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極悪辺境伯の華麗なるメイド  作者: かしわしろ
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カブの港7

「こちらへどうぞ。」

そう言って案内されたのは高級感漂う部屋の中だった。


「先程は失礼いたしました。私はカブの港冒険者ギルド受付のシドリーと申します。そしてこちらが……」

「カブの港のギルドマスター、ラキウスだ。」

受付嬢の方は茶色ががった髪が三つ編みという形でまとめられていて、クレアは真面目な印象を受けた。そしてギルドマスター、ラキウスは鋭い目つきと幾多の戦闘を乗り越えたであろうたくさんの傷跡。初めてらラキウスを見るものはかなり怖い印象を持つことだろう。ギルドマスターと聞いて、クレアは勝手に年配の人を想像していたので、30代、下手をすれば20代くらいの見た目に少し驚た。


「お初に目にかかります。私はグルンレイドのメイド見習い、クレアと申します。」

「同じくメイド見習いオリビアと申します。」

「同じくメイド見習いレイリンと申します。」

シドリーはその美しい動きに目を奪われるが、周囲を美しく舞う魔力を観測することはできていないようだった。


「さすがだな。」

ラキウスはしっかりと見えているようで、感嘆の声をもらす。


「まずはお前たち、グルンレイド領からよく来てくれた。感謝する。」

「い、いえ、命令ですので。」

怖そうなみためから急に優しい口調と態度ででそう告げられたので、クレアは少し動揺してしまう。


「冷たいお茶です。外は暑かったですよね?」

「ありがとうございます。」

季節はもうすぐ夏というところで、確かに気温の上昇を感じていた。しかし、3人は常に魔法障壁を展開しているので、その程度の熱による影響はないに等しい。が、そんなことは言わずにクレアたちはお茶をいただく。


「いただきます……あっ、美味しいですね。」

「あなた方は飲みなれてるかもしれないですが、これもグルンレイド製のお茶です。」

紅茶とはまた違った味で、ごくごくと一気に飲みたくなるようなさっぱりとしたものだった。


「本当だ、すごく美味しい!」

レイリンの持っているコップを見ると、その中身は全てなくなっていた。


「ちょっと、レイリン。」

一気飲みするというのはあまり良く無いと考えたオリビアが肘で突きながら注意する。


「あっ、す、すみません。」

一気飲みという少し恥ずかしい行為にレイリンが謝るが、


「はっはっは、どんどんのんでくれて構わん。シドリー。」

「はいー!」

そうして真っ赤な顔のレイリンのコップに新しいお茶が注がれた。


「よし、早速本題に入らせてもらおう。例のものは持ってきてくれたか?」

「はい、こちらです。」

そういうとクレアはカバンから黒く輝く宝石を取り出した。


「ほう……すごいな。」

「こちらがカタストロフの心臓です。使いやすいように加工されたもののようですけれど。」

そのままでは危険すぎる“カタストロフの心臓“は、グルンレイドのメイドによって加工され危険の少ないものへと変わっていた。


「ほう……すごいな。」

「こちらがカタストロフの心臓です。使いやすいように加工されたもののようですけれど。」

そのままでは危険すぎる“カタストロフの心臓“は、グルンレイドのメイドによって加工され危険の少ないものへと変わっていた。ただし、使い方を誤れば大怪我につながるというもの十分にありうる。


「海中の瘴気だまりを消したいという依頼なのだが、どうやって使うんだ?」

クレアから宝石を受け取り、じっくりとみながら質問してきた。


「使い方は簡単です。目的の場所周辺ににこれを投げ入れるだけです。」

「それは簡単でいいな!」

宝石を大事そうにしまうと、ラキウスはシドリーに何か指示を出していた。


「これで依頼は完了だな。ほら、報酬だ。」

「い、いえ、そのような話は聞いておりません……。」

シドリーが奥から持ってきた袋がテーブルの上に乗せられる。しかし、クレアたちが聞いていた話の中には報酬を受け取ってくるというものはなかった。


「まあ、言ってないからな。」

そもそもグルンレイドとのやり取りでは、前払いが基本的だ。なので、ラキウスはすでにグルンレイド領に対して報酬を支払っているのだろう。


「チップというやつだ。受け取っておけ。」

「そ、そういうものなのでしょうか……。」

「そういうものだ。」

クレアは渋々その袋を受け取った。その中身は金貨100枚(約100万円)近く、子供相手に渡す金額にしてはあまりにも多すぎるものだった。


「お、多過ぎます!」

クレアのその言葉には返事をせずにラキウスは立ち上がり、別室へと移動していった。


「3人で割ったら金貨30枚くらいですので、グルンレイド領からカブの港へと運搬料としてはちょっと少ないくらいですよ。」

というシドリーの答えにクレアは納得することにする。


「それでは気をつけてお帰りください。またどこかで会えることを楽しみしています。」

頭を下げるシドリーを背に、3人はギルドを去った。


「ねぇ、これからどうするの?」

「宿を探す、かな。」

いったことのない町で何かを探すときは、現地の人に聞くのが一番効率がいいということをグルンレイドの講義の中で身に着けていた。すぐに近くにいた人に話を聞き、有名な宿の名前をいくつか頭に入れる。


「マリネ亭がいい!」

宿についての情報収集が終わるとレイリンがそう叫んだ。


「確かに海が見えて、頼めば美味しいご飯も出してくれるっていうのはかなり魅力的かも。」

「私もそこでいい。」

ということで満場一致でカブの港、マリネ亭という宿屋に泊まることにしたようだ。


「でもちょっと料金が高いって言ってたよ?」

「うーん、行ってみて高すぎたらまた考えよう?」

「了解」

そんな会話をしながら、早速マリネ亭へと移動を始めた。


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