WAR WAR WAR
各管理官やチームのリーダーが慌てて基地内の廊下を走り回っている。警報が鳴り響きホールなどのモニターには全て『緊急事態』やローマ字表記の文字、訳の解らないふにゃふにゃした文字などが羅列していて基地内は先ほどの落ち着いた感じとは違い騒然としている。琴乃は完全に気おくれし荒神の部屋で呆然としていた。零紫は巌磨とともに奥に消え荒神は召集を受け管制室に向かったのだ。十二年前の戦争の余波なのかそれとも新たな戦禍の発端なのだろうか。どちらにしろ今は定かではない。
「こちらメインオペレータールーム第一から第十の砲門統括室はこちらに回線を移しリンクを全て本部の専用ケーブルにつなげ!」
「了解!」
「A班は回線接続、移行を完了!」
「B班も同じく」
センタービルの中央管制室内右舷戦闘管制ブースでいつもは疲労で死にそうな顔をしている夢路 智基主任がきびきびと指示を出し『愛知』の保有する全ての攻撃、迎撃用の砲台を稼働させていく。『愛知』の側面についた砲台はA~Jまでの小班が管轄を受け持ち総指揮を取る思世の指示とシステム制御を担当する夢路が指揮をとる。全てのリンクが完了した時に左舷でも動きが見られた。
「総司令官殿! 砲台の管制システム異常なしです!」
「左舷『SEHシールド』展開演算システムオールクリア。空雅『黒燕』飛行大隊の後続機に『第二緊急レベルシールドポット』装備完了。いつでも開戦可能です」
水無月 鋭牙教諭の裏の姿はこの『ガイア』の文官の中での重役だ。この空中要塞『愛知』の防備をその神がかった計算速度と論理思考で海賊の襲撃から守って来た影の英雄。とうの本人は天然でその自覚はないが空中海賊の逮捕や全滅に貢献しているのは事実だ。
「荒神だ。『特務機関特別高機動科学隠密部隊』OGRE全員集合完了したいつでも出撃可能につき命令を待つ」
「こちら空軍大隊の空雅。尖突機動機陣、後続支援砲撃機、爆撃用中型機、小型空母の全ての『燕』が出撃準備を完了した」
思世が立ち上がり作戦実行の合図をした。その合図とともに各隊が一斉に動き出していく。騒然としていた管制室や廊下、会議室、砲門管理棟に致まで完全に騒ぎが収まり静寂が広がる。唯一聞こえてくるのは空雅の戦闘機団のエンジン音と夢路の指揮する砲門が開き始めた音くらいだろう。その頃の零紫達は……。
「この……くそが! なんでプログラムが機動しないんや!」
「どうかしたんですか?」
「どうもこうも無いねん! お前の機体プログラムが応答せんのや……。親父も居らへんし……。これまではお前の媒体は普通の改造人間の伝達式と同じように普通の伝達量で噛みあっとったんやが……」
「どうした! 巌君、君の部だけ連絡が無いから心配してたんだ」
「おぉ! 救世主や! 水無月はん! お願いがありますねん! この演算をチョチョイとお願いできまへんやろか?」
「巌君、もしかして……」
「そのもしかして……で身動きが取れんくなってもうたんや! せめてこの演算が終われば後はもとのアーマーデータを各種リンクするだけなんやけど」
「悪い! 回線に横やりして、俺に良い心当たりがあるんだけど。昨夜、保護された子の友達に『大原 君枝』っていう女の子が居るはずなんだけどな? 彼女に今連絡を取ってこちらに来てもらってる。息子たちのベビーシッタ―を頼んでいる子なんだが彼女はすごいぞ! 鋭牙ほどではないが彼女も相当な演算能力を持ってる。今から来てもらうから少し待っていてくれ!」
「了解や! それまでにこっちもできるだけ解いとくさかいたのんますな!」
「了解!荒神君にも回しておいたからそこはなんとかなるだろう」
同期のメンバー内では親密な関係を利用してトラブルも次々にクリアしていく。彼等の強みはチームワークの機敏さと正確さだ。タイプの違う六人が合わさったことで最高のチームが出来上がっているのだ。数分後係員に案内されて巌磨のところにたどり着いた君枝が到着し演算式の解析を零紫本人を加えた三人で行いできるだけ早い解決をめざし上下関係や一般人の枠を超え互いに信頼し合う事をこの三人は無意識に実現していた。それぞれの流儀の内に……。
「くそ! 何なんだよこれ!」
「剣刃君! うるさいよ。こういう時は静かに集中して!」
「後で絶対に臨時収入を求めてやるで……でないとこんなの割にあわせんは」
