ターニングポイント第80話大内
経丸達が部屋で休んでいるといきなり戸が開いた。
「経丸殿行きますよ」
いきなり行くぞと言われてもどこに何をしに行くかわからない経丸は萬崎に
「どこに何しに行くのですか?」
「後の将軍になる男に挨拶に行くんですよ」
経丸は凄く驚き
「えっ!私も一緒に行くのですか?」
「当り前だ、後に将軍になる人に顔を覚えてもらった方がいいからな」
「確かに、こういう機会がなければ将軍になる人に会う機会などないですもんね」
「萬崎殿、私も付いて行ってよろしいでしょうか?」
「お主はダメだ、俺と経丸殿二人だけで行く」
「何をたくらんでおるんですか?」
「安心しろ、経丸殿に何もせぬから」
萬崎はそう言って片倉の肩を叩いた。
「では、いこうか経丸」
「はい」
片倉は行こうとする二人に待ったをかけた。
「ちょっとお待ちくだされ私を途中まで一緒に行かせてください」
萬崎はすごむような声で
「なぜ、俺を信用できないのか」
「このご時世、何が起こるかわかりませぬ万が一の事を考え私が殿のそばを離れるわけにはい来ません」
萬崎は優しい表情で
「経丸殿は素晴らしい家臣を持って幸せだな」
経丸は笑顔で
「はい、片倉さんは私の誇りですから」
こうして萬崎と経丸達は後の将軍の待っている人里離れた寺に入って行った。
寺は一目でわかるようなみすぼらしい所で後の将軍がいるような場所ではないが一年前に将軍だった兄が大阪の大名みつわ航平と兵庫の大名大宮陽太、奈良の大名みつわ竜基のみつわ三人衆と呼ばれる者達に暗殺されそれからというもの京都にいるのは危険だと思い福井の大名、上城徹の元に身を寄せたが上城徹に何度頼んでもみつわ航平達みつわ三人衆と呼ばれている者達を討とうとする気がなかったので急速に力をつけてきている萬崎智晴に頼ろうとしたのであった。
寺から顔立ちの整った利口そうな使者が出てきてその使者に萬崎達は後の将軍になる者の部屋まで通された。
萬崎と経丸と片倉は三人で将軍の部屋に入って行った。
部屋に入るとそこには太った体つきの男が偉そうな態度でふんぞり返っていた。
萬崎達はその男に丁寧に頭を下げた。
「ほれ、お主達顔をあげよ」
萬崎達は後の将軍に言われた通り頭を下げた。
「この度は兄上様が亡くなられてご愁傷様です」
のちの将軍は全く興味なさそうな顏で
「あー、死んだな兄貴は。まぁ今日は暗い話はよそうじゃないか」
「すみません」
「お主最近活躍してるらしいな、強いという噂は聞いておるぞ」
萬崎は謙虚に
「言えそんなことはありませぬ」
「そういえばお主の隣のおなご初めて見る顔だ、お主の妻か?」
「いいえ、私は大多喜城城主天羽経丸でございます」
「ほぉーおなごの城主か、珍しいな」
「はい」
「で、今日は何をしに来た?」
「稲毛様を将軍にして差し上げたいと思いまして」
「我を将軍に?」
「はい、ぜひ将軍になっていただきたい」
「おー、やっと将軍になれるのか、やっとかー!」
稲毛は喜んで叫んだ。
「萬崎、お礼にお主に会わせたいものがいる」
「ほぉー、どなたでしょうか?」
「入って参れ」
稲毛の呼び声で戸が開いて
「失礼します」
そう言って男は頭を下げた。
萬崎は頭を下げている男に
「あれ、先ほど案内してくれた者ではないか」
「はい」
「大内勤勉でと申します」
「勤勉、いい名前だね。きんちゃんって呼ぶね」
大内勤勉は萬崎の距離の詰め方に少し戸惑いながら
「はぁ」
「萬崎、こいつを今日からそなたの家臣にしていいぞ。こいつは優秀だから何でもできるからな、これが我からのプレゼントだ」
「えっ急にこんなこと決めてしまってきんちゃんに意見聞いた方がいいんじゃないですか?」
「私は萬崎殿に仕えとうございます」
「えっ?無理してない?大丈夫?今なら断れるんだよ?」
「萬崎殿は人と違う政策をやってのけたりする、そこに私は憧れました。どうかよろしくお願いします」
大内勤勉は萬崎に頭を下げた。
「という事だ雇ってやってくれ」
「そうですか、じゃあ今日からよろしくな、ありがとうきんちゃん」
「はい」
そう言って萬崎は大内勤勉を雇うことを決めたのであった。




