第4話 地味に深刻な問題発生
さて、私エリーが通う事になる聖トラヴィス魔法学園。
ここはイシュメイル全土から魔法に素養がある子供たちが集められ、その力を効率よく発揮したり、制御する術を学ぶ場。
王国を築いた初代国王トラヴィスの名が冠せられたこの学園は、その名の通り、初代国王が創始なされた由緒ある…というか、最高峰の存在だ。
なお、この世界において魔法は基本的に遺伝で、誰にでも使えるものではないらしく、使える者=貴族、使えない者=平民、みたいな扱いらしい。
使える者としては、他にも魔族みたいな別種族がいたりするけれど、人間の世界では概ね、そんな具合だ。
その為、事実上この学園は選ばれし貴族たちの学び舎になっている。
そんな世界において、時折、貴族の中でも魔法を使えない人が出てくると、それはそれで厄介な事になるらしく
下手すると「持たざる者」は放逐されてしまったりする。
おっと、これは異世界物にありがちな
「〇〇から追放された俺が××で無双」
って人材がそこらへんに転がっているかも知れないわけですな?
機会があったら探してみよう。
ま、この世界では、ひっそり慎ましく生きていくと決めた私だ。
きっと異世界無双者の主人公のパーティーに入れば、食いっぱぐれる事はあるまい。
幸い、可愛さだけはあるようなので、何ならヒロイン役になっても良いのよ?
いやいや、そこまでは贅沢は言わない。
せめてハーレムの5~6番手で、
「こいつ、パーティーに入る時だけ目立って、それ以降、全然目立たんな」
みたいな、wikiに2行程度しか記載がないようなポジションで構いませんので。
おっと、願望が漏れ出てしまった。
んで、逆に平民でも時折、魔法を使える人も出てくる。
そんなイレギュラーな存在が私なわけで…
そうなると選択肢は大きくふたつ。
学園に申請をして平民ながらに通学するか、その力を隠して生きるか。
平民の魔法使いが学校に行かないとなると、どうしても魔法は独学に頼る事になる。
そうなると基礎も応用も滅茶苦茶で、下手をすると大惨事を引き起こす事もある。
そうならないように、将来的には市井に戻るとしても、学園で基礎くらいは習っておいて損はない。
王国としても、変な奴が魔法を暴走させないように管理できるので、たいていの場合は然るべき手続きを踏み、魔力があると判断されれば入学が許可される方針だ。
……ただ平民無料割引が効くのは学費までで、生活費までは工面してくれない。
そのせいで、相当な貧乏暮らしを余儀なくされる(私だ)生徒も少なくなく、そこは今後の課題として残されている。
そんな学園生活が始まったわけだが、早くも大問題に直面する。
―― 友達が誰もいない。