第四話 異世界と初恋(ver0.8)
昔買っていた犬のマリーに、ほっぺたを舐められた夢を見ていたナオト。
ナオト「・・・うーん、マリー!まてっ!ハウス!」
ナオトは、牧場のど真ん中で目を覚ました。大きな牛にほっぺたを舐められて目覚めたのだ。
ナオト「っげ!牛?なんで東京に牛がいるんだ?ここはどこ?北海道?」
1時間余り牧場を彷徨ったナオト。やがて遠くに村?いや街が見えてきた、街と呼ぶべきか村と呼ぶべきかわからない微妙なサイズの港町だ。ナオトはその港町へ駆けていった
ナオト「早く水が飲みたい。あと、おしっこ。なんで喉乾いているのにおしっこが出るんだろ、人間の体ってわけわかんないな」
小走りで村の宿屋に向かい、トイレで用を済ましたナオト。トイレに急いで行きたかったためか、なんの違和感もなく宿屋に入場したことに気づき初めて我に帰る。
ナオト「なんで宿屋?ホテルとか旅館だろ普通?ドラクエかよ(笑)ああ、そういうテーマパークね、北海道も観光に力入れてるってニュースで見たなー」
お土産屋も自販機もない、カウンターに主人がいるだけの宿屋。意を決して主人に話しかけるナオト
ナオト「トイレ勝手に使ってすみません。緊急事態だったので!」
主人「宿泊にしますか?それともセーブにしますか?」
ナオト「(徹底した接客だな)あのーそういうのいいので、近くにスタバとかないですか?」
主人「宿泊にしますか?それともセーブにしますか?」
ナオト「(ああそっち系のひとか。ずっと引きこもりしていて最近バイト始めたみたいな)・・・すみません!じゃっまた!」
宿屋を出てコンビニを探そうとするナオト、道ゆく人を観察すると、右いって左いくを繰り返すだけ。ずっとたったま手を振っている村人。なんか嫌な予感がしてきたナオト
ナオト「これってゲームでよく見るNPCのようなことをしているだけだよな・・だとしたら、村人の発言も同じことの繰り返し・・・」
話しかけやすそうな、老人に話をかけてみるナオト
ナオト「あのー」
老人「女神様にそっくりな娘が森で倒れていたところ、騎士団に救出されたらしい。その娘は、騎士団本部で治療を受けているが、意識が戻らないらしい」
ナオト「女神様って?」
老人「女神様にそっくりな娘が森で倒れていたところ、騎士団に救出されたらしい・・・・」
ナオト「それはさっき聞いたから、森って?騎士団って?」
流人「女神様にそっくりな娘が森で倒れていたところ、騎士団に救出されたらしい・・・・」
ナオト「すいません。すいません。大変お世話になりましたーー」
老人の気味悪さにドン引きして、駆け出すように逃げていったナオト
ナオト「騎士団本部か。RPGだったらまぁ条件反射的に向かってるけど、なんか実際に体験すると気味悪いな。」
村の人々を眺めて、ナオトはしばらく考えた。日が暮れるまで考えた。村人達は日が暮れても、同じ動きをずっと繰り返している。子供と犬は花壇の周りをずっと走り回ってる。鎧を着た騎士は、ずっと道具屋と武器屋の間を行ったり来たりしている。あっちのおじさんはずっと井戸の中をのぞいている。腰が痛くならないのだろうか。
ナオト「なるほど、騎士団本部に行けば、この悪夢が覚めるというこのなのね!」
自分の理解を超えたのか、それとも、なんらかの解を求めなくては精神が崩壊するのか、ナオトは決断した
ナオト「騎士団本部に行くぞ。娘のことはわからないけど、可愛かったらいいな」
騎士団本部に向かうナオト、そして案の定なんの疑いもなく、得体の知れない少年を娘のところに案内した、騎士団員たち。ナオトは娘が何日も寝たきりになっていることを聞かされ
団員A「昔からこの地方に伝わる伝承によりますと、女神様の生き写しのような娘が現れ、目を覚ました時初めて見た少年が勇者になる。と伝えられてます」
ナオト「いいね!悪夢の割にはちゃんとよくできてるじゃん、これならもっと夢の中にいたい気がする。その”娘”が可愛かったらいうことなしだな・・・」
団員B「さあ、女神様はこちらにおられます」
病室に通されるナオト、次の瞬間懐かしい顔がそこにあった・・
ナオト「山脇さん・・・塾で前に座っていた。天使。ずっと成績では勝てなかったから、ずっと彼女は僕の前の席だった。いつもツインテールばかり見てて、先生に怒られたな。「こいつの頭が大きすぎて黒板が見れない」なんて言ったな。」
団員B「さあ勇者様よろしくお願いします」
ナオト「なんで俺が勇者!?なんていう出来レース。だけど悪くない・・」
団員A「さあ勇者様」
団員C「さあ勇者様」
ナオト「しつこーい!なんかしないとやばい、とりあえず山脇さんを起こさないと。よし!」
ナオトは、ティッシュを捻って先を尖らせた、いわゆる”こより”である。こよりを山脇ユウナの鼻に慎重に挿入するナオト。
ナオト「山脇さんごめん。でもこれは夢だから大丈夫か。こんな夢を見るなんて俺って変態かも知れない」
ユウナ「はっっくしょん!バローチクチョーメ!」
ナオト「(この子はおっさんか)」
ユウナは目覚めて、ナオトの顔を見上げた。
ユウナ「あ、後ろの子!いけない、私授業中だったのに居眠りしてしまったわ」
ナオト「山脇さんおはよう!ここは僕の夢の中だよ」
ユウナ「はっ!?キモッ」
ナオト「あれ、夢から醒めないどーして?」
ユウナ「そこの鎧の人、ケーサツ読んでください。・・・あれ鎧?ここってUSJとかのテーマパークなの?」
周囲の違和感に、沈黙する二人、やがてナオトが語り始めた・・
ナオト「すみません、ここは僕の悪夢の中なんです。そして、ずっと好きでした」
ユウナ「わわわわ、なんで今告るの?順序が完全におかしいでしょ?」
ナオト「ごめん、どーせ夢かとおもって」
ユウナ「こんなの夢であってほしいわ、なんでよりによって君なのよ?」
ナオト「・・・」
ユウナ「ごめん・・・ちょっと言い過ぎだね・・・君のこと別に嫌いじゃないよ・・だた、君私のこと頭でかいって言ったでしょ・・・」
ナオト「ごめん」
ユウナ「謝らなくていいよ、顔ちっちゃいとか、足長いって言われるの嫌いだったんだ」
ナオト「・・・(女子の考えていること意味わかんねー)」
気まずくなって、おもーい空気が流れる病室。騎士団員たちは知らない間に、いなくなっていた・・
ナオトか会話を切り出した
ナオト「ねぇ、ちいかわの世界もここと同じ異世界だと思う?」