞きたい事だぞ。……篠」

「お前は琴乃に何をした?」

「俺がか……いつの間にかカッとなって琴乃の頬を打っていた。何なんだろうな。俺にも解らない」


 篠が胸倉をつかみ2発目を構えたが……零紫は抵抗をしない。篠は気がそれたのかすぐに腕を戻して別のことを彼に問い始めた。彼女も矛に気付かれるだけの感情表現を零紫に向けていたのだ。それくらいのことは有りうる。そして、彼女は今や『ガイア』に落ち着きはしたがそれまでの経歴や素性は完全に闇の中であり零紫もそこには触れないが未だに一抹の不安が存在していたのだ。ただし、幾度かの戦闘を経て仲間であるという意識はあるらしい。だから、篠には敵対視せずありのままの彼をみせていた。


「……零紫は、琴乃が好き?」

「ああ」

「そ、そう……。なら、いい。打ってごめん」


 二日目になったが一向に零紫は学校に現れない。そんな彼に周りの生徒達は変な噂を立て始めた。零紫の腕の義手のことや伸ばした髪の毛、『ガイア』の関係の話だろう。零紫が現れず段々と琴乃自身が凹み始めている。一時はカッとなり零紫に強い言葉を浴びせたが……心の奥底では零紫もそれが解っていると思いあえて無視を続けていたのだ。しかし、肝心の零紫は全く追ってこず姿さえ見せない。それが更に上乗せされた悲観的思想で心身にダメージを与え始めていたのだ。彼女は気丈にはりはするが内心弱く脆いタイプでとてもナイーブな感情の感受性を持っている。その彼女に今の状態は身を切るような痛みがあるのだろう。


「零紫……今日も来なかった」

「そうだね。矛君なら……情報あるかな?」

「……」


 徐々にやつれて行く琴乃……。次の日に矛から有力な情報を仕入れた時に零紫の単独任務について初めて知らされた。内容は要人のマークだ。相手は空中の傭兵団の総督らしい。ある程度ランクの高い頭が働く人物を考えると今の所は彼しか思い当たらず、矛が思世に促されて起用し零紫が単独で任務に当たっていたのだ。零紫のことがだんだんと心の底から不安になりはじめ、矛から任務中の零紫がおおよそ居るであろう場所を聞き出しそこに向かう。


「零紫君ってフリー?」

「俺は想い人は居るが今は……一方通行だ」

「へぇ、なら。こういう事はまだ?」


 タイミング悪く琴乃がそれを目撃してしまったようだ。スタイルの良い篠に似たクールビューティー系の女性が零紫に向けて腕を伸ばして肩に絡め、顔を近づける……。琴乃は怖くなり……その場から逃げ出した。信じ続けてはいたが……こんなに簡単に関係が崩れてしまうのだと琴乃は心に更に重荷が加わったようだ。その次の日、琴乃のクラスに編入生が入って来た。零紫と一緒にいた篠に似た少女だ。その少女は悪戯に笑いかけ……。彼女の心をえぐるように話しかける。


「零紫君について話があるんだけど……」

 琴乃はカッとなり椅子を後ろに飛ばして立ち上がり屋上に駆け上がる。すると、しつこく琴乃をつけて来る少女……。篠は割合落ち着いた性格なのだが……この少女はそうではなく嫌な性格をしている。わざと琴乃が気にしていることをついてきているからだ。琴乃はついにイラつきが頂点に達している。


「聞いたんだけど、兄妹で付き合ってるの?」

「まだ、……付き合ってない」

「へぇ、なら。アタシがもらっていい?」


 人を蔑むような笑いをし琴乃の周りをゆっくり歩くその少女。どうやら、彼女は最初から琴乃をからかうつもりでいたのだ。名前も明かさずにその少女はクスクス笑いながら昨日の話をした。彼女は琴乃がそれの一部を見ていたのを知っていたのだ。琴乃がそれに関して傷ついたことを知りながらさらに言葉で追い討ちをかける。