その作業を入っても気づかれないままの琴乃が眺めていた。自分も役に立ちたいがそんなに特技や飛びぬけた才能があるわけでもない彼女はすぐにその場からいなくなる。廊下をとぼとぼと歩いていると十字路の右側から細いがしっかりした手が覗きしきりに手招きをしている。そのころ空雅隊がおよそ100機、要塞の半島部にある滑走路から次々に発進し今回の任務地に向っていく。その後続に一機だけ違うカラーリングとフォルムをした飛行機が急降下し空雅隊の数機の護衛を受けながら攻撃を受け半ば占拠されかけている回遊都市『静岡』に向う。
「我、『蒼燕』敵影を右舷前方より確認。『黒燕』隊攻撃許可を」
「許可する。『碧燕』と漣陣形を組み波状攻撃を仕掛けよ」
「了解」
訓練度の高い空雅の直轄部隊には全て『燕』の一文字が入る。小隊長となる戦闘機にはそれぞれ隊のシンボルとなるカラーリングがしてあり良く目立つため狙われやすいが空雅の起用した精鋭たちの実力はその辺りに居る戦闘機などに撃墜されるような物ではない。敵の先陣隊はこちらの軍関連の三人、空雅、荒神、思世の三人が試行錯誤を重ねて作り上げた陣形の数々を絵を描くように指示どうりこなしている熟練のパイロットの猛襲を受け壊滅。別働隊を警護していた『赤燕』も下から加勢し敵の進撃は完全に食い止めている。そして手招きをされていた琴乃はそれに反応してそこに小走りに向かう。するとそこに現れたのは管制室にいるはずの思世だった。数個の無線を利用して各班や隊、軍に命令を出しているのだ。その思世が声を絞りそこに座るように指示しポケットから黄ばんだ袋を取り出して三つしているベルトの内の一つを外し背負っていたリュックから少し厚手のジャケットと厚手のズボンをだして次の指示を出した。
「すまない……時間がないから手短に話す。荒神は『静岡』のデータや戦力抽出を図りに向かっていて零紫の補助に回れないんだ。で……、いやかもしれないが零紫を助けてほしい。これは…………まぁ、荒神のお古で少し血なまぐさいが我慢してくれ。これもお古で悪いが拳銃の予備ともう一つだ」
「あの……、これをどうしろと」
「簡単だ。今から伝える手順でことを運べ。あとはなるようになる」
「はい」
思世の伝える内容は簡単そうで難しい警備兵に見つからないように通路を走り巨大迷宮のような『ガイア』地下本部の中を目まぐるしく駆け巡る。まずは更衣室に向かい思世にもらった戦闘用の衣装に着替える。薄い布のマントを着てさらに下層にエレベータを乗り継いで向かう。琴乃本人は『まるで映画見たいと!』はしゃぎながらそれをこなす。だが、先に待っているのは血みどろの戦いと初めてのことばかりの戦場だ。そして、最後の部屋にもぐりこみ零紫達が入ってくるのをひそかに待っていた。彼女の向かおうとしている前戦地では荒神以下十名ほどの戦闘員が任務を遂行している。今のところは死者も出ずに皆健在のようだ。
「荒神……。到着したか?」
「到着した。これよりリストアップされた主要人物及び将校、敵機関の破壊を開始する」
「健闘を祈る。我々の任務は侵略では無い。あくまで『静岡』の人民の保護だ。それを忘れるな。昔の『異名』を捨てたお前ならできるだろう?」
「わかっているさ。左腕を切り落とした時に誓ってる」
「……。そうか、俺も区切りがつき次第戦闘に参加する」
荒神の後に続く真っ黒い防具にスコープや暗器の数々を仕込んだ数名の兵士こそ『愛知』の軍関係者しか知らない普通の人間で最強かつ危険な戦闘員で『特務機関特別高機動科学隠密部隊』……別名OGRE。数も少ないが『改造人間』の起用前は必ず前線地に配備され隠密、暗殺、破壊工作、伏兵、臨時補充要員、臨時指揮官など多くを掛け持ちしていた部隊人員。『改造人間』の研究が成功しコストの関係や用途の薄れから不要になったためどんどん教育や作成は委縮したが過去に作成されその残存兵や未だにその面影を残している面々というのが彼らだ。10歳になるころに訓練や教育を始め、知識、運動能力、身体的機能の向上を経て一人前になるのだ。思世は危険を顧みずその封印を解き遂に彼らを前線地に送り込んだのだ。
「『鬼神』隊長。分岐点に到着しました。配置はどうされますか?」
「よし。俺と三人残り敵の迎撃だ。後の六人は二人づつ三手にわかれて『静岡』のメインコントロールルームから関係者の退避。殺されていれば敵の一掃と地下のシェルターシステムにこのチップを差し込め」
「了解『鬼神』リーダー」
