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極悪辺境伯の華麗なるメイド  作者: かしわしろ
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カブの港5

「うわぁ……」

「いつ見てもすごい威力だよね。」

ギガントボアの硬い皮膚を貫き、一撃で沈めた。その攻撃力はメルテ、リア、アナスタシアを含めた見習いたちの中で最も強いと言っても過言ではないだろう。しかしその分溜める時間が必要であり、攻撃のモーションも見え見えなのでメイド同士の戦闘では当たることはまずない。


「もっと魔力を練ったらもっと強いのに……時間がなかったから……」

レイリン本人は少し納得がいっていないようだった。


「あれ、高純度翡翠は?……っていうかギガントボアの肉の破片とかが消えてない!?」

レイリンが警戒大勢に入るが、クレアはそれを抑える。


「大丈夫だよ。ギガントボアは魔物じゃないから。ほら、瘴気を感じなかったでしょ?」

「そうなんだ!」

レイリンは戦闘中も確かに瘴気ではなく、魔力を纏っていたことを思い出す。


「だからこの牙も採取できる。」

クレアは足元に落ちていた、オリビアが切断した牙を拾う。


「はい、オリビアちゃん。」

「あ、ありがと……でも別にいらないけど……」

「えっ、もったいないよ!これめっちゃ高く売れるよ!?」

「ならもらう。」

そう言ってオリビアはギガントボアの牙をカバンの中にしまおうとして、巨大すぎてしまえないことに気づく。


「……手で持っていこう。」

「……そうだね。これから行く港で換金すればいいし。」

そんなやりとりをしている中、少し離れた場所からレイリンの声が聞こえた。


「あっ!見つけたー」

その方向に2人が移動すると、地面から何かを拾い上げるレイリンがいた。


「絶対これでしょ!」

黄緑色に光り輝いている美しい宝石が掲げられる。


「うん、それが高純度翡翠。見つかってよかったね。」

「すご!体がちょっと軽い!しかも魔法障壁がすごく楽に展開できる!」

レイリンはそう言いながらその場で飛び回った。それに満足すると、


「はい、オリビアちゃん。」

と言ってその宝石をオリビアへと渡す。


「え、なんで……」

「オリビアちゃん欲しいんでしょ?」

「でもレイリンだって取りたいって……」

「いいのいいの、私は見た目がいいなって思っただけ。オリビアちゃんはその“効果“でしょ?そっちの方がこのパーティにとってもプラスだよ。」

その話を聞くと、オリビアはクレアの方をチラッと見る。


「私もいいと思うよ。その方がこのパーティの強化にも繋がるし。」

リーダーの許可も出て踏ん切りがついたのか、一旦その巨大な牙を地面に置き、その宝石を大事そうにレイリンから受け取った。


「みんな、ありがと。」

いつも無口であまり素直ではないオリビアがそんなふうにいうのが珍しくて、レイリンはオリビアに抱きついた。


「うっ、やめて!話して!」

「はなさないよー!可愛いから!」

必死に抵抗するも、抱きついているレイリンを話すほどの力はオリビアにはないので、されるがままになっていた。


その様子を、クレアは笑顔でそっと見守っていた。


ギガントボアを討伐し山を越えると、面前には広大な海が広がっていた。そして視線を下に向けると、港町が見える。


「すっごー!私初めて海みた!」

「うん、私も……」

レイリンがはしゃいでいると、オリビアはグッタリとした表情でそう答えた。レイリンのパワーにもみくちゃにされてかなり疲労しているようだ。


「大丈夫?オリビアちゃん。」

「……大丈夫。」

クレアは見るからに大丈夫ではないと思いながらも、なんだかんだいつものことだと思い、特に心配することはなかった。


「ねぇ、ここから飛び降りればいい感じに下に行けるんじゃない?」

オリビアが今にも飛び出しそうな格好でそういった。クレアも下を見てみると、確かにかなり急な斜面だったので特に問題ないと考える。


「うん、いいかも……」

「じゃ、先に行くね!」

クレアが答えきる前にレイリンが木から飛び出してしまう。目の前に広がる広大な海しか見えていない様子だった。


「さ、オリビアちゃんもいこ。」

「了解。」

クレアとオリビアもレイリンに続いて、かなりの速度で港へと降っていった。


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