「零紫君って意外と堅いんだね。キスしたかったのにさ」

「何が言いたいの?」

「だって、零紫君のこと嫌いなんでしょ? なのに可哀想……一途にあなたのこと考えて」

「どういう……」

「そうとう鈍いわね。彼はね……。あなたが思ってるほどバカじゃないの。独りで困惑しているのはあなただけよ」

「な……、うっ!」


 その時、急に後ろから現れた篠によって口を塞がれた。何かの薬剤が染み込ませてあるハンカチらしい。琴乃が抵抗しなくなり意識を失うと二人は彼女を連れて居なくなった。それから数時間後に零紫が動き出す。琴乃は誘拐されたのだ。零紫は責任感などと言うよりは先に琴乃の安否の方を優先させていた。彼は私情よりも他人や他者を優先させ自らを犠牲にするタイプだ。その彼だから当然と言えば当然だろう。


「零紫……」

「先に行っています」

「お前、待て!! 作戦の要が居なくちゃ……」

「作戦の要? 二人で一人にしかなれない俺がですか? 俺は今は『ガイア』としては動いていません。俺は『剣刃 零紫』として動きます」


 そこにイマージェンシーコールが鳴り響き零紫は角から日本刀を受け取って『ガイア』から出て行く。その頃、琴乃はやっと気づいていた。捕縛されて空中に浮遊している球体のバリアの中に閉じ込められていたのだ。気づくとドンドン叩きながら「出せ」だの「ここはどこだ」などとわめき始めた彼女。その映像が『ガイア』の面々には届いている。外傷は未だにないが下手な攻撃は人質を取られている以上はできない。しかも、人質は荒神の忘れ形見のような琴乃なのだ。下手に手を出せない……。


「……畜生が」

「虫唾が走るな」

『何とでも言いなさいよ。引き替えには人物しか応じないわ。『剣刃 零紫』との交換しかね』

「……無理な相談だな」

『なら、いいの? この子、とことんお馬鹿よ? 下手に抵抗なんてしたら……』


 指を一度打ち鳴らし近くの操作をしている兵士がレバーを下げた。バリア内で電流が流れ琴乃が叫び声をあげたが終わった時に呟いている。『ガイア』の面々は怒りに満ちた表情をしていた。それもそうだ、これまでは普通に攻撃をしてこれたが今回は人質を取られた上に要求された零紫は独断で動いている。加えて何も今の彼らにはできないのだから……。


「零紫……は来させ……ないで……アタシは大丈夫だから……」


 矛が背負っていた槍を構えて『ガイア』の会議室を飛び出した。次に夜井兄妹が……最後に篠が複雑な顔をして部屋を出る。思世は下手に策を講じるよりも彼らに任せた方が得策だと判断したらしい。『ガイア』の重鎮達とくに正直でまっすぐな性格の夢路はいきり立ちモニターを割ろうかという勢いをしそれを止めている水無月と絵藤も目には並々ならない怒りを燃やしていた。その頃の琴乃は……。


「零紫君、来ないわねぇ」

「来るわけないでしょ。命令無視してまでアタシを助けるなんてバカなことしないわよ」

「そうね。あなたみたいに純真でお馬鹿に加えてドジな女をアタシは知ってるわ」


 いきなり変な笑顔を作り琴乃に話しかけた。零紫は先に出たが彼なりの手を尽くしているらしくまだ現れない。どこに居るのだろうか。その時、敵の軍艦が次々に放火を空中に向けて放ち始めた。矛が怒りに任せて体当たりし船底や横面、管制室のような部屋に槍と共に突っ込んで破壊していく。そこに紫神と皇太も加わり篠と零紫以外が全員揃って攻撃を開始する。だが、敵も数が多くなかなか彼らを進行させてくれない上に今回は厄介だ。旗艦同士のコンビネーションがとてもよく砲火が止むタイミングが掴めないらしい。


「あなた……鈴琴 美麗はアタシから荒神 修羅を奪った……。だから、最初からあなたは生かす気なんて無かったわよ。彼をおびき寄せる餌になってくれたなら、それで用済み……」

「ほ、報告します!」

「今、アタシはコイツと話してんだろうが!」


 報告をしに現れた兵士が一瞬で凍結しその氷が砕かれた。冷淡な調子でその少女は話を続ける。どうやら話が見えていない琴乃は必死に考えているらしい。しかも、自分の名前を違う似たような名前で呼ばれたのだ。気になるのが当たり前だろう。それに、彼女の心の奥底では恐怖と怒りを同時に放つ複雑な感情が湧き上がりながら、零紫が来てくれるという断ち切ったはずの期待すら出てきていたのだ。心は張り裂けそうな悲観と死を覚悟しながら零紫への捨てきれない愛。そして、少女に向けられた強い怒りと恐怖……琴乃はその複数の感情に悩まされている。