二人の男がマシンガンを構え奥の暗がりに消えて行った。彼らは荒神の一年後輩のメンバーで中距離戦闘と近距離格闘の二つに長け荒神の『二本差し』と呼ばれたほどの猛者だ。
「次に敵の占拠していると思われる場所に行く。そこに行く二人は心しろ。敵は必ず『静岡』の攻撃管制システムを使い俺たちの『愛知』のシールドの薄い下部か空雅隊の小型母艦を攻撃するはずだ。そこのシステムを破壊するか敵を皆殺しにして来い」
「イエス! サァ!」
さらに筋肉質で大柄な戦闘に特化したような二人が奥に消えていく。彼らは外国の機関からの留学を目的にしていたが思世の指揮力と指示の的確さにほれ込み『愛知』にとどまるにいたったメンバーの生き残りだ。
「最後だ。これも多少は危険を伴うが『静岡』の海中船団及び空水中用戦闘機のパイロットがまだ下で抵抗しているはずだ。そいつらを海中滑走路から外に送り出せ。お前達も一緒に離脱しその足で本部に帰還して思世指揮官に報告しろ」
「はっ!御意のままに」
最後の二人は空雅の元部下で荒神のところに配属されたメンバーだ。彼らが最後に居なくなったのを確認した荒神も腰のベルトから二本のエネルギー収束サーベルを抜きたまに道を抜けようとする敵小隊の撃破を開始した。その頃、本部西区間のラボでは零紫の装備の変換とデータのアップデートが終わり鎧、剣、盾を装備させ彼を空中射出ハッチまで送っていた。
「よし! お嬢ちゃん良くやってくれたは! こんどなんかおごったるさかいな」
「おぉ! お兄さん太っ腹!」
零紫の装甲及び重戦闘用の武器の数々の戦闘プログラムやデータの挿入を終え、体に装着し終えたところで思世からの催促がかかりエレベータを乗り継ぎ下層の琴乃が潜む部屋に入って行く。西洋風の鎧兜に数々の装飾が細かく入っているエネルギー収束刃型兵器を装備している零紫の容姿はまさに聖騎士と呼ぶにふさわしい格好だ。思世の声がアナウンスで聞こえ遂に『改造人間』までもが戦場に繰り出される時が来た。彼の場合は荒神から訓練を受けているため戦闘用のシューズを履いて空中を滑るように進めるため、どこで戦っても有利に運べる。目標は敵の攻撃旗艦『ゴリアテ』……軍艦としては一番普及率の高い物だ。これの数は問わず可能な限り撃墜するという任務だ。
「行ってきます」
「気い付けやぁ!」
「頑張ってね! 剣刃君!」
その時、見送りのために射出口付近まで来ていた二人が目を疑った。戦闘用のシューズに特注の軽装備エネルギー伝達組織を着けた厚手の戦闘着を付けた兵士の一人が近くの暗がりから零紫に飛びつくように射出口から零紫の姿が消えるのと一緒に出て行くのがちらっと見えたからだ。
「なぁ……。お嬢ちゃん……、今の見えたか?」
「私の名前は君枝です。えぇ、『改造人間』って剣刃君以外には?」
「居ないはずやが……」
その答えは有るとすれば二つ。新しい『改造人間』かはたまた昨晩見つけられその存在が未だに世間に知られていない『創世主』である琴乃か。この場合は後者を取って考えるべきだろう。これはあくまでその兵士の独断ではなくちゃんとした命令に基づくものだ。
「おっと……。鈴音 琴乃さん、奇遇だね。なんでこんな空のど真中で出会うのかなぁ?」
「そうね……。そろそろフルネームやめてくれない? 疲れるし。今回はお墨付きよ。思世総司令官のね」
「なら、俺も何も言わないが邪魔だけはするなよ?」
「さぁ、どうかしらね! アタシの方が強いかもよ!」
そして、その頃の中央棟の管理室では絵藤副司令官に指揮を任せ思世総司令官がセントラルタワーの屋上で大型の荒神と巌磨が設計したそれ用の狙撃銃をかついで立っていた。
「リミットは後三十分か……。荒神急げよ」
敵旗艦のエネルギー砲の攻撃を見事に六角形のシールドを張り弾き返している水無月班のメンバーたちはそれに呼応するように弾き返したあとバリアが消えた瞬間に夢路班の操る側面砲がレーザーと言う名の火を吹いている。砲門はこちらの方が明らから質はいいそれでも敵は数でそれに向かい打つ。機械や兵器の敵との戦力差は現在の状況では五分五分だ。味方の攻撃兵が『静岡』の防衛を支援している間に『愛知』を落とす寸法だったのだろうがこちらも責められ続けるかと言うとそうもいかない。味方には各国の学者が認める天才人と大企業のシステムドクターをする事が出来るシステムエンジニア。そして最強のオタク・ニートと元軍の幹部クラスの三人に経済力を持つ画家兼作戦家が揃い、それぞれの力を使いこなし完全に敵の侵攻を防いでいる。
