5.
(※ウォーレン視点)
いやいや、きっと気のせいだ。
病弱なリンダが勢いよく飛び跳ねるなんて、そんなことあるはずがない。
きっと、元気な彼女の姿が見たいと思っているおれの心が見せた幻だろう。
うん、きっとそうだ。
……本当にそうだろうか?
幻にしてはかなりリアルだったような気がする。
しかし、それでも信じられない。
あのリンダが飛び跳ねていたなんて。
だって、それでは、彼女の病弱が嘘だということになる。
彼女が長年おれに嘘をついていたなんて、そんなことは信じられない。
それでもおれは、彼女に聞かずにはいられなかった。
「え……、えっとね、あの日は、えっと……、そう! あの日はたまたま調子が良かったの。驚かせてごめんなさいね。私が病弱だというのは、本当のことよ」
というのが、おれの問に対するリンダの答えだった。
当然、おれはその言葉を信じた。
リンダがおれに嘘をついている可能性よりは、たまたま調子がよかったという可能性の方が高いからだ。
彼女がおれに嘘をつくなんてありえない。
おれたちは、愛し合っているのだから。
彼女から直接聞くことができて、おれは安心した。
一瞬でも彼女を疑った自分が恥ずかしかった。
たとえ病弱だろうと、おれは愛する彼女のために尽くそう。
改めてそう思った。
*
私は自室に戻って、あの時のリンダの顔を思い浮かべていた。
病院には行きたくないと必死に叫んでいた彼女を。
彼女が病院に行きたくない理由は、考えればわかる。
というか、考えるまでもない。
彼女は、病院へ行って診察されることを恐れているのだ。
なぜかというと、病院で診てもらうと、彼女の病弱が嘘だとバレてしまうから。
今までは買収していたかかりつけの医師に偽の診断書を書かせていたが、彼は先日亡くなってしまった。
つまり、普通の診察を受ければ、彼女の病弱は嘘だということが証明されてしまうので、彼女はそのことを恐れて病院へ行きたがらないのだ。
医師を買収するのに、彼女は全財産を叩いたと言っていた。
つまり、もう医師を買収して偽の診断書を書かせることは、不可能だということだ。
さすがにウォーレンも、今日のリンダの飛び跳ねようを見て、彼女を疑い始めただろう。
まあ、簡単には現実を信じないだろうけれど。
私はこれからも、リンダが病院へ行かなければならなくなるシチュエーションを作り出すつもりだ。
そのたびに、リンダは病院へ行くことを恐れ、震えながら拒み続けるだろう。
そしてウォーレンはそんな彼女を見続けると、彼女に対する疑惑が大きくなるだろう。
いったい、二人の真実の愛はいつ終わりを迎えるのか、今からそれが楽しみだった……。