「零紫君は荒神 修羅のコピーよ。私は『創世主』の一族の末裔。氷土妃……。あなた、太陽妃とは相容れない立場の女。荒神 修羅は家も位も高いアタシを選ばずあろうことか裏切り者のあの女を選んだ。そうよ。それは零紫君も変わらなかった。だから、全てを終わらせるわ……。肉体を失ってまで愛した男と憎き女を別々に葬って……復讐する。あなたは……『創世主』のクローンなのよ」


 琴乃のバリアが急に解かれ尻餅をついた琴乃に手を凍らせて鋭利な刃にした氷土妃が首もとにそれを添えた。琴乃が目を閉じて覚悟するように生唾を飲んだ瞬間に……腰に刀を提げた兵士が現れ詩を歌い出す。声には二人とも聞き覚えがありその男が氷土妃に向けて黒刀を振り抜き最後の言葉を述べる。帽子を深く被って戦闘服を身に纏った細身な剣士はブーツで床を突く音を立てながら詩を読み終える。黒刀は氷土妃には当たらなかったが……。それなりの効果をみせてくれた。


「最後の鬼の修羅の道。黒白の刃を携えて御、護る身を護らんと月となりしこの身かな。今、我が身を省みず。愛しき者を護らんと……」


 帽子を投げ捨て黒刀を抜いて琴乃の周りを固めていた兵士と氷土妃に斬りつけ琴乃を抱き上げて回避しながら監視カメラを破壊しつつ逃げていく。その正体は零紫だ。零紫が回避の途中にかくしていた髪の毛を襟から出して腰に刀を納めた。それから、格納庫かラボのような部屋に入り二人で話を始めている。零紫の右手が一回り小さい身長の琴乃の頭に乗り、撫でた後にキツく抱きしめた。零紫も荒神に人として育てられたのだ。そのため、かなり豊かな情緒を最近強く見せるようになり始めたように感じられる。


「れ、零紫……いつから……」

「この船に後から乗り込む敵の輸送艇に乗り込んでこの船についさっき乗り込んだんだ。琴乃が連れ込まれた頃から行動を始めていたよ」

「れ、零紫……あのっ……キャッ……」

「無事で……良かった」


 零紫に琴乃から質問が入った。それもそうだ。理解できていないとしたとしても知らない当事者に言えば驚く内容だからだ。零紫の細胞の宿主は荒神、琴乃は名前も初めて聞いたような女性……驚くに決まっている。零紫はその話が出た瞬間に表情を曇らせたがすぐに真剣な表情に戻し麗美な顔立ちの零紫の顔が久しぶりに微笑んだ。零紫はその話をあまり苦にはしていないようすらしい。むしろ彼からすればこれは転機になる話だったようだ。


「アタシ……零紫とアタシはクローンだって……」

「そうだな。だが、亜潟さんも言っていた。俺は『荒神 修羅』ではなく『剣刃 零紫』だ。それと同様に、お前も『琴鈴 美麗』とは全く別なんだよ」

「で、でも、……」


 琴乃の言葉が触れる前に零紫の唇が琴乃のそれに触れた。琴乃はいきなりのことで零紫を突き飛ばそうと腕を胸に突いたが腕力では琴乃がどのように足掻いても零紫には勝てない。しっかりと抱きしめられた状態でそれを終えると零紫は琴乃を離して壁に手をつく。その後、弱く一言呟くと日本刀を抜いた。彼が何かに気づいたらしく琴乃はいつものように……とっさに頭を重ねて伏せている。


「無事で……本当に良かった……」


 目にも止まらぬ速さで零紫が機械の機動型の兵隊と戦い始めた。亜潟の黒刀には彼の金色のエネルギー波が馴染みやすくそれを利用し耐火耐水性の装甲を軽々と切り分ける。そのロボットの内で蹴り飛ばされた物が部屋の照明のスイッチを押してしまい部屋の明かりがついた。ここは……クローン培養のラボだ。しかも、培養されていたのは……篠と酷似した個体だった。下手をすれば数百はありそうな個体のポッドを零紫が憎らしげな表情をし片っ端に破壊し始める。彼には前々からわかっていた。篠はこの戦艦の主、氷土妃の部下で『ガイア』に改造人間識別番号『零』の素性を探るスパイだったのだ。しかし、彼はそれを責めるつもりはなかったらしい。彼もそうだが、途中から作られた個体には……経験がなく教えられたことが全てだ。そのため、強要されたに近い。それを理解しているからこそ彼は篠の暗い過去を打ち砕くためにそれらを破壊し始めたのだ。