「敵旗艦が陣を展開! 鶴翼陣を敷き側面の砲台を破壊するつもりです!」
「わかった……。俺がなんとかするからお前らは落ち着いて自分のなすべきことにだけ目を向けろ」
『静岡』に変化が起きたのはその時だった。回遊都市は空と海の両面を要塞防衛においての防壁にしている。そのため海中と空中を両方移動でき速度と破壊力が劣らない種類の兵器がひつようになる。荒神が起こした隠密作戦の最初の成果が実り『静岡』の地下に潜ってせめてもの抵抗をしていた兵士たちの生き残りが次々に海面から空中に飛びあがり敵旗艦の下っ腹を付いていく。それとほぼ同時に『静岡』の住民が避難している隔離シェルターをその形態に移行させた状態で海面に射出し先ほどの航空機が数機ずつワイヤーを張り『愛知』に向けて登って行く。だが敵もそれを見逃すはずはなく旗艦からの砲火はそのシェルターに向けられる。
「させるかァァァ!」
『静岡』の『改造人間』と思しき影が敵の砲撃に向って槍を突き出し拡散させ、なんとか防いでいる。そこに零紫と琴乃が現れ加勢した。各々の武器を構え二人はくっついたまま一人、空中で戦う少年に近づく。
「お前は! 剣刃!」
「そう言うお前は斧柄だな……。久しぶりだと懐かしみたいが今は守ることが先だ! 行くぞ!」
「解ってる!」
槍は近接武器だが『改造人間』の生命エネルギーを凝縮し壁や円錐型のシールドを張って必死に『静岡』を守る。琴乃は一応、思世から二つのハンドガンを渡されていたがまったく使えていない。手がしびれてしまうのか撃っては休み撃っては休みの繰り返しをしている。二人が積極的に壁になれるのに対して琴乃は砲撃などが来ると零紫の後ろに避難する始末だ。
「おい! 鈴音 琴乃! かえれ!」
「嫌よ! 借りを作ったままなんて嫌なの! それから! フルネームは止めなさいよ! 琴乃とか鈴音とかにして!」
そして、『静岡』のセントラルタワーが爆破し中心のビル街が炎上していく。そこから数人の離脱者がこちらに飛んでくるのが見えた。その先頭に居るのは荒神らしい。最初に十名居たメンバーを誰一人として失うことなく離脱したようだ。そこでシェルターを守っている三人を発見し空中で合流して現状を伝えに来ていたのだ。
「これまた大物が来たな。鬼神の荒神、万里眼の思世、風来坊空雅。『愛知』の軍隊が誇る三英雄の内の一人に生きている内に会えるなんてな。あとでサインをくれないか?」
「お前は斧柄 矛だな……。最終的な戦線離脱後すぐ『愛知』に行ってそこの女の子に覚醒治療をしてもらえ。サインはいらないくらい会うことになるぞ。これからな……」
「は? ……それはどういう?」
「あの……荒神さん? アタシもまだそれの使い方解んないんだけど……」
「大丈夫だ。そいつを助けたいと思えばいいだけだからな」
『静岡』の中心街から広がった火の手がもぬけの空となった居住区にも広がって行く。犠牲になった住民も数知れないがシェルターの中に居る住民は次々に愛知の市長である田徒 細洲の支持で臨時の避難シェルターに列を作り歩いて行き彼らは安全を確保され幾分かの安心感に浸っていた。『愛知』の貿易センタービル最上階の特務機関『ガイア』の管制管理室では近況をうけ前向きにさらに勢いづいた水無月班の防御と夢路班の迎撃により少しずつ敵を押し返し始めた。そして、先ほどの三英雄が遂に動き、それに呼応するかのように外で戦闘を行っている編隊や『静岡』の残存兵、加えて防御主体の水無月の別機関までもが攻撃を仕掛け敵の旗艦を次々に撃墜し始めた。
「流石、荒神か。プログラムはあのオタクとか言ってたから少し不安だったが……、なかなかに完成度の高い物を作ったじゃないか」
万里眼の思世。敵の動向を読みそれに合った狙撃を忠実かつ完璧に行う元軍内での最強のスナイパー。荒神と巌磨が本当は夢路の管制システムとリンクさせて作ろうとしていた『自動測量エネルギー射出型スナイパーライフル』を彼のために最大限小型化してチューンしたモデルを使い思世は最初の一発目から敵旗艦の動力炉に打ち込んで撃墜したのだ。
「だけど、ちょっと重いかな……これは」
次に風来坊空雅。のらりくらりと戦場を渡り歩く一匹オオカミの傭兵を目指していたはずが、いつの間にか正規軍の大隊長になり軍の英雄のひとりとして数えられるほどの勇者になっていた。独特のターンや旋回、スピンなどの組み合わせで敵を翻弄し気の向くままに敵を落としていく凄腕のパイロット。幼少期や過去のことは一切不明。
