表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/23

6.

 (※ウォーレン視点)


 先日は驚いたが、おれはリンダの言葉を信じることにした。

 そして今日は、そんな愛する彼女と一緒に町へ出掛けていた。

 ときどき、こうして一緒に出掛けることがある。


 彼女は車椅子に乗り、おれがそれを押している。

 今日は、新しくできたカフェに行く予定だった。

 そのカフェは海の近くにあって、テラス席からの眺めが最高だという噂だ。

 

 そうそう、噂といえば最近、街でよくヘビが出没するそうだ。

 誰かが飼っていたものが逃げ出したのが原因だそうだ。

 しかも、逃げたのは一匹ではなく、何匹もいるらしい。

 だから、もし遭遇したら危険だから、カフェに行くのはやめておこうと言ったが、リンダは心配し過ぎだと言った。


 まあ、確かにそうかもしれない。

 たかが数匹逃げたヘビに偶然遭遇するなんて、そんなことが起こる確率は極めて低い。

 心配のし過ぎだと言われても仕方がないだろう。

 それに、ずっと屋敷にいると、さすがにリンダも息が詰まるだろう。

 たまには外出して、気分転換した方がいい。

 

「着いた。ここが新しくできたカフェか。確かに、いい眺めだ」


「ええ、そうね。とっても素敵。ウォーレン、連れて来てくれてありがとう」


「いいんだよ。君の喜んでいる顔が見られて、おれも嬉しいよ」


 おれたちは、テラス席に座った。

 そして、コーヒーとサンドイッチを注文した。


「あぁ、いいところね。あ、こっちに猫が来たわ。可愛いわねぇ」


 リンダの方を見ると、彼女の足元に猫がすり寄っていた。

 彼女は手を伸ばして、その猫とじゃれ合っている。

 しばらくそうしていたあと、その猫はほかのテラス席に座っている客の方へ行った。


「いいわねぇ、猫。私たちも飼ってみない?」


「そうだね。大事なことだから、ゆっくりと相談して、決めようか」


 店員が、注文していたコーヒーとサンドイッチを持ってきた。

 おれたちは、しばらくそれらを味わいつつ、眺めのいい景色を楽しんでいた。


「やっぱり外に出るのは気分がいいわね。また、ここへ来たいなぁ」


「いつでも連れて来てあげるよ。君が望む場所なら、どこだろうとね」


「ありがとう、ウォーレン」


 なんて幸せな時間なんだ。

 最近は、勢いよく飛びあがっていたリンダのことが時々頭をよぎっていたが、やっぱりあれは気のせいだったのだろう。

 目の前にいる彼女が、嘘をつくなんて思えない。

 おれたちの間に真実の愛があることを、改めて認識した。


「あら、何かしら? 足元で何かが私をつついているわ。さっきの猫かしら……」


 リンダが足元を覗いた。

 おれもつられて、テーブルの下を覗く。

 今度はおれも少し、猫とじゃれ合いたい、そう思っていた。

 しかし、そこにいたのは、猫ではなかった。

 リンダもおれも、悲鳴を上げた。


 そこにいたのは猫ではなく、一匹のヘビだった……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