「し、篠が……」

「これ以上……俺たちの仲間を苦しめるな!」


 部屋にあったポッドが全て破壊され中身は全て不完全体として処理がなされていたらしく空気に触れると急速に腐食して骨すら残らなかった。残ったのは無残に砕けたガラス片と金属製のパーツ、培養液……それだけだ。零紫が体を振るわせながら扉に向かって刀から波動を飛ばして再び戦い始めた。どうやら照明器具の電源履歴を調べられ場所を突き止められたらしい。零紫も必死で自分の体の変化を抑えていた。琴乃が近くに居る以上はあまり暴走じみた力を簡単には解放できないと判断したらしい。


「後ろに下がってろ!」


 零紫が敵兵に向けて刀を振り抜き接近しすぎた兵士は次々に命を落としていく。ただし、敵兵はそれなりに名をあげた傭兵集団のため零紫もこれまでのように上手く敵を撃破できていない。軍の正規兵は堅い訓練のもと組み合わされた型をたたき込まれる。しかし、傭兵は自らの技を鍛え上げた天然の戦闘素材だ。それをわかって氷土妃も傭兵ばかりを集めたのだろう。ヒットアンドウェイの戦法を駆使し接近戦に適応した傭兵と中、遠距離の兵士が組み合わせて次々に銃弾を打ち込んでくる。隙間無い攻撃が雑戦の基本だ。ルールのない戦闘はどれだけ敵を追い詰められるかが焦点になると言うことである。


「さっすがにこの数が相手だと大変そうだな」

「確かにな。お前らのようなやつが沢山いれば面倒だがこれくらいの実力を見せた程度で喚くな」


 琴乃に向けられた弾丸をかばい零紫の腕や背中に弾が数発当たった。しかし、背に腹は代えられないらしい零紫の体に傷はつかず金属と金属が当たるような音が聞こえる。その零紫の額から一角のような角が現れ頬に鱗が現れた。零紫が琴乃の方向から敵に向き直り刀を鞘に納めると爪を変化させている。初期に琴乃にも見せた爪に金色の固化したエネルギーを収束する武器は彼自身の体だったらしい。傭兵の内の数名は踵を返したように恐怖の色を浮かべて逃げていく。それにすら恐怖を感じない傭兵達は……。


「俺の目の前に現れ、壁をもたらす者は……皆、消す……」


 次々に犠牲者は増え続ける。零紫の黒い瞳の瞳孔が異様に光を強めつつ広がっていた。爪の攻撃を続けながら琴乃の様子を伺うことを繰り返し戦う零紫。敵を粗方片付けた彼は退避する場所を変えるため琴乃を抱きかかえて中心に空いている穴にダイブした。その下には動力炉があり零紫はその横に着地している。零紫が琴乃を立たせると琴乃が近づこうとしてくるのを拒んだ。


「零紫……」

「俺は……お前には傷ついてほしくない。俺のせいで傷つけるのは……もっと心苦しい」

「そ、そんな……」

「俺が怪我をするのは別に悪くない。俺はお前さえ怪我なく生きてくれれば……命だって惜しくない」

「アタシは……嫌だよ。零紫がアタシのせいで傷つくなんて……耐えられない。アタシだって……零紫の役に立ちたい。アタシ達は……」


 そこに巨大な氷柱(つらら)が落ちてきた。その瞬間に零紫が上から降りてきたオーラに覆われた少女と戦い始める。氷のオーラは篠と同じだが……異質に張ったオーラは篠の落ち着いた物と違い君が悪い。零紫が琴乃に下がるように告げてから……彼自身の限界に挑戦しようとしていた。