「イィ~ヤッァホォイィィィィィィィィィィ!」
少しふざけ症なのがたまに傷だが。
鬼神の荒神。冷酷無慈悲の殺戮兵器として味方からも恐れられていた程の機械人間。感情が薄く起伏が激しいためうかつにてを出すと殺されるなどと言う噂も流れた。事実、暗殺者としての腕は本物でこれまでに仕留め損ねた要人はおらず破壊工作任務から要人警護まで全てをこなしてきた。数々の戦闘で顔に大きな切り傷を受け左手は義手、他にも数々の死闘の跡があるらしい。いつごろかは不明だが急に女性と付き合い結婚、それも長くは続かず離婚しその頃に軍も引退しいろいろな職を転々とするうちに現在の『ガイア』の技術主任に落ち着いたようだ。
「ぬかりは無い。皆! 死ぬなよ!」
「応!」
水無月 鋭牙。温厚で優しい彼も一度ヒートアップするとたちどころに凶暴化する。今回の戦闘では『SEHシールド』と呼ばれるシールドと『第二緊急レベルシールドポッド』を使って空中都市『愛知』に被害が出ないように全力で防御網を張っていた。
「皆! シールドを敵の旗艦の直前に張って! 一気に方を付けよう!」
「オォォォ!」
敵の軍基地はユーラシア大陸の沿海部にあり攻撃も可能だ……。しかし、彼らは攻撃をしてくる敵を抑えつけても侵略はしない。そういう主義のようだ。戦局は完全に明白化し敵の戦闘機や旗艦の一部が退避を始めるも未だに過激な思想を持っている敵の将校は攻撃を仕掛けてくる。味方は『静岡』の残存兵を向い入れ迎撃を続けながらも少しづつ撤退を始めていた。
「こちら総司令部の絵藤。荒神及び攻撃人員はこれから敵旗艦の本隊を撃沈してくれ。特に荒神には臨時に攻撃指揮を任せる。」
「了解副主任。これより突撃作戦を開始する。隊長及び作戦コード『鬼神』の指揮系統によりOGRE隊及び普通将兵の生き残りは全人員保護のため帰還させる。攻撃メンバーは『改造人間』コード『零』、コード『?』、コード『創』の攻撃作戦ルートを確立これより侵攻する」
荒神の攻撃部隊編成によって動かされているのは『改造人間』の二人と創世主及び普通人間養成開発機構作成個体『第48号』である荒神の四人で行動する。因みに他にも攻撃メンバーは居るが援護射撃や撹乱が目的だ。
「行くぞ。俺がおとりになる。三人は絶対に離れるなよ……。離れた時点で回避しきれずに死ぬだろう」
「荒神さん……そんな不吉なこと言わないでくださいよ。ホントになったらどうするつもりですか」
「だが、否定もできんな」
「あぁ、鈴音 琴乃は俺たちの後ろに居てくれよ」
「あ……。うん。解ってるわよ」
敵の旗艦の種類は四種。機動攻撃用の中型攻撃艦、戦闘機の格納射出が目的の空母型、防衛型旗艦、旗艦収容型超大型旗艦が鶴翼の陣形と機動型の巨大な陣形を駆使し防御砲撃を波状に行いながら主要艦のみを後退させはじめている。そして荒神が組んだ作戦は恐ろしく卑怯なものだ。簡単には敵の操縦士や要人を優先的に殺傷し機動力の落ちた敵旗艦に本部からの掃射をかけるのだ。
「智基……。準備はできたか?」
「あぁ、やっといたよ」
「鋭牙は?」
「こっちも準備出来たよ。合図とともにシールドを最高純度で展開する」
「作戦どおり動いてくれ。合図は無線機を使用して俺達にしか解らない『あのコード』を伝える。後は手筈どおりだ」
味方の戦闘機の数が帰還していくため外に出ている物は減っていく。それとともに本部への攻撃が再び激しさを増した。だが敵の最前列に配置されている旗艦は次々に思世の容赦ない狙撃で撃沈していく。加え空雅の親衛隊の『黒燕』隊が中距離にいる敵の防御艦に向って新しい兵器を撃ち込み敵のシールドを破り一機、また一機と落としていく。その隙ををついて一人がシューズのエンジンを全開にして敵の旗艦収容型超大型旗艦に潜入していく。言うまでもなく荒神だ。
「巌……。オペレーションシステムを機動してくれ、そのあとは今から送る血液サンプルデータと俺と夢路で作っておいた『改造人間補正用プログラム』をリンクさせてくれ。後は少々、荒療治になりそうだから俺の『パーソナルバイオログ』も展開しておいてくれよ?」
「アンタ死ぬ気かいな。まぁ、ワイからすれば口うるさい上司が居なくなってくれるなら嬉しいこと限りないんやが……って冗談や。アンタがおらんようになったらあの子をどうする気やねん。わいは面倒見きれんで?」
