ターニングポイント第96話処分
大内勤勉と豊影率いる萬崎軍と天河軍は何とかしんがりを勤め上げることに成功し岐阜城に向かって逃げている萬崎本軍に必死こいて追いつこうとしていたのであった。
萬崎が戦に敗れて三日後の春日城では
「申し上げます。萬崎軍が上城軍に大敗を喫しました」
「それはほんとですか!」
金崎は驚いた。
「福井県の金ヶ崎にて上城軍と戦っていて最初は萬崎軍が有利に戦っていましたが突如琵琶家の裏切りにより萬崎軍は多大な被害を出しながら退却し萬崎本人は無事岐阜城に着いたとのことです」
「そうですか、それはよかったですが経丸さん達は」
「まだ、行方がわかっておりません」
この言葉を聞いた金崎は飲んでいたお酒を膝の上に全てこぼしながら
「わかりました、今すぐ出陣の準備をしてください。経丸さんを助けにいきましょう」
珍しく取り乱す金崎に家臣達は慌てて
「殿、落ち着いてください。今から行っても間に合いません」
金崎は物凄く経丸達を心配するのであった。
その頃京都では。
「何‼萬崎軍は琵琶家の裏切りでボロボロになって萬崎は逃走だと」
「琵琶よくやった、よく裏切った」
将軍稲毛は満足そうに笑顔で家臣に言った。
「とりあえずさっさと萬崎を捕らえて首を持ってこい」
将軍稲毛はその日一日上機嫌だった
無事岐阜城に着いた萬崎は
「はぁー、此度の戦はまいった、まいった」
天子は無事に帰って来た萬崎に抱きつきながら
「殿がご無事で本当に良かったです」
「当り前だろ、天下を統一する男がこれくらいで死ぬわけないだろ」
「そうですよね」
萬崎が天子とイチャイチャしていると
「殿、しんがり部隊が無事戻って来ました」
「おう、そうか戻って来たか」
「それと天羽経丸殿も来ております」
「経丸さんも来ておるのか早く呼べ」
「はい」
家臣は経丸を呼びに行った。
「経丸さん、此度の戦勝手に逃げてしまってごめんね」
「いえ、あの場面では仕方のない事ですよ」
経丸は興奮気味に
「しかし、豊影の奴私達に対する態度はおかしかったんです!」
萬崎は首をかしげながら
「豊影の態度がおかしかった?」
士郎は興奮状態の経丸に冷静に
「もういいじゃないか経丸」
経丸は興奮気味に
「言い分けないでしょ、私の大切な外岡士郎が何の罪もなく10回も顔に蹴りを入れられたんだよ許せるわけないでしょ」
片倉も経丸の意見に同意するように
「そうだよ、士郎君。殿が怒るのも無理ないよ。俺だって頭に来てるんだから」
経丸の言葉に驚いた萬崎は
「なんだ、どういう事だ?」
経丸が一歩前に出て萬崎に
「豊影は我らはしんがりに割ける兵がいなかったのにしんがりを務めなきゃ戦おうと言ってしんがりをするように脅してきたんです」
萬崎は驚いて
「豊影そんなことしたのか⁉」
「はい、それで士郎が天羽軍を率いてしんがりを勤めてくれました」
「その時に私を先に撤退させたことが気にくわなかった豊影が士郎の顔を十回も蹴ったんです」
萬崎は経丸達三人に深々と頭を下げて
「それはまことに申し訳なかった」
士郎は慌てて
「萬崎殿が謝る事ではないですよ」
「必ず豊影は処分を下すので許してくれ」
「すみませんがどんな処分を下そうが私の大切な外岡士郎の顔を十回も蹴ったことは絶対に許せません」
「経丸、そんなこと言うのよせ。萬崎殿は悪くないんだから」
と士郎は言ったが心の中では自分のために本気で怒ってくれる経丸に嬉しく思っていたのであった。
しばらくして豊影の元へ
「何、大内と天羽家が生き残っただと」
「はい」
「くっそー、あいつら死ぬと思ったから俺らは撤退して後で言いように自分だけが活躍したって萬崎に報告しようと思ったのに」
「それと殿萬崎殿が呼んでおります」
「萬崎が呼んでる?まぁ此度俺活躍したからな褒美か」
萬崎は豊影に三百万の罰金を命じた。
罰金を命じられた豊影は
ふざけんなよ、命張ってお前を撤退させてやったのに
萬崎は大内勤勉に豊影とは対照的に上機嫌で
「此度の活躍は本当に素晴らしかった勤ちゃんありがとう」
萬崎は大内勤勉に多大な褒美を与えると
「ありがとうございます、これでやっと妻を楽にさせてあげることができます」
萬崎は満面の笑みで
「それはよかったな」
「はい、ありがとうございます」
「ねぇ、勤ちゃんってまさか愛妻家?」
萬崎の質問に大内勤勉は照れながら
「いや、まぁそうですかね」
萬崎は大内勤勉の肩に腕を回して笑顔で
「まぁ照れるなって、妻を好きなのは当り前の事なんだから」
「そうですね」
「勤ちゃんは愛妻家だから俺と気が合いそうだ。一緒に甘いものを食べながら妻のいいところを語り合おうじゃないか」
大内勤勉は戸惑いながらも
「はい」
二人はその晩甘いものを食べながら妻の事を語り合ったのであった。
そして翌日の早朝
広間に皆を集めた萬崎は皆の前で
「此度は負けたが必ず上城家を滅ぼすぞ」
「殿、琵琶家はどうするおつもりですか?」
「琵琶家は滅ぼさず降伏を促すだけだ」
「殿!それは甘くないですか」
「甘かろうが俺は琵琶家を滅ぼす気は全くない」
琵琶家では
「さて次はどうやって萬崎軍と戦おうかなぁ大和」
「父上、あのようないきなり裏切って背後を突くやり方は卑怯ではないですか」
「卑怯?お主まだそんな戯言を言っているのか」
「戦うにもやり方があったはずと言ってるのです」
「お前の使命は何だ?」
「滋賀の村人の平和を守る事です」
「だろ、だったら使命のために手段など選ぶな!」
大和はうつむきながら
「はい、わかりました」
琵琶大和は浮かぬ顔で部屋に戻ると
浮かぬ顔の琵琶大和を見た智江は気晴らしをさせてあげようと
「大和君、切り絵を教えてくれない?」
「あぁ、いいよ」
最初はテンション低く切り絵を教えていた琵琶大和だったが
やっぱり智江といると落ち着く僕には智江が必要なんだ。だから僕は智江を絶対に守らないといけないんだどんな手を使っても智江だけは守らないといけないんだ。
こうして琵琶大和は萬崎をどんな手を使っても討つ覚悟を決めたのであった。