「もう一度だけ下がってくれ。コイツはヤバいぞ」


 零紫にはその力についての知識があった。第一次緊張崩壊戦争には幾つかの変期があり緊張崩壊期を迎えるまでにかなりの時間がかかっている。その期間に緊張が崩壊する要因があったのだ。それは『創世主』一族内での蜂起だった。一言に『創世主』とは言えどそれは確立された階級で区分されピンキリが激しい物だ。荒神はその蜂起の時に先陣を切って『創世主』の権威と象徴を守ろうとする独裁主義者と戦い父親だと記されていたリベイラ・オルドロスという人物を殺害。そして、琴鈴 美麗などの迫害を受けていた末端の血族を匿い逃亡し彼らは荒神の助けにより各地に散り散りに離散した。その時、彼を愛するが故の狂気に触れ……彼自身によって殺されたのが……、氷土妃だったらしい。本名、ブリザーデ・クィーナス。彼女のように肉体を失った『創世主』は記憶媒体にその身の記録を移し今、復活しつつあるのだ。荒神の記した情報ではそうなっている。零紫も全てを鵜呑みにはしないがここまで状況が揃ってしまうと信じざるをえない。


「二度目の失恋……。その女さえいなければ……アタシは『アシュレイ』の妻になれたのに……アタシはあの女とつながる全てを許さない。全てを終わらせてやる!」


 『創世主』一族の力、端的には無から有の生成と物質転移、生命の作成、融合などの他にも彼らは魂と器を自由に変更できるという恐ろしい力を持っていた。荒神 修羅……前名『アシュレイ・オルドロス』が記述に残した所によればその魂、現代では精神と呼ぶが彼ら『創世主』一族のそれを打ち破るには肉体と分離したそれを『創世主』が打ち砕かなければならないらしい。そして、『創世主』にはもう一つだけ恐ろしい力が備わっていたのだ。いや、備わっている訳ではない思惑により『植え付けられた』が正しいだろう。


「俺にも父さんから受け継がれた。今、古代の生物の血を今復活させてやる!」


 先程も述べたが『創世主』一族の特徴には生命の融合がある。それは『1+1=2』と言った具合には行かず『1』が何十倍に膨れ上がるという累乗計算以上に増幅率の高い空想論に近い。特に……残酷なのは……荒神 修羅には古代の生物の力が備わっているのだ。彼らはその子供達の意志に関わりなく異物を体に注入し体変化の能力を植え付けたと記されている。よって、荒神に植え付けられた力は零紫にも受け継がれたているのだ。零紫の体表の鱗と筋力、それは恐竜の物だという。彼女にも何らかの力が植え付けられているようだ。そして、その氷土妃はそれに容赦ない攻撃を加えてきた。零紫の力と氷土妃の力では能力が違いすぎて零紫が圧倒的に不利である。勝てる見込みなどないのだ。しかし、零紫は琴乃を守りたかった。そのために身を投げ打つ覚悟で氷土妃を討ちにかかったのだ。


「零紫……アタシが戦う。何でだろう……。力が湧いてくる」


 零紫を押しのけるように前へ出た琴乃の右目が金色に光を上げてオーラが辺りを包み始めた。零紫が後ろに飛び退いた瞬間に氷土妃が吹き飛ばされ琴乃が前進し次々に波動を打ち込んで行く。今まで琴乃は力を自分の意志で解放できず零紫に頼ってきていた側面は確かにある。その力が一度爆発すると今度は何も……、誰も追うことすら許さないような最強の力を体から放出しながら怒涛の攻撃を繰り出し続けるていたのだ。空中を浮遊している琴乃に氷土妃が喚き散らしている。


「分家の分際で……第二頭のアタシに逆らうなぁ!」


 零紫の方向にも氷のナイフを何千本と飛ばし琴乃は彼女に到達する前にオーラによって消されてしまい外傷は0。しかし、零紫はそれが出来ず刀でそれらを叩き斬り何とか抑えるが……。彼にもやはり限界はある数本のナイフの傷ができているがいずれも致命傷には至らない軽傷だった。戦闘は激化し最早何が起きているのかすら視覚では確認できない混沌とした状態になりつつある。琴乃は雄叫びを上げ氷土妃は喚き散らしながら各々のオーラをぶつけ合いながら死闘を繰り広げていた。


「ウオオォォォォォォ!!!!」

「手に入らないなら……。誰の手にも渡らないようにしてやる! アタシはこんなに愛しているのに!! 何故、あなたは振り向かないのよぉぉぉぉ!!!!」


 一度飛び退いた氷土妃は剣のような突起のついた鞭を構えてそれを振り回した。零紫は必死にそれを回避しているが……。数発目で回避しきれない軌道を描く。それをかばおうと琴乃が前に出る。その琴乃の腕に鞭が絡まり高い金切り声のような悲鳴を上げてるが歯を食いしばるように口を噤んで目をキツく閉じた。そのまま腕が凍結し始めてしまいさらに苦しみ始める。