「死にはしないつもりさ。ただ、部屋の右奥にあるクローンメイカーを機動させといてくれ」
「アンタ俺のこと何やと思うとんの? 雑用かかりやないんやけど」
「大丈夫だ。一応はそれ以上のランクだからよぉ。ある意味では。『オタク・ニート』というろくでなしだからな」
その頃、三人は中央に構え敵の攻撃旗艦を撃墜していた。零紫は荒神の指示で本部から『改造人間』用の武器を空雅の兵士に運ばせたあと全て各々に配り自分も感触を確かめながら振ったりエネルギーを注入している。
「おい、この武器で本当にあの巨大な戦艦を撃墜できるのか? どうみても近接戦闘用の武器だが……」
「大丈夫だ。今見せてやるよ、我らが『ガイア』の技術屋たちの成果をな」
零紫が身の丈ほどある大きな剣を構え金色のエネルギーを集中させていく。極限とまではいかないもののかなりの量が注入され見た目でわかるほど強力になっている。
「すごいぞ! シンクロ率がどんどん上がってる」
「作ったかいがあったもんだな。智基」
「あぁ」
零紫の剣から光の孤が放たれ二機の旗艦がその斬撃型の光によって真っ二つになり落ちていく。降下途中に爆破し軽い爆風を受け髪をなびかせながら零紫が向き直る。
「できただろ? おっと、通信だ」
「こちら中央ラボ。矛っちゅう坊主がそこにおるか?」
「こちらコード『?』。矛は俺です。どうかしましたか?」
「おう……。単純明快に言えばお前にオペレーションを合わせるからその通りにうごきや」
「了解しました」
荒神の潜入作戦中に空雅隊が側面爆撃を開始しさらに潜入作戦の速度を上げた。しかし、それは敵の警戒を過剰に上げる結果となり荒神の侵攻はさらに難易度を上げたようだ。旗艦内に居る衛兵の動きが活発になっている。
「荒神? 大丈夫か?」
空雅の音声無線を途中で切断し自分の無線機を握り潰してしまった。そして小型のチップを付けているゴーグルに差し込み閉まっているシェルターに持っているレーザーナイフで刃を突きたてて切り、次々に突破しながら中央管制室に向っていく。
『空雅……。音声メッセージは避けろと言わなかったか?』
『すまん……。だがすでに一つ問題が起きてる。傍受した無線の内容だとお前の侵入が敵に知られてる。敵の機動攻撃兵がそっちに向ってるらしい。作戦を中断し爆破させて帰還しろ。『改造人間』なら熱線にも耐えられるがお前は一部を除いては普通の人間なんだ早く帰還しろ。そうしないと今度こそ死ぬぞ?』
『大丈夫だ……。死にはしない。あの時だってそうだったろう……』
要塞の外の戦闘はさらに激化。銃撃すらままならなかった琴乃も徐々に戦闘に慣れてきたのか支給された銃で敵の攻撃を流しながら攻撃し続けている。当たるか当たらないかは別にして彼女もそれなりに場の空気に慣れて来たように見える。矛は名前の通りに長めの槍や長刀などの武器を支給されていてその中でも気に入ったらしい矛を握り本気で敵の旗艦の群れの中央に投げ込んだ。それが未だに荒神が潜入している旗艦に矛も予想だにしなかった一撃として当たってしまいコックピットらしき場所を貫いた。
「ねぇ……。その軌道まずくない? あっちにはさ、未だ荒神さんが居るはずの旗艦が居るし」
「おいおい。マジかよ」
「すまん。ホントに……荒神さんの回線は……切られてる!」
「ヤバくない?」
すぐに攻撃体勢を崩した敵の様子を見ていた空雅の部下から連絡が入り帰還を告げると次々に黒光りする戦闘機が帰還を始めていた。零紫が状況を察して二人に帰還を促しすぐに荒神が未だに潜入している旗艦に向った。
「確かに空雅の言うとおりか。ここは爆薬をセットして退避するべきだな。最悪の結果を想定して『E‐ポッド』もある。回避作戦を開始しよう」
その時、敵の機動兵団が通路先からマシンガンで銃撃してくる。荒神は左手に零紫達のようなオーラをまとい背後の隔壁を掴んで敵との間に押し込み時間稼ぎをした。右手でエネルギー収束サーベルを握り先程の隔壁に突き立て直径十センチほどの穴を空けビー玉程の球体を空けた穴へ投げ込み更にもう一枚、隔壁を左手で掴み隔壁と同じ材質の金属壁とともにひっぺがえし自分の前に防御壁として張った。敵の悲痛な叫びの後に熱線が吹き荒れ隔壁を荒神の方向に押し返さんと怒り狂い猛威を奮っている。
「っ……。敵が多すぎる。限界があるか……」
「荒神さん! なんとか間に合った」
「爆薬は仕込みました?」
「いや、敵の反撃力と情報収集能力を甘く見過ぎていた。お前の力を借りたい」
