ターニングポイント第77話対面
「お主が天羽経丸か」
「はっはい」
経丸は警戒しながら答えた。
「お主、殿なのに女子なのか?」
「はい」
萬崎は経丸の手を取った。
その瞬間片倉は刀に手を置いた。
「おなごなのに殿をやっているとは苦労されたでしょう、よしあなたはおなごだから籠に乗ってくだされ」
「殿、何を申されますか⁉」
「爺や、黙っておれ」
萬崎は籠に向かった。
「天子悪いが籠から出てくれぬか」
天子は何かを悟ったのか素直に
「はい、わかりました」
「ありがとう天子」
萬崎は経丸に
「お主は籠に乗ってください」
片倉は萬崎を睨み付けながら
「萬崎殿、何をたくらんでおるのですか」
萬崎は笑いながら
「何もたくらんでおらん、お主達は俺の上洛に付いてきたいのだろここから道はまだ長いおなごには優しくすべき違うか?」
「ならばその籠私と士郎に運ばさせてくだされ」
「おー、いいよ、いいよ」
素直に応じる萬崎に片倉は「ありがとうございます」と言って一礼して士郎を引っ張って行った。
「殿、私はどうすれば?」
「お主は俺と共にこの馬に乗るぞ」
天子は嬉しそうに
「はい」
萬崎は凛とひのを見て
「あっちょっと待った、お主達もおなごだからな」
「飯田、禿げ太郎お前ら馬から降りろ」
その言葉を聞いて爺やは遂に怒った。
「殿!それはやりすぎです。このおなごのためになぜ我らの家臣が馬を譲らないくてはならないのですか」
「おなごだから!男はおなごに優しくする。違うか?」
「しかし」
「しかしじゃない俺の言うことが正しい、お前ら爺やはほっといてさっさと馬を譲れ」
萬崎は鋭い眼光で飯田と禿げ太郎を睨み付けた。
萬崎に恐れおののいた二人は素早く馬を譲った。
凛は遠慮して
「萬崎様、これはさすがに悪いですから私達歩きますから」
ひのも凛に同調するように
「そうです、私達歩けます歩いたほうがお腹が空いて京都の美味しい物たくさん食べれますから」
萬崎は優しい表情で
「おなごは遠慮するな、さぁ乗れ」
萬崎は凛とひのを丁寧に馬に乗せた。
「では行くぞ」
萬崎の号令で萬崎軍は動き出した。
「士郎君持つぞ、せぇーの」
片倉の合図で二人は籠を持ち上げた。
「重いよ片倉さん、何でそれがしを指名したんだ」
片倉は低い声で
「重くないだろ士郎君」
「こんな重いの持って移動なんて、無理だぁー!最悪だぁー!」
「だから、全然重くないだろ」
「いや、こんなに重いんだ、これは少し経丸にダイエットさせた方がいいね」
「士郎君!殿に失礼な事言うな」
経丸は申し訳なさそうに
「すみません重いですか?片倉さん」
「いえ、重くないですよ」
「いや、重いって海老太郎、チビる持ってみ重いから」
片倉は士郎を睨み付けながら
「重くないから二人は持たなくていい」
片倉に言われて持とうとしない海老太郎と稲荷に士郎は
「いや、持ってみろよ。重いから」
「士郎、そんなに持ちたくないの?」
「いや、そりゃ重いからね持ちたくなんかないね」
経丸は申し訳なさそうに
「ごめん、そんなに持ちたくないなら私降りるよ」
えっ、なんでこんなに素直なんだ、怒って来ると思ったのに
経丸の表情と言動に士郎は少し慌てながら
「いや、鍛錬になるからちょうどこの籠を持ちたいと思っていたんだよ」
経丸は優しい表情で
「ありがとう、士郎」
経丸の言葉に士郎は照れながら
「あ、あ」
と答えるのが精一杯だった。
片倉は士郎の言葉を聞いて小さな声で吐き捨てるように
「運ぶなら、最初から余計なこと言わなきゃいいのに」
こうして文句は言ったが納得して士郎は籠を京都まで持って運ぶ事を決意したのであった。