「アアアアアアァァァアアァアァ!!!!!!!!」

「琴乃!」

「ごな゛い゛でえぇ!!!!」

「またよ!! あなたは何であの女だけぇ!! アタシに振り向いてよぉ!!!!」

「アァァァアアアァアアァァァァァァアア!!!! 零紫には……手だしさせないんだからぁ!!」


 琴乃が肩を強く振り抜こうとすると突起が突き刺さっている腕を始めとした部分を彼女自身が引きちぎり鮮血が飛沫を上げる。それと同時に氷土妃は顔面に拳の痕ができて吹き飛んだ。零紫が琴乃に駆け寄ると琴乃が離れるように告げてきた。その瞬間に無いはずの腕の造形を光がなして……腕が復活したのだ。しかし、その腕には入れ墨のような痕があり彼女が零紫の刀を手に取り……。この段階で零紫は琴乃が覚醒したことに気づいた。今、彼女が使用したのは有を無から生成する力だ。それが行われた時点で彼女は創世主として覚醒したということになる。


「伝わってくるよ。うん……零紫が月なら……アタシが太陽になる。亜潟さんもそれを望んでるから……」


 刀からは金色のラインが現れ琴乃が詩を念じ始める。金色のオーラが次々に刀へ集まり氷土妃に言葉を告げ、亜潟の白刀を構えた。零紫は琴乃を守るため後方から現れた敵兵を片付け始めている。次々にことは急速な展開を迎えていた。零紫の黒刀が振るわれる中で氷土妃と琴乃の決着がついていたのだ。零紫の目の前で力を使い果たしたらしい琴乃は崩れ落ち……指揮官を失って浮き足立った敵に『ガイア』が総出で動き出した。


「我、馳せ参じ器たる肉体より解き放たれし魂を打ち砕かん……。愛しきを守り我が愛人を護るため……。我が魂を差し出しことの週末を迎えよ」


 動力炉が傷つき爆発が始まった旗艦から、零紫が琴乃を抱きかかえて壁を切り分けて空中にエアシューズを付けずに身を投げた。エンジンは琴乃が巨大な波動を撃ちはなった瞬間に破砕し、外では赤い波動が周りの小型の旗艦軍を撃墜し始めている。その他にも琴乃の波動を合図に『ガイア』本部からの重砲撃が行われていた。次々に爆焔に包まれる旗艦は数分と保たずに赤い焔を上げて落下していく。


「終わった……」


 戸惑っていた篠が空中に身を踊らせて前進しある程度狙いを付けられる場所で弓にエネルギーを集中させた。次に皇太と紫神も各々の武器を構えて次々に軍艦を撃墜している。その途中で改造人間のメンバーと『ガイア』高官の皆が驚くべき物を見た。零紫の姿が空中で変化し背中から大きく無骨な翼が生えて額からは角が現れている。篠が再び呟き凝縮したエネルギーを……そこで放ち零紫達が当たらない場所に離れた所で彼らがいた戦艦にぶつけて爆沈させ完全に消失させる。零紫が一度集まっている改造人間の皆の前に現れ『ガイア』の地下滑走路のハッチが開いたのを確認してそこから中に皆で入って行く。


「篠」

「わかってる。……私はここには居られない」

「いや、終わったんだ。お前の蟠りは琴乃が終わらせてくれたよ。礼なら起きたら琴乃に言ってくれ。苦しかったんだな……」

「ま、俺も気づいてたよ。これからも頼むぞ。篠」


 零紫の体が元に戻り琴乃を病院に運び込んでから新たな行動に移る。彼も今回のことでいろいろなことを学んだ。琴乃が目を覚ましたのは事変から2日後。入れ墨のある右手を気にしながらだが、……零紫と気持ちを確かめあうなど彼女としては充実した事変だったらしい。『ガイア』に残留が決まった篠も今や普通の生活を手に入れた。


「これは?」

「俺の仲間の墓だ。コイツ等に教えてやらないとな」

「何を?」

「こういう事さ」


 零紫が琴乃を抱きしめてキスをする。零紫と琴乃の二度目のトラブルが解決してからは皆が円満に時を過ごしていた。また、それから数日後に再び『ガイア』の重鎮が息を引き取った。思世の急死に『空中要塞愛知』を揺らし……大きな戦闘を再び舞い込んだのだ。

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