ターニングポイント第84話大勝
士郎は片倉達に背負われて萬崎軍の本陣に戻って来れた。
「士郎、良く戻って来てくれたね」
経丸は背負われて戻って来た士郎に抱きついた。
抱きつく経丸に片倉が
「殿、ダメですよ士郎君は背中を怪我しているんです」
士郎は震えた声で
「片倉さん、もう遅いです」
士郎は痛さを通り越して何も感じなくなってしまっていた。
「士郎、ごめんすぐに横になって」
「ありがとう」
横になった士郎に萬崎が
「ご苦労であった、すぐに医者を連れて参るからそれまでゆっくりしておれ」
「ありがとうございます」
萬崎軍は一旦城への攻撃をやめ負傷者の手当てを始めた。
その頃城を取られた支城の城主たちは必死に城を取り返そうと琵琶軍と豊影軍を攻撃するが逆に返り討ちにあい壊滅状態まで追い込まれたのであった。
勢いに乗っている琵琶軍は萬崎軍と合流した。
「おー我が弟、よくぞ援軍に来てくれた」
琵琶大和とは真顔で
「兄上の窮地を救うのは弟として当然です」
萬崎は笑顔で琵琶大和手を取って
「俺はこんな頼もしい味方がいて幸せ者だ」
褒められて照れる二人に萬崎は改まって
「今日はお陰で助かった、ありがとう」
琵琶大和ますます照れてもじもじする。
「今日はとりあえずゆっくり休んでくれ」
二人は声を揃えて
「はい、わかりました」
「ちょっと待ってください」
「どうした、山根君」
「今日の夜再び観音寺城に攻め込んだ方がいいです」
「なぜだ?皆、今日は凄い戦って俺らの軍は多大な被害を受けたんだぞ」
山根は強い口調で
「だからです、敵方は多大な被害を受けた我々が今日はもう攻めてこないだろうと思い油断するでしょう、その油断している所へ総攻撃を仕掛けるのです」
「しかし、これ以上兵に無理をさせるのか?」
「今日、一日で観音寺城を落とせば他の敵方の城にも萬崎軍は強いと思われ直接戦わず戦意を喪失させることが出来るでしょう」
「わかった、総攻撃をかける、弟、協力してくれるか?」
二人は声を揃えて
「もちろんでございます」
「よし、皆に大量に持ってきた飯をふんだんに振舞え」
萬崎の命により兵士達は思う存分大量の飯を食らった。
萬崎は経丸を呼び寄せ
「二時間後に観音寺城へ総攻撃をかける経丸殿は士郎の看病に専念してくれ」
経丸は真剣な目つきで
「いや、私も行きます」
「いや、人は足りているから看病に専念していていいよ」
経丸は言葉に覚悟を込めて
「私に士郎の仇を討たせてください」
経丸の覚悟を感じ取った萬崎は
「わかった、じゃあ共に戦おう」
「はい」
経丸、片倉、海老太郎は萬崎、琵琶連合軍と共に観音寺城への総攻撃に加わる事となった。
萬崎軍は夜中の三時にみつわ方にばれないように松明も焚かずに城に向かいそしていきなり観音寺城に襲い掛かった。
「おい、なんだこの地響きのような音は!」
飛び起きたみつわ航平に家来が
「殿、萬崎軍の奇襲でございます」
「ホントか、皆をすぐ起こせ‼」
「はい‼」
観音寺城の兵は今宵はもう戦はないだろうと油断しきっていて皆が皆寝起きを攻め込まれたので城内は大混乱となった。
混乱に乗じて観音寺城に忍び込むことが出来た経丸達は
「片倉さん、海老太郎君行きますよ」
「はい」
「天瞬羽突‼」
「懸命守覚‼」
「日々成長‼」
と叫びながら敵兵を斬りこんでいく。
みつわ航平の家臣は掛け軸をめくり
「殿、この抜け穴からお逃げください」
みつわ航平が慌てて穴に入ろうとしたその時
「何をされているのですか?」
「くっそー、見つかったか!」
逃げようと穴に入ろうとするみつわ航平の腕を経丸は掴んで
「だから何をされているのですか?」
後ろから無言で経丸に斬りかかろうとしたみつわ航平の家来を片倉が「殿が話しておるだろうが‼」と叫びながら瞬殺した。
みつわ航平が驚いた隙に経丸と海老太郎は思いっきり両腕を引っ張り穴から引きずり出した。
みつわ航平は半泣きで
「お前ら、卑怯だぞ、いきなり攻め込むなんて」
半泣きで声を荒げているみつわ航平に対して経丸は淡々と
「介錯してあげます。武士らしく切腹しなさい」
「ふざけるな!俺の時代はまだ終わっていない…お前らと違って俺はこの日ノ本に必要とされているんだ‼」
「私利私欲のために将軍を殺し戦乱を巻き起こすあんたなんか誰が必要としてるか‼」
「うるせぇぇぇー‼」
いきなり襲い掛かってくるみつわ航平を経丸は簡単に返り討ちにした。
「あんた、最後まで救えない男だったね」
経丸がみつわ航平を討ったことにより戦は終わった。
萬崎は宴を開き皆を上機嫌で労った。
この勝利で他の二つの城で萬崎軍を恐れるものが相次ぎ城兵の大半が逃げ出し戦える状況ではなくなってしまったのであった。
萬崎軍の大勝に終わったこの戦萬崎は天下統一へ大きな一歩を踏み出したのである。




