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FILE.6 「違和感」

ようやく落ち着きを取り戻した一行。

助けてくれた彼らが何者なのか、美玖たちをどうするつもりなのか。

まだ何もわからないまま、美玖はふと……ある疑問を抱いた。

 その場に待機していると、局長が手招きしているのが見えた。

 おそらくバスの乗客全員を、ひとまず集合させるのだろうと察して無言でOLとは反対側の場所に座った。

 隣は年齢不詳の男性で、顔を横目でチラ見するとなんだかぶつぶつと呟きながら笑っている。


「これ異世界転移だよな? 俺たち、異世界に来たんだ。絶対そうだ。さっきの化け物だって本物だった。すげぇ、やべぇぞ」


 大きな独り言とその内容に、美玖は思わず顔の造形が崩れる。


(異世界? 何言ってんの? こいつ頭大丈夫?)


 そこで美玖は気が付いた。そういえばクラスメイトの中に、一目でオタクとわかる女の子がいた。

 その子はアニメやマンガが大好きで、気まぐれで話しかけた時に意気揚々と今ハマってる作品をおすすめされて、丁重に断ったことを思い出す。


(その子、確か異世界のラブコメだかなんだかにハマってて……って言ってなかったっけ? なんかよくわかんないけど、ゲームの中に生まれ変わって、そこで恋愛とかライバルに逆襲したりとか?)


 そこまで思い出して、彼女がハマっていたジャンルが「異世界恋愛ファンタジー」だったこと。

 そこに出てきた共通のワード「異世界」に注目する。


(あ~私、そういうの全然興味ないから見たことないんだよな~! なんだっけ、マンガに出てくるような魔法の世界のことを異世界って呼ぶんだっけ? え、ここがそうなの?)


 にわかには信じがたいが、もしこれが仮にテレビ局によるドッキリだったとして。

 ここまでリアルなものを作れるだろうか。

 実際いつも通ってるトンネルを抜けた途端、見たことのない森の中に出てきたこと。

 これを人間の手で「そう見せかける」ことは可能なのか。

 どこからどう見ても本物の森なのだから。

 それにドッキリの仕掛人だとして、局長と呼ばれる彼らの恰好。

 言葉で表現すればコスプレしているように聞こえるかもしれないが、彼らの髪や衣服などはどう見てもコスプレ感がない。

 不自然な髪色ではずなのに、そこに違和感はない。

 彼らが着ている制服も、コスプレによくある素材感がなく、自然に着古されたものにしか見えなかった。

 どう見ても違和感でしかないはずのものなのに、やはりそこに違和感はない。

 どのみち考え込んだところで何もわからないのだと、そう思った美玖は謎の集団が、あの局長がきっと説明してくれるはずだと思っておとなしく待つことにする。


 程なくして、森の奥へ引きずり込まれていたサラリーマンを一緒に美人系の女性が戻ってきた。

 サラリーマンはさっきまでカリカリプンプンしていた表情から一変、自身に起きた出来事をうまく理解出来ずに意気消沈している様子。


「蘇生術、成功しました。その他の欠損部分の修復も完了しております」

「ご苦労」


 軍人さながら敬礼するのは、彼らにとって普通なのだろうなと美玖は思う。

 アニメ関連は見ない美玖でも、地上波で放送する程度の映画ならいくつか見たことはある。

 バスの後方へ見ると、重症だった運転手もニノンによって怪我を治してもらった様子だ。

 運転手が何やらお礼の言葉を述べているのに対し、ニノンとユーゴは運転手の言葉が通じていないのでニコニコと営業スマイルを浮かべるだけ。

 そこでふと、美玖はここに来て最大の違和感に気付いた。


(あれ……、みんな……この人たちの言葉が通じて、ない?)


 彼らの会話を思い返す。

 美玖が直接会話をしたことがあるのは、局長のみ。

 そして局長は唯一、翻訳アミュレットと呼ばれる便利な道具を持っているから会話が通じていた。

 それを持っているのは局長のみ。

 そして他の人たちはその便利な道具を持っていないため、OLや運転手が何を言っているのかさっぱりわからなかった。


(え? 私、全員何言ってるのかわかるんですけど?)


 ニノンも、ユーゴも、そしてヨリも。

 彼らが自分たちに対して何を言ってるのか、彼ら同士の会話も、聞こえる範囲でいうなら全部の言葉を理解出来ていた。

 なぜかはわからない。だけど美玖はわからないことを考えるのはやめた。


(どうせそれもこの人たちが説明してくれるっしょ)


 美玖はどこまでも能天気だった。

【登場人物紹介】

名前 ニノン・オハラ

年齢 十四歳

職業 マヨイ保護局職員、戦闘・医療係

性格 楽観的で快楽主義者。幼稚な口調はわざとしている。局長が大好き。ユーゴやヨリは兄・姉のような存在で仲が良い(と本人が一方的に思っている)

髪の色 オレンジ色、長くてクセの強い髪、大体いつもツインテールにしている

好きなタイプ クールで、自分のことをぞんざいに扱う人。間違えない人。

嫌いなタイプ 人懐こくて正義感に溢れるタイプ。熱血。

特技 攻撃魔法全般、回復魔法は中級レベルまでなら扱える。興味を持った魔法なら習得が早い天才肌。

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