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ターニングポイント 第87話元服

萬崎との上洛が終わり大多喜城に着いた経丸達はやらなきゃいけないことがあった。


「大殿、殿は無事今日元服の日を迎えられる事が出来ました。お見守りありがとうございますこれからもよろしくお願いします」


 片倉は心の中でそう言って大多喜城内の畳の部屋にある長経の仏壇に手をあわせた。


 長経が亡くなってから二年がたっていたのである。



「殿、襟が少しずれています」


「ごめんなさい、直してください」


「殿、緊張してるのですか?」


「まぁ、そうね」


 凛は笑顔で


「しっかり頑張ってください」


 そう言って経丸の肩をポンと軽く叩いた。



 

 今日は城に皆が集まり、経丸の元服の儀式を行うのである。



「経丸さん、ちゃんとビシッとした格好をして素晴らしいですね」


「今日はわざわざ私のためにありがとうございます」


 経丸は金崎に深々と頭を下げた。


 金崎は親のいない経丸の親代わりとしてわざわざ出向いてくれたのであった。


「殿、うぉーかっこいい!」


背中を痛めて寝ながら元服式に参加する士郎は


「海老太郎急に大声出すな」


「すみません、でも殿かっこよくないですか?士郎さん」


「そういう事はそれがしに振るな」


「士郎、私の格好どう?」


「へん、ちんちくりんが格好つけたってちんちくりんじゃ」


 海老太郎がニヤニヤした顔で


「殿これ、士郎さんの照れ隠しですよ」


 皆どっと笑った。


「海老太郎、お前後で殺す」


「何でですか、僕間違った事言ってないですよ」


「うるさい、うるさい絶対に殺してやる」


海老太郎は士郎のほっぺをツンツンと突っついて煽るように


「りふじーん」


 海老太郎の言葉にまた皆笑ったのであった。




「そろそろ始めるので殿準備の方を」


「はい、わかりました」


 経丸は片倉に連れられて行った。



 そして元服の式が始まり何事もなく無事に進行していき式の終わりに片倉が


「殿、最後に一言どうぞ」


 経丸は立ち上がり


「今日は私のために皆さん集まってくださりありがとうございます。私は弱く頼りない当主ですが皆さんのおかげで今日まで大多喜の当主としていられることが出来ました私はもっと努力をして必ず大多喜の人々の平和を守り幸せにするのですが私一人ではできません皆さんの力がないとできないのでこれからも皆さん私に付いて来てくださいよろしくお願いします」


 経丸は深々と頭を下げた。


 士郎は経丸の言葉を聞いて少し涙ぐみながら


「経丸、たまにはいい事言うやん」


 経丸は士郎を睨み付けて


「うるさい、茶化すな士郎」


「あー、士郎さん泣いてるよ」


「泣いてないわ、海老太郎ぶっ飛ばすぞ」


「へぇー、兄貴泣いてんだ」


「だから泣いてないって凛‼」


 皆が次々と士郎をいじる中


「そんな泣いたっていいじゃないですか感動したんですよね、士郎君」


「先生だから泣いてないって」


「まったくせっかく助け船出したのに素直じゃないんだから士郎君は」



 式が終わり宴会となった。


 金崎は経丸に酒を注いで


「元服して初めてのお酒ですね、グッといっちゃってください」


 経丸は金崎に頭を下げて盃を手に取りグッとやった。


「いい飲みっぷりですね」


 金崎は経丸の飲みっぷりに喜んだ。

 

 宴会の時間が三時間も経過して沢山の酒を飲んで酔った経丸は酔いを醒まそうと風に当たろうと縁側に出た。


 すると後ろから


「殿、今お話し大丈夫ですか?」


「あっ、片倉さん大丈夫ですよ」


 片倉は経丸を自分の部屋に招いた。


 片倉は酔っている経丸のために白湯を渡して一息させてから


「殿、元服おめでとうございます」


 経丸は片倉の言葉に照れて


「何ですか改まって」


 片倉は目を潤ませながら


「いやいや、嬉しいからですよ。あんなに小さかった殿がここまで成長されるなんて夢のようですよ」


「片倉さんは私の事を最初から支えてくれている唯一の家臣ですから片倉さんにはとても感謝しています」


 深々と頭を下げる経丸に片倉は


「もったいないお言葉ありがとうございます」


 と言って深々と頭を下げた。



「殿、私は殿にこれを見せたくて」


 片倉は机の引き出しから取り出した者を経丸の前に置いた。


「こっ、これは⁉」


「大殿が殿が元服した時に渡してくれと」


 経丸の目の前には新しい名刀や弓矢などの沢山の武器が置いてあった。


「刀は殿の者でございます」


「それ以外の者は元服まで付いて来た家臣に渡せとのことです」 


 経丸は目頭が熱くなった。


 父上ありがとうございます私は、私は無事に元服出来ました。


 経丸が無意識のうちに流している涙が長経の遺品に落ちた。


「殿、これからも大殿は見守ってくださってますから武士として恥じぬ生き方をしましょう」


「はい」

 


 その頃士郎達は


「おい、デモン何でお前ら来たんだよ」


「うひゃひゃひゃひゃ」


 酒の入ったデモンが笑い出したのにつられて酒の入ってないひょーたも笑い出す。


「おい、笑ってないで何か言えよ」


 凛は呆れた感じで


「二人とも飲み過ぎだよ」


 悠太も心配そうに


「そうだよ番長酒弱いんだからあんま飲んじゃだめだよ」


「お前、そんなに笑うならくすぐってやる、こちょこちょ、こちょこちょ」


 デモンは士郎にくすぐられて爆笑し始めた。


「おい、ひょーたもデモンをくすぐってやれ」


「オッケー、任せて」


 士郎とひょーたの二人がかりで全身をくすぐられているデモンはますます笑いが止まらなくなった。


「なんだかんだあの人たち仲いいんだよね」


 凛の言葉に


「ホント、そうだね」


 ひのも同調した。


 海老太郎は士郎達を指差して


「これが無礼講って奴ですか?」


 ひのは真顔で


「いや、あの二人に身分の差はないから無礼講じゃないよ」


 海老太郎は首をかしげながら


「無礼講って難しいですね」


 いや、難しくはないんだけどね


 ひのはそう思い海老太郎を不思議な者を見る目で見た。


「ひっのー、そんなに見たら僕照れますよ」


 ひのはフフッと笑った。


 それにつられて海老太郎も笑い出した。


 なんだかよくわからないが二人は爆笑し始めたのであった。 


 二人を見て不気味に思ったうーたが


「わかんない、あの二人変わっているから」


 デモンが士郎に絡むように


「俺にはうーた、ひょーたって相棒がいるけど士郎、お前には相棒なんていないだろ」


「何言ってんだ、それがしにだってチビルって相棒がいるんだぞ」


「嘘つけ、ならここに呼べよ」


「あー呼んでやるおーい相棒、相棒」


「ねぇ凛ちゃん、こっちに向かって士郎が相棒って叫んでいるんだけど」


「あー、稲荷さんを呼んでいるんだよ」


「俺いつからあいつの相棒になったの?」


「さぁ、わからない」


 稲荷は士郎のところに文句を言いながらも向かったのであった。

 

 皆でわいわいガヤガヤやって夜は更けていくのであった。


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