第二話:予知された危機
【第二話:星天の剣】
1.
姫君が魔物に攫われたという衝撃的な知らせが、王都にある翔太の元に駆け込んできた。翔太は王家の命を受けた占星術師で、幾度となく国を危機から救ってきた若き勇者であった。
「姫君が...!? まさか、あの穏やかな方が...」
翔太は落ち着きを失いそうになりながらも、すぐさま行動に移る。彼は星の動きから姫君の居場所を特定する古い魔法陣を展開した。やがて陣から淡い光が伝わり、翔太の目の前に小さな星座が浮かび上がる。
「ダリウス山脈の奥地か...かの地に魔物の巣があるというのは耳にしていたが」
遅れることなく、翔太は仲間の勇者たちを集め、救出の旅に出た。
2.
前を行く一行を、ダリウス山脈の厳しい自然が試した。険しい岩場、濃霧に閉ざされた森、砂嵐の吹き荒れる砂漠と、幾多の困難に襲われながらも、勇者たちは前に進み続けた。
そして迎えた決戦の日、太陽の光すら遮る巨大な魔物の巣が、岩山の向こうに姿を現した。
「来たな、待っていたぞ」
姫君を人質に取り、無数の魔物の怪物が現れる。絶体絶命の危機に、翔太は星の導きを求めた。やがて巨大な星々が姫君の周りを囲み、守りの陣を形作る。同じ頃、遥か彼方の夜空に、遺伝の鎧が浮かび上がった。
「陛下の加護......!この機会にあの魔法の鎧を目指そう!」
翔太の呼びかけに、勇者たちは魔物の群れに切り込んでいく。果敢に戦いは進み、遂には鎧の前に辿り着いた。しかし鎧の扉は堅く閉ざされたままで......。
3.
勇者の一人が、鎧の前で力尽きた。
「ダメだ...この扉は簡単には開かない...」
危機が訪れようとしたその時、暗闇の中でまばゆい光が天を駆け抜けた。
「あれは...!」
古来より伝承されし、星天の剣とも呼ばれる伝説の剣が、遥か宇宙の果て
より飛来していた。その剣身には無数の星々が籠っており、たちまち鎧の扉を打ち砕いた。
「見たか!この星天の剣の力を!勇者たちよ、共にあの鎧に入れ!」
翔太の導きにより、勇者たちは次々と鎧の内部へと移動する。すると星天の
剣の明りが鎧を包み、遂に鎖すら切り裂く程の強大な力が宿った。こうして魔物たち を打ち払い、姫君を救出することができた。
4.
光り輝く勇者たちの前に、突如、老賢者が現れた。
「よくぞ勝利を収めた。だが、今この世界を脅かす者がいる。 願わくば汝に新たな力を託させてもらおう」
老賢者の掌からは、古の文字が躍る魔導書が出現した。これは星の加護を
身につけし者のみが手にできるという伝説の魔導書であった。
「これを手に入れれば、例えようもない魔力と賢者の知恵を手に入れることができよう」
魔導書を受け取った翔太の手から、輝く星屑が振りまかれる。
「やはり私に、この力が備わっていたのか...!」
勇者たちはその場で研鑽を重ね、翔太の率いる下、新たな力を会得した。
そして迎えた数週間後――。平和な朝日が王国に差し込む。
姫君は、危機から逃れられた喜びと、勇者たちの活躍に感謝の言葉を述べた。
「この度の一件で、私も多くの事を学びました。星の導きに従い、勇気と知恵を
持ち合わせれば、どのような敵も打ち倒すことができると」
周りの面々が頷くなか、姫君は微笑んだ。続けて、賢者から受け継いだ魔導書を手に、新たな伝説の物語がここから始まることを予感させた。