第8話 魔王軍と国王軍
200年は過ぎただろうか、魔王軍と国王軍の長く激しい争いの結果、双方共に人口が3分の1を下回るほどに激減し、当然肥沃な大地などこの異世界には残っていない。このままでは、魔王軍と魔王軍、国王軍と国王軍での内戦が始まり、この異世界に生を受けたものは文字通りの地獄を見るだろう。
そこで、人知れず国王のSNSをフォローしていた魔王は、形式上の和平を提案したのである。
魔王「なあ、俺だよ魔王だよ、そろそろやばくね?なんで俺たち戦争をずっと続けてきたんだっけ?」
国王「確かにそうだな、俺もなんで戦争してきたかなんて覚えてねえ。」
魔王「魔王軍と国王軍は戦わなきゃいけないって誰が言い出したんだ?」
国王「しらねえよ、同調圧力だろ若い連中が勝手に喧嘩を始めたんだ」
魔王「俺たち終末ごとに釣りに行ったり、BBQしてたなんて知れたら若い連中どう思うだろう?」
国王「多くの血が流れたな、彼らの死を無駄にしないためにも・・・」
”10月31日魔王軍と国王軍は講和します☆
戦争なんてコスパ悪いからもうやめようよ
魔王と国王”
魔王軍と国王軍の両公式アカウントのつぶやきは突然だった。
こうして、この異世界では1000年の間、形式上の平和は保たれた。しかし一部の血の気の多い若い衆はどうしても小競り合いをすることをやめなかったのだ。当然、魔王軍の兵士も国王軍の兵士にも家庭があり家族がいるわけで、戦闘は小規模でも血が流れ、災害でもないのに孤児がいる状況を許すわけにもいかない魔王さんと国王さん。
魔王「なんか、血に飢えている感じはわかるよ俺も魔族だから。でも、坊やが生まれてから俺も丸くなった」
国王「若い衆達がぶつかり合ったりして丸くなるのは悪くないんじゃん?でもなんか平和に競い合う仕組みをつくらん?まーちゃん』
魔王「花火大会とか・・・?」
国王「いいねえ、スポーツとかだとどうせ乱闘騒ぎになるだけだからな」
魔王「それな!」
”これから毎年10月31日に平和のしるしとして花火大会をする
一番素晴らしい花火をあげたチームに最高金賞を与え、望みをどんなものでも叶えるものとする。
魔王と国王”
それ以来、この異世界では毎年10月31日の花火大会が催されるようになった。
もっともこの世界での花火大会は、現実世界の花火大会と違って見て楽しむというものよりも
威力と高さ、そしてその光量を競うものとなっていった。そのため、自ずと火薬を使った花火ではなく、
爆裂魔法を競い合う競技となっていったのである。