表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第五話: 星々の導き

【第五話: 星々の導き】


1.

かつて戦乱に見舞われた王国に、ついに平和が訪れた。人々は喜び合い、街角では至るところで祝祭の態勢が見受けられた。


勇者たちの活躍を祝う晩餐会が、王城で開かれた。勇者の一人である翔太は、仲間たちと笑顔でごちそうを味わっていた。


「おい翔太、お前さっきからずっと笑顔だぜ?」

「ああ、そりゃあおかしくてな。平和が戻れてよかったんだ」


はしゃぐ仲間たちの姿を見て、翔太は心の底から安堵した。しかし、運命のいたずらか、その晩、異変が起こる。


2.

突如、暗黒の力が街に忍び寄った。遥か彼方から、ある不気味な気配が迫ってくる。まるで全てを飲み込もうとするかのように。


「ぐわあああっ!?」

晩餐会場が暗闇に包まれ、大混乱に陥る。翔太は早速、街の外に飛び出した。


そこには巨大な翼を広げた魔物の姿があった。その圧倒的な力で、街は次第に蝕まれていく一方だった。


「くっ、なんてコテンパンな化け物だ...!」

翔太は仲間を呼び集め、魔法と剣を以て魔物に対抗する。しかし魔物の力には敵わず、次第に追い詰められていく。


3.

「ガハハハ!お前たちの力ではこの私に勝てるものか!」

不意に、魔物の咆哮が響いた。甲高い声と共に、魔物が放つ魔力の塊が勇者たちをさらに追い詰める。


「くそっ!このままじゃ世界が滅んでしまう!」

そんな絶望的な瞬間、ガルシア族長老が伝説の大魔導書の存在を教えてくれた。


「あの書にはかつて先人たちが、 最後の望みとして記した封印魔法が書かれているのだ」

「封印魔法...!? まさかあれを...!」

翔太は思わず目を見開いた。魔導書の封印魔法は、危険極まりないものとされていた。しかし今の事態を打開するには、それしか望みはなかった。


4.

ガルシア族長老から魔導書の在り処を聞き、翔太と仲間たちは古い神殿に急いだ。

しかしそこで驚くべき出来事が起きていた。暗黒の魔導師が現れ、既に魔導書を手に入れていたのだ。


「ぐはははは!望むところだった!」

その魔導師はたちまち、魔導書の力を解き放ち始めた。魔導書の奥に隠された力が、やがて街を蝕み始める。


「ならば俺たちもあの封印魔法で、お払い箱だ!」

魔物を倒そうと試みるが、どうしても魔導師の力が強すぎて、目的を果たせない。


「くそぅ...!このままじゃ俺たち、何も手に入れられねえ!」

絶望に打ちひしがれながらも、翔太は諦めきれずにいた。そんな折、日本の恩師のある言葉が頭をよぎった。


5.

昔、翔太が恩師に星の伝承を教わった時のことだった。


「占星術の根源は、星を見上げる事にある。星々の輝きを無視してはならぬ。その導きを感じ取ることから、未来を切り拓く力が湧いてくるのだ」


自分が星の加護を受けていると気づいたのは、この時のことだった。恩師の言葉を胸に刻み、翔太は今も星を見上げて生きているのだ。


「そうだ、俺は星の導きに従ってきた!俺自身が星の加護を受けているのだ!」


ふと、魔物との戦いで手にした大怪我の跡を見つめ直す。星の導きがあればきっとこの傷も癒されると信じたのだ。


6.

「おのれ...!星の導きを無視するものか!」


翔太は立ち上がり、再び仲間たちと魔道師に挑んだ。

そして遥か宇宙の彼方に、意識を向けた。

すると不思議なことに、星々の煌めきがこの惑星の上空に広がり始める。


「な、なんだ!?」

魔導師は戸惑い、露骨に不安げな表情を見せる。そしてその隙を翔太たちがついた。


「裏切り者め!この私の手から去れっ!」


翔太は仲間たちとともに、魔導書の封印呪文を唱え始める。魔導師の術中に割って入り、その魂を星々の煌めきに包み込んでいく。


「おのれらこの野郎らぁっ!」

魔導師の絶叫が聞こえたが、翔太たちはその呪文を止めることなく続行。

やがてそれはあまりの大きな魔力に、この次元を離れていってしまった。


7.

魔導師を封印してしまった翔太たちは、最後に大魔物に立ち向かった。

民衆の祈りが一つになり、王国全土から希望の光が放たれる。

そのエネルギーが翔太たちを守り、彼らに最後の力を与えた。


「この世界の平和を守る! 星々の導きを!!」


呪文と共に翔太たちから放たれた大魔力が、魔物を包み込む。

そして遂に地鳴りとともに魔物は封じられ、この惑星から去っていった。


晴れ渡る空からは、太陽がまた優しく光を放っていた。

人々は歓声を上げ、翔太を英雄と称えた。

しかしひとり、翔太は宇宙を見つめていた。恩師の助言を思い出し、新たな世界を目指す道を決意したのだ。


数日後、勇者としての役割を終え、翔太は占い師の一人旅に出発した。

旅立つ間際、ガルシア族長老から星の加護された杖を授かる。


「行きなさい、 未 知 なる世界へ」

「はい、私は星の導きに従い、世界中を見渡す所存です」


長老の言葉を胸に、翔太は新たな道を踏み出した。

終わりなき大いなる星々の導きを求め、新しい出会いを願いつつ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