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信頼の代償

こういうの慣れてなくてめちゃくちゃ読みにくいです。連載作品にしてるけど続きは書くか分かりません。もし楽しんでもらえたら幸いです。

西暦3400年。突如として世界全体でゾンビパンデミックが発生した。最初は世界中の国に一匹ずつ表れた。その一匹が人を噛み、感染し、そうやってゾンビが次々と増えてゆき、世界人口は1億人程度になり、日本の人口は300万人程度まで減少した。

そんな世界でも希望はあった。ゾンビが現れた1週間後。人間たちは一人ひとつ特殊な能力を獲得したのだ。能力は十人十色。千差万別だった。しかしゾンビたちも強靭な肉体と圧倒的な身体能力を持っていて、ゾンビ一匹に並の能力者2人で対処すれば噛まれることなく倒せるといった具合だった。

そんな世界でその少女は歩いていた。少女は身長は170センチほどで、白髪で髪は腰ぐらいまである。細身で黒いコートを着ている。名をエリと言う。彼女は廃墟と成り果てた街を歩いている。するとどこからかゾンビの唸り声と誰かの荒い呼吸音が聞こえた。エリはその方向に向かう。


やがてその場所にたどり着く。そこでは金髪で赤い瞳をした少女が一人でゾンビと戦っていた。しかし、防戦一方という様子だった。普段なら私には関係ないと吐き捨てどこかに立ち去るところだが、なんとなく気分が乗ったので助けることにした。空中から斧を取り出し、ゾンビめがけて投げつける。その斧はゾンビを真っ二つに切り裂いた。

エリはそれを見ながら呟く。

「首を狙ったんだけど…腕がなまったかな」

ゾンビと戦っていた少女はキョトンとしている。エリはその少女を見下ろしたあと問う。

「なんでゾンビと一人で戦っていた?こんな世界だ、複数人でグループを作って行動するのが普通のはずだが。」

少女は言う。

「えっと、ゾンビの大群に襲われて、みんな散り散りに逃げたんです。」

エリはふ〜ん。とていとうに相槌を返した。その後2人は話し合い、一時的に一緒に行動することに決めた。

エリは歩きながら言う。

「こんな世界になって当然国は機能してない。つまり法律に意味はなくなった。だから人はその身に宿す欲望を隠そうとしなくなったわけだが…あんたは無条件に私を信じてもいいのか?殺されるかもしれないぞ?」

少女。名は霞という。霞は言った。

「信じてるわけじゃありません。ただ、助けてくれたから感謝してるし、生き残るために一緒に行動するんです。警戒はしてます。」

「はっ。偉いじゃないか。それなら私から言うことは何もないな」

2人が歩いていると後ろから男の声がした。

「もしかして霞か?」

その声に霞は振り返り一筋の涙をこぼす。

エリはそれを見て霞に問いかける。

「その男は?」

霞は震える声で言う。

「…あの人は私のお父さんです。」

霞はその男に駆け寄ろうとする。しかしエリはそれを静止し霞に問う。

「お前の父親の見た目は?」

霞は涙ぐみながら言う。

「目の前にいるじゃないですか。金髪で、細身で。」

エリはそれを聞き鼻で笑いその男に問いかける。

「あんたの能力はなんだ?幻覚でも見せる能力か?」

男は少し驚いた顔をしたあと笑いながら能力を解く。霞はその男を見て言う。

「あなたは…お父さんと一緒にグループにいた人?なんでお父さんのふりをしたの…?」

男は言う。

「お前を騙したあと殺して色々と物資をもらう予定だったんだけどなぁ。まさか俺の能力を見破れるやつと一緒にいるとは想定外だったよ。」

霞は震える声で問う。

「殺して物資を奪うって…じゃあお父さんは、?」

男はまるで霞を嘲笑うかのように言う。

「あんたの親父さん?殺したよ。何週間か一緒に行動しただけですぐ背中を見せるなんて馬鹿だよなぁ。それに能力もあんな弱いならどっちにしてもゾンビに殺されてただろうなぁ。」

霞は絶望したような表情で膝から崩れ落ちる。そして泣き叫ぶ。

「ゾンビに襲われるあなたたちをみてお父さんなんて言ったと思う!?困ってる人がいるなら手を差し伸べないとって言ったのよ…。たしかにお父さんは強くはなかった。でも優しかった。なのに…なのに…!命をはって助けたのに裏切られたお父さんの気持ちがあなたたちに分かる!?」

男は腹を抱えて笑った。その後言った。

「わからないねぇ。全くわからない、ああいう馬鹿な雑魚の気持ちなんざ全くわからないねぇ。この世の掟は弱肉強食。弱いやつは淘汰されるんだよ。」

エリはそこで口を開く。

「同感だよ。弱いやつや馬鹿なやつは誰かに利用され、最後には殺される。しかしなぁ?そういう奴らがいるから人間はまだ絶滅してないんだよ。そんな中、優しい人間が殺され続けたら悪人ばっかりになっちまうだろ?だから私がバランスを保たないとな。」

そう言った刹那、エリの姿が突如として消え、男の首が吹き飛んだ。

そしてエリは霞に向け言った。

「人を信じるっていうのはこういうことだ。人を信じるということは裏切られる可能性を作り出すということ。言うなれば信頼の代償だ。」

霞は状況に追いつけない様子だったが、それでも覚悟のこもった声で言う。

「信じて裏切られるとしても…それでも私はお父さんと同じように生きる!」

エリはニヤリと笑い手を差し伸べながら言った。

「いいねぇ。私はあんたみたいなやつ好きだよ。私のファミリーに招待しよう。」

霞は様々な疑問を抱えながらも、その手を握るのだった。



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