ターニングポイント第79話舞妓
経丸達は萬崎にいい宿に案内された。
経丸は部屋に入ると
「うわぁーいい宿」
経丸はとても綺麗でおしゃれな宿に興奮して子供の用に無邪気にはしゃいだ。
「ホントですね殿、大きな部屋で上品で」
士郎の言葉に萬崎は真顔で
「士郎、お主は何を言っておるのだ?お主達男は向こうにある馬小屋だぞ」
「嘘―‼それはないですよ萬崎さん、こんなに部屋広いのにそれはおかしいですよ」
すがりつく士郎に対して萬崎は間を置いて
「冗談だ」
士郎は驚きながら
「その顔で冗談言うんだぁー」
萬崎は士郎を思いっきり睨み付けて低い声で
「何だと、ならばこの冗談本気にしてやろうか!」
士郎は萬崎に睨まれて怯えながら
「すみません、すみません」
と慌てて謝罪した。
「今度からは言葉には気を付けろよ」
「はっ、はい」
この一連の出来事で天羽家の皆も萬崎に恐怖を感じ場が凍り付いた。
萬崎は怯える士郎の頭を軽く叩いて
「やーい、やーいビビってやーんの‼」
「へ?」
「俺がそんなことで怒るわけないだろ、ドッキリよ」
「なんだぁー」
士郎はホッとしてへなへなと座り込んだ。
天羽家の皆もドッキリとわかってホッとした。
萬崎は士郎の反応を見て大笑いしながら
「士郎、お主面白いなぁ」
「萬崎殿、演技にしてはガチすぎますよ元から恐い顔してるんですから」
萬崎は物凄い形相で士郎を睨み付け
「俺の顔って恐いのか」
士郎はしまった調子に乗って本音を言ってしまったと思い震えながら
「いえ、その・・・」
萬崎はいきなり大声で
「がおぉー‼」
「うわぁぁー‼」
士郎は驚いて飛び跳ねて天井に頭をぶつけた。
士郎の反応を見た萬崎は腹を抱えて大笑いし
「士郎、お前面白いわ。俺お前の事気にいったよ」
士郎は拗ねた感じで
「それがしは萬崎殿の事よく思ってませんけどね」
萬崎は士郎の生意気な態度にも笑いながら
「経丸殿、こんな正直者で面白い家臣がいていいですね」
「萬崎殿にそう言っていただけて光栄です」
笑顔で部屋を出ようとする萬崎に経丸は
「萬崎殿、わざわざ私達にこんないい部屋に泊まらせてくださりありがとうございます」
この経丸の言葉に萬崎は振り返って経丸の手を取って笑顔で
「今後もよろしくな」
「はっはい」
萬崎が部屋を去った後凛が笑いながら
「兄貴、萬崎殿にめちゃくちゃ遊ばれてたね」
士郎は強い口調で
「あいつヤバいだろ、あんな事すんの人間じゃないよ、あれは魔王だよ!」
士郎は興奮気味で萬崎の悪口を言っているとスッと戸が開き
「俺は魔王か」
士郎は萬崎の登場に驚き慌てて
「萬崎殿!いつから聞いてましたか!」
萬崎は士郎の口調を真似しながら
「あいつヤバいだろ、あんな事すんの人間じゃないよ、あれは魔王だよ!から」
士郎は頭を抱えながら
「全部じゃん」
士郎の困った反応に萬崎は笑いながら
「お前、俺の事魔王って言うなんてセンスがいい。俺今度から家臣に魔王って呼ばせよう」
「えっ!本気で言ってるんですか?」
「本気だよ、魔王ってかっこいいもん」
萬崎はそう言って部屋を出て行った。
士郎は萬崎が出て行った後
「ここにいると寿命が縮む皆外へ出ようぜ」
「そうですね、せっかく京都に来たんですから京都見物しましょうか」
経丸達は京都見物をする事になった。
京都の栄えている市場に行くとひのが珍しく大量に品物を買いこんで来て少し興奮状態で
「殿、この甘い金平糖ってお菓子とても美味しいですよ。それにこのわらび餅も八ッ橋ってお菓子もとても美味しいです是非食べてみてください」
「いいんですか」
「もちろんです」
「ホントだ、美味しい」
ひのは笑顔で
「美味しいですよね、皆さんも一つどうですか」
皆ひのから貰い京都のお菓子を楽しんだ。
士郎達はお菓子を食べた後もしばらく歩いていると
「うわぁー、士郎さん見てみてあの女の人凄い顔が白い。すげぇエグイテー」
士郎は呆れた感じで
「海老太郎、お前その人は舞妓さんだよ」
「舞妓さん何それ?」
「舞子さんも知らないのか情けないなぁ」
「わからないとヤバいですか?」
士郎はさっき萬崎に自分が騙されたから今度は自分が騙してやろうと思い真顔で
「ヤバいよ、京都では舞妓さんを知らない人は処刑されちゃうんだよ」
海老太郎は驚いて大きな声で
「えぇ、えー‼それじゃ僕処刑されますか」
「まぁこのまま知らないとね」
海老太郎は涙目になりながら
「士郎さん、一生のお願いです。何でもしますから教えてください。僕処刑だけは嫌です」
海老太郎の反応を見てニヤニヤしている士郎の頭を凛が軽く叩いて
「兄貴、嘘は教えない!」
「えっ?嘘なの凛ちゃん」
「嘘だよ、知らなくても処刑なんかされないから」
「あっ、てことは騙したな士郎さん」
士郎は笑いながら
「いや、まさか騙されると思わなくて」
「兄貴最低、自分が萬崎殿に騙されたからって自分より素直な海老太郎君を騙して」
話を聞いていた経丸達は口々に
「士郎最低!」
片倉は少し笑いながら