「俺しかいないでしょ? 周りに」
零紫の剣で床、壁、機械を無差別に切り崩し旗艦の中央にあるエンジンルームに近づいていく。そこに到達するとすぐに予備の通信回線を開き狙撃を続ける思世と連絡をとり敵旗艦破壊作戦を開始した。
「夢路、水無月班はあらかじめ荒神との手筈通りに作戦を実行しろ。あとは俺と絵藤の予備プログラムサーバからアクセスして荒神と『零』の退避経路を取る」
『了解!』
爆薬のセットを完了し次々に階をさかのぼって行く二人。零紫が前を滑るように動き敵の攻撃を受け流しながらハッチに向う。
「荒神さん! アンタよくこの数相手に生きてましたね……」
「俺も一応そういう類の訓練を積んできたんだからな。お前も同等のことしてるんだぜ?」
次の段階を踏む中で敵の砲撃兵の迎撃をかわしながら進むが流石に数の差であろう……、零紫にも疲労が見えて来た。荒神と零紫が入れ替わり荒神のサーベルで近距離に詰め寄り抵抗する間を与えずに切り刻んでいく。断末魔の叫びは爆音によって掻き消されて誰にも聞こえない。先程の矛の攻撃がついに表だった被害を出し始めたのだ。
「荒神! まずいぞ急いでくれ! 敵の旗艦が一世掃射を始める気だ」
「荒神さん!」
「わかってる……。外の矛と琴乃さんに連絡を取ってくれ。すぐに行けるようにな。それまでは俺が時間を稼ぐ。三分間だ」
夢路、水無月の班の準備は既にエンターキーを弾くのみで思世の作った作戦が発動されるのを待っていた。思世本人は屋上でライフルを使って弾を撃ち込み小型の旗艦を落としていく。
「荒神! 急げ!」
零紫の通信中、荒神の左腕が変形し中から機械のパーツが見えて来た。零紫と同じ金色の光を放ちすぐに防御態勢を固め迎撃する。
「剣刃? どうしたのよ!」
「荒神さんと合流した。これから脱出する迎えを頼みたい」
「わかった。俺がいこう」
遂に旗艦の滑走路に出て滑空している。荒神の腕は銃撃を受けほとんど再起不能になっていたが顔に出さずに零紫とともに滑走路を抜け空に飛び出た。思世がそれを合図にコードを無線で読み上げた。
『21070213!!』
「夢路君! 行くよ!」
「ホイサ!」
『作戦実行!』
巨大なシールドを近くに一枚張り二枚目を敵の旗艦目前に張る。シールドの軟度を一気に上げ夢路が旧式タイプのエネルギー砲を撃ち込みシールドの中心に当て六角錐を形成した。数秒で形が綺麗に形成され見事な六角錐になっていく。
「荒神さん! 早く!」
「任せろ!」
水無月が再びシールドの軟度を下げ硬化させていくとそれを待っていたかのようにそこへ持続式のレーザー砲を撃ち込み六角錐を敵の旗艦軍にぶつけ次々に撃沈させていった。その後、荒神と零紫の居た旗艦が爆炎をあげ撃沈。『ガイア』本部では夢路と水無月がハイタッチをし他の隊員の中にも安堵する者、抱き合い喜ぶもの、恐怖がぶり返し腰を抜かす者などそれぞれの反応を見せた。
「どうだった? 荒神、久しぶりの戦闘は?」
「はぁ……。もう、こりごりだね」
戦地から帰還した荒神を思世が出迎え労いの言葉をかけながら笑っている。
「今回もお手柄だったな? どうせ今回もお前のことだからデータ取ってたんだろ?」
「思……。お前こそどんだけ図って俺をこの戦闘に参加させたと思ってる? これでお会い子だ。それから言わせてもらうが、今回の負傷や兵器の管理費は全部! 経費から落とさせてもらうからな」
「それくらい認めてやるから安心しろ」
市長の田徒との対面を済ませ管理施設に戻っている思世と防具を外しつつ機械の整備をしている荒神が笑い話を始めている。そこに同期のメンバーが集まり始め談笑の輪が広がって行く。戦争の直後とは思えない前向きさに少し驚きが感じられるが彼らにも流儀があるそれをくんで今回は触れないでおこう。
「お前の腕も落ちて無いよな? 思?」
「燕さんもまったくなまってませんがねぇ?」
「そう言う荒神はその腕どうした? 遂に自分で改造を始めたか?」
軍関係の三人が別々の体勢で座り『ガイア』の事務所内でお互いのい今についてつつきあう。そこに文官組が加わり話の枠がさらに広がってゆく。
「荒神君! ぶじでよかった」
「鋭牙……。こいつは殺されても死ぬ魂じゃないぞ?」
「違いないな……」
「絵藤……お前さらっとひどいこと言った?」
「そうか? ハハハハハハッ!」
『ハハハハハハハッ!』
