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ターニングポイント第70話工作 

萬崎は皆を広間に集めて強い意気込みで


「また俺らは岐阜の稲葉山城に攻め込む」


 爺やが手をあげて


「今回はどのように」


「相手が稲葉山城に籠城をして俺らが去るのを待つと思うから俺らも敵の籠城に対抗するよう稲葉山城の前に城を築く」


「しかし敵の領地の前に城を築くなど不可能です。簡単にぶち壊されますよ」


「大丈夫、ぶち壊されないように築くその策を山根君、皆に教えてやってくれ」


「はい」


 山根は地図を畳に広げ皆は地図に近づく


「いいですか?城を普通に築いたら間違いなく壊されて終わりです。長良川を使って木材を筏みたいにして運んでいきます」


 萬崎は興味津々で


「それでそれで?」


「木材はあらかじめ切りこみを入れておけば簡単に簡易的な城ができます。その城が簡易的な城か見破られないように壁は白い張り紙を張り付けて見栄えをよくします。完成したら目の前の森を伐採します…すると目の前に一日で城が現れたと錯覚した敵は戦意を喪失する事でしょう」


「ほう、なるほどなるほど」


「それと岐阜で売っている食料を二倍の値段で大量に買い占めてください」


「なぜわざわざ愛知の食糧を買わずにわざわざ敵の領土の商売を繁栄させる必要があるのだ?」


「岐阜から食料を買い占めれば敵は籠城出来なくなります」


「あーなるほど、山根君頭いいな」


 萬崎は山根の頭をゴシゴシとなでた。


「それと敵方の重臣は今の岐阜の体たらくを主のやる気のなさのせいだと思っております。その彼らをこちら側に寝返らせて見せます」


「そんなことできるのか?」


 山根孝は真剣な顏で


「はい、出来なければ萬崎家に仕えた意味がありませんから」


 萬崎は嬉しそうな顔で


「頼もしいなぁよし、これなら必ず勝てるでは山根君、早速寝返り工作頼む」

「はい、わかりました」



 自信に満ち溢れて出ていく山根孝の後ろ姿を見て萬崎の家臣達は大きな口を叩いて大丈夫なのかとざわついた。



 山根孝は敵方の自分よりも一回り以上年上の三人の重臣を一か所に集めて話し合うことにした。


 三人は山根が父側に付いて兄との戦に負けた時に兄に仕えられるように取り計らってくれた山根孝にとって恩人なのである。


 山奥の小さな小屋で


「今日はお集りいただきありがとうございます」


 山根孝は三人に向かって深々と頭を下げた。


 三人の内の一人が優しい口調で


「そんなかしこまってどうした?」


「お願いがあって皆さんに集まっていただきました」


「願い?」


「皆さんは此度の萬崎軍との戦に参戦しないでもらいたい」


 三人はこの発言に驚きながら


「何を言っておる我々は東総家の重臣、我らが戦わなければ誰が殿をお守りするとお思いか」


 山根は冷静に


「もう、あの殿で東総家は終わりです、皆さんが東総家と共に滅ぶのは私は嫌です」


「お前、殿を捨てて萬崎に付こうとしているのか?」


「いえ、付こうとしてるんじゃないです。もう萬崎殿に仕えております」


「お前、殿を切り捨てたのか」


「皆さんもわかっているでしょ、殿がこのまま支配していたら岐阜はいい国にならないことは」


 三人の内の一人が呟くような声でボソッと


「確かにそうだよな」


 山根孝はここだと思い一枚の手紙を三人の前に突き出した。


 三人は手紙の内容を読んで


「これは」


 山根孝は強い口調で


「これは大殿の本物の遺言書です」


 三人はもう一度手紙をよく眺めて


「これは間違いなく大殿の字だ」


「大殿がこのようなものを残していたのか」


「これがあるなら大義は萬崎にあるな」


「皆さん、この岐阜をいやこの日ノ本を萬崎殿のと共に変えていきませんかお願いします」


「大殿は優しかった、戦に負けるとわかっていたから俺達にあえて敵方に付けと言ってくださった。その優しい大殿の思いなら俺達が受け継がない訳にはいかない萬崎殿と共に東総家を滅ぼす!」


 残りの二人も同調するように


「そうだ、俺達も大殿の意思を受け継ぐ!」


「皆さん、ありがとうございます」


 山根孝は三人に深々と頭を下げた。

 


 こうして萬崎軍は強い味方を手に入れて決戦に臨むのであった。




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