「士郎君それはさすがに海老太郎が可哀そうだよ」
稲荷は呆れた感じで
「士郎最低だな」
ひのも真顔で
「自分より頭の弱い海老太郎さんを騙すなんて最低ですね」
士郎はひのの言葉を聞いて
ひのちゃん、さりげなく海老太郎をディスってるよ。君の言葉は
「これ僕も怒っていいんですかね」
海老太郎の問いかけに経丸は
「もちろん怒った方がいいよ」
「頭の弱い僕を騙すなんて卑怯です。もうしばらく士郎さんとはしゃべらないです」
士郎は
あっ自分で自分の事頭弱いって言っちゃうんだ
士郎が皆に叩かれているところへ
「すみませーん」
舞妓さんが経丸達に声をかけて来た。
経丸は丁寧な口調で
「何ですか?」
「あなた達可愛いから舞妓の格好してみない?」
女性陣は驚いて
「えっ?」
「ちょっとだけ着てみない京都に来たいい思い出になるわよ」
急に言われて戸惑う女性陣
士郎はしめた思い
「せっかく京都に来たんだから来てみればいいじゃん」
「兄貴、自分が叩かれてるから誤魔化そうとしてるな」
「海老太郎、皆似合うと思うよな」
海老太郎は笑顔で
「はい、似合うと思います」
凛は心の中で
海老太郎君何で士郎に味方しちゃってるのよ、さっきしゃべらないって言ってたじゃない
「あーあ僕士郎さんとしゃべっちゃった、まぁいいや仲良くしましょう」
士郎は笑顔で
「そうだな、仲よくしような」
二人は固い握手を交わした。
「まぁ、とりあえず記念だからいいんじゃない」
舞妓さんも士郎に同調するように
「そうです、あなた達可愛いから似合うから大丈夫ですよ」
こうして経丸達は舞妓の格好をすることになった。
士郎達四人は経丸達が着替えを待っていた。
海老太郎はまるでサンタの正体を知らない子供のクリスマスイブの夜の様子くらいワクワクしながら
「うわぁー、皆どんな姿になるんだろう」
「さっきの舞妓さんみたいな姿になるんだよ」
「チビる、お前言い方が冷たいよ、こんだけ海老太郎がワクワクしてるんだからもうちょい夢のあるような言い方してやれよ」
「なんだよ、夢のあるような言い方って」
「もうそれは、それは美しい姿になるんだよ」
「ねぇ、それ夢のある言い方か?」
「はい、とても夢があります。殿達はきれいな着物を着るんですね」
「ほれ、見ろ夢があるってよそれがしの言い方は」
稲荷は吐き捨てるように
「あほらしい」
稲荷のこの一言に頭来た士郎は
「なんだと!この劇薄存在感」
「あっ、お前俺が気にしている事を」
海老太郎はしどろもどろしながら
「いや、存在感ありますよ。大丈夫です」
稲荷はいきなり大きな声で
「俺はどうせ存在感ないんだ‼あんま話さないし劇薄存在感なんだ‼」
片倉は稲荷の背中をさすりながら
「おい、町の人皆見ている。ちょっと落ち着け」
士郎も同調するように
「そうだよ、今ここでの存在感はお前が一番だよ」
「ジャガイモ、俺を煽ってるな」
「お前、それがしの事をジャガイモだと・・・」
士郎と稲荷、睨みあう二人の間に入った海老太郎は大きな声で
「やめましょう喧嘩は!やめて仲よくしましょう」
士郎は必死に喧嘩を止めようとする海老太郎の姿を見て
「仕方ねえ、海老太郎に免じて今日のところはやめてやるか」
「そうだな、今日のところはやめようか士郎」
海老太郎は二人の言葉を聞いて笑顔で
「はい、じゃあ握手」
海老太郎は士郎と稲荷に握手をさせたのであった。
「皆さん、お待たせしました」
そう言って着物を着て顔を真っ白にした経丸と凛とひのが出て来た。
舞妓さんが
「どうですか男性陣の皆さん」
海老太郎が大きな声で
「凄く似合っていると思います」
片倉と稲荷も海老太郎に同調するようにでも少し照れ臭そうに
「とても似合っていると思います」
士郎だけは何も言わず無意識に経丸にずっと見とれていたのであった。
舞妓さんが
「この格好で京都の町並みを楽しんで来て下さい」
女性陣は慌てて
「もう着替えますよ」
「いや、萬崎殿がせっかく京都に来たんだから経丸様達に素晴らしい思い出を作ってもらおうって事で舞妓の格好をさせるように私達は言いつけられたんです」
みんな驚き声を合わせて
「萬崎殿が!」
「はい」
士郎は嫌味っぽく
「なんだ、魔王はおなごにどんだけ甘いんだ」
経丸達は舞妓の格好で京都見物をすることになった。
経丸は恐る恐る士郎に
「この格好で歩いていて変じゃない?」
士郎は照れて下を向きながら
「変じゃないよ、こういう格好の経丸、初めて見たからもうちょい見ていたい」
経丸は士郎の言葉に驚いて
「えっ?」
海老太郎は士郎の言葉に感動し手を叩いて
「士郎さん、めちゃくちゃアツい事言いますね」
士郎は顔を真っ赤にし慌てながら
「バカ、ちげぇよこんな真っ白い顔。面白いだろ」
経丸は士郎の言葉に頭に来て
「士郎、あんたは萬崎殿の爪の垢を煎じて飲め」
「バーカ、飲むわけないだろそんなもの」
「士郎ってホント最低‼」
こうして士郎達は楽しく京都見物をするのであった。