戦闘によるセントラルシティ及び地下本部、周辺居住区には被害はまったく出ず今回の作戦で主任位以上のメンバーは全員昇格し給料とボーナスが支給された。他にも『静岡』の戦闘員から数人の功績者をピックアップし上官や副官、部隊長などに起用する。かわいそうな中間管理の夢路や水無月、絵藤などの文官、戦闘において体力、精神などに疲労を持つ軍関係者、負傷者などに一日の臨時休暇が与えられた。家族のもとに帰る者、趣味のために奔走する者、遅れた学業を取り返そうとする者、仕事を遂行する者。各々の目的に応じてバラバラに行動していく。かいつまんで動向を追っていこう。
「パパ! お帰りぃ!」
「智基おじさん。お帰りなさい」
「ぐぉ! 『我が子ながらあっ晴れだ……』ガクッ……」
夢路 智基が一カ月ぶりに自宅に帰宅し長男、恭平 長女の公江、吉乃。この三人の無邪気な攻撃をもろにうけ見事にひっくり返った。そのまま良心からか両手に持っていた荷物を運んでいく息子たちを朗らかな表情を見ている。椅子に座りすぐに子供たちの猛襲に合うかわいそうな夢路父であった。
「あ。鋭君、お帰り……あのね。ちょっと言わなくちゃいけない事があるんだけどね」
「うん?」
「この子のことなんだけど」
水無月 鋭牙の婚約者の浜崎 奈々代、職業『ガイア』起用人員看護兼事務員の一人。優しく気だてが良いが実は料理が苦手。その人が勢いで病院から連れて来てしまったのが後に状態が判明するであろう少女だ。持ち物は背負っていた弓と少しの金、他にも少々小物があったが本人の詳細を表すような物は無い。まったく身の上は解らないがひろってきてしまったものは仕方ないこれから二人のもとで預かるようだ。
「っ! 痛ぇよ!」
「我慢せえや! アンタどんだけ馬鹿なことしたかわかっとんのか? どんだけ心配したことか……」
「知るか……」
「知りや!」
義手の変わりに新しい機械のパーツで組み上げたぎこちない作りの物を彼の元々義手だった左腕に接続したのだ。本人はほっておくつもりだったのだが巌磨と零紫が押さえつけ無理やり組み上げたためかなり歪で形が悪い。現在の荒神の状態は四人の子持ちと化しかなり体力的にキツイ生活を始めたようだ。長男、ニートの巌磨 角は臨時休日を楽しんでいる。父親? のような荒神のシェルターから地上の個室を与えられそちらに移り住んだ。二男、『改造人間』の剣刃 零紫は彼は荒神の本当の姿を知り臨時休日のその日から本当の父親のように慕い『父さん』と敬意を持って呼ぶようになっていた。長女の鈴音 美琴は養いの親だとしても新たな家族の出会いを本当に喜んでいる。二女である鈴音 琴乃は零紫と住むようになったため少しつんけんしているが荒神の事は嫌ってはいないようだ。以上の家族? が荒神の所有しているシェルターや新たな家に住み着き落ち着いている。元鈴音家の家の地下から直接シェルターに繋がる通路を作り始めた荒神の仕事は絶えないが同期のメンバーで酒盛りする時間なども多くなってきた。
「只今……」
「お帰り。親父」
「…………言っとくがその呼び方をやめろ。俺はまだ26歳で16の子供を持てるほど老けちゃいない」
「いいじゃないですか」
「良くない。矛……。一応、お前は俺の部下扱いなんだからな。荒神はともかく俺は思世さんと呼べ」
「嫌ですよ。親父の方がいいです。語呂が」
あまり人に慣れ合わない二人、思世 貴登と斧柄 矛の日常の挨拶のような会話であった。下宿先のペアがこの二人になった理由は至って簡単。他に引きとれるメンバーが居なかったのだ。荒神は明らかに無理。絵藤はすでに引き取った。水無月も同じく。夢路は自分の子供で手一杯。空雅も無理があるらしい。
「皇兄!」
「どうかしたか?」
「あれとって!」
大竹宅での日常はこの連鎖によって成り立っている。絵藤の息子の雅生の遊び相手や大竹自身の助手として最近『改造人間』幼育所を出た夜井兄妹が下宿している。双子の兄の皇太と妹の紫神の凸凹兄妹は見ていて面白い185センチを超える兄と142センチでかなり小柄な妹、最新型の『改造人間』で扱いが難しく思世の指揮力とここの人員の優秀さなどから『愛知』におしつけられた形だが優しい絵藤一家の接し方に慣れこの街の住人としても慣れ始めたようだ。
この様に臨時休暇を境に新たな仲間も増えさらに賑やかになった『ガイア』本部。思世総司令官やこの街の市長である田徒などこの土地で尽力している者たちとともに空中都市愛知』もこれからの平和のため進化をさせ始めていくのだった。