ターニングポイント第78話京都
「重い重い、もう無理もう無理」
「士郎君うるさいぞ、黙ってもて殿が気を使ってしまうだろ」
「いや、これは経丸の体重が重いとかじゃなくて普通にこんなに長い距離を持つのは重いよ」
「周りを見てみろ、士郎君だけだぞ文句言ってるの」
「ずっと変わらないで持っているのそれがしらだけだもん」
「あーいえばこういうなぁー」
片倉はため息をついた。
「だいたい途中でチビると海老太郎に変わってもいいだろ」
片倉は稲荷と海老太郎に聞こえないように小さい声で
「あの子達はそそっかしいからこの籠を落すかもしれないだろ」
「そうかぁ、じゃあそれがしらが持つしかないなぁ」
「だろう、士郎君は一番殿から信頼されているから殿も安心して籠に乗っているんだぞ」
「そっか、それがし一番信頼されているのか」
士郎は上機嫌で
「おい、チビる、海老太郎それがしが一番殿に信頼されているらしいぞ。敬え」
片倉は士郎に見えないように
「このバカをおだてるために言った言葉です気にせず」と書いた紙を海老太郎と稲荷に向けて掲げた。
その紙に書いてある言葉を海老太郎が声に出して読もうとしたのを稲荷は慌てて口を抑えて止めたのであった。
そうこうしているうちに
「おっ、京都が見えて来たぞ」
萬崎は興奮気味に大きな声で家来に向かって叫んだ。その声を聞いた士郎は興奮気味に
「片倉さん、京都が見えたって、最後の力を振り絞って走るぞー」
「おい、無茶するな士郎君!おい、おい!」
士郎が走り出そうとしたのに対して片倉は体重を後ろにかけて止めた。
すると士郎は転び持ち手から手が離れてしまい籠が士郎側地面に落っこちた。
うわぁー、ドッタ
「いってて、いきなりどうしたんですか」
いきなり籠が落ちたので腰を地面に打った経丸が籠から出て来た。
「殿!大丈夫ですか」
片倉はすぐに経丸のところに駆け寄った。
「大丈夫です、ちょっと打っただけですから」
「経丸、ごめんそれがしが興奮して走ったばかりに片倉さんは全く悪くないからそれがしが全部悪いから」
経丸は士郎を睨み付けながら
「うん、知ってるよそんなこと」
ヤバい、経丸めちゃくちゃ怒ってる
士郎は経丸の怒りを誤魔化すように経丸の両肩を揺さぶって
「経丸、怒っている場合じゃないぞ、見てみろ京都だぞ」
「士郎、誤魔化さないで」
士郎は素直に
「ごめん、お詫びは何でもするから」
「じゃあ、一時間かけて私の全身マッサージして」
「えー!一時間も!めんどくさい」
「断る権利は?」
「ありません」
「よし」
「そんなことより、見てみろ京都だぞ‼」
「凄いね、京都って初めて見たこんなに美しい町並みなんだね」
「なぁ、凄い美しいだろ。さすが都と言われるだけある」
経丸は大きく伸びをして感慨深い感じで
「士郎、私達ホントに京都まで来ちゃったんだね」
士郎は笑いながら経丸の肩を叩いて
「そうだよ今さら何言ってんだよ」
山の上から見える京都の町並みを見て改めて
「やはり、京都は凄いところなんだな」
経丸はこの世の大名なら誰もが望む京都への上洛を行っている萬崎を改めて凄いと思った。
そして萬崎軍は無事京都に着いた。
「いやぁー長い旅だったなぁーしかし天ちゃん久しぶりの二人乗りは楽しかったなぁ」
「はい、智君私も楽しかったです」
「殿それより奴らはどうするのですか?」
萬崎はため息をつきながら
「爺や、お主は気が利かない奴だなぁ。せっかく夫婦水入らずだったのに」
「すみません、しかし」
「わかった、わかった」
萬崎はそう言って経丸達のところに向かった。
「うわぁー重かったぁ」
そう言って士郎は片倉と共に丁寧に籠を降ろした。
「片倉さん、士郎ありがとうございました」
「ホントだよ経丸、これくそ重かったんだからね、何回投げ捨てようと思ったことか」
経丸は笑顔で
「でも士郎、一回私を投げ捨てたではないか」
士郎は経丸の笑顔と全くあっていない恐い口調にたじろぎながら
「それはその、すみません」
士郎の反応に経丸が笑い皆も笑った。
天羽家が団らんしている元へ
「皆さん、長旅ご苦労様です」
経丸は立ち上がり
「萬崎殿、籠や馬を貸していただきありがとうございました」
萬崎は礼を言われて少し照れながら
「まぁ経丸殿、あなた方おなごが喜んでくれてよかったよ」
士郎は萬崎に馴れ馴れしく
「今度は男にも優しくしてください」
士郎の頼みに萬崎は笑顔で
「まぁ、それは無理だな」
「そんなぁー」
皆が笑った。
無事に京都に着いた萬崎軍と士郎達彼らは京都でどう過ごしていくのだろうか




