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ターニングポイント第69話説得 

男は山奥の山根孝の家を一人で息を切らしながら訪ねゴンゴンと戸を叩いた。


 その音に反応した山根は戸を開けるとそこに立っている男の顔を見て驚いて腰が抜けた。


 その男こそが萬崎智晴であった。


「萬崎殿、どうしてここに⁉」


 萬崎は真面目な顏で


「お主を我が家臣として迎えに来た」


 山根孝は驚きながらも


「いや、私は萬崎様の家臣になることはできません」


 萬崎は強い口調で


「いや、できないじゃなくてできるようにするんだよ」


「いや、私は萬崎様の家臣にはなりません例えならなきゃ首を刎ねると言われても家臣にはなりませぬ」


 萬崎は笑いながら


「ばーか首を刎ねるとかそんなことはしないわ、でも家臣には必ずなってもらう」


「私は岐阜の東総家に仕えている身その者が敵対する萬崎家に仕えるは裏切りに値するそんなこと私にはできません」


 萬崎は得意げに


「それができるんだよ、俺には大義名分があるんだから」


「大義名分?」


「今の東総家の基礎を作ったのは天子の父上だろ」


「そうですけど」


「でしょ、じゃあこれを見て」


 萬崎は山根孝に書状を渡した。


 その書状こそが天子の父が死に際に萬崎に送った書状であった。


 山根は書状の内容を見て驚き呟くように


「これは本物」


「これで山根君が俺の家臣になる大義名分ができた。これは裏切りなんかじゃないんだ」


 山根孝は呟くように


「確かに裏切りではありませんね」


 萬崎は機嫌良さそうに


「だろ、だから俺の家臣になってくれ」


「しかし、お断りします」


 萬崎ははっ?こいつ何言ってんの?って顏をして


「何で?」


「私は身体が弱いのでもう戦はなどに関わらずゆっくりこの山奥で過ごしたいんです」


 萬崎は大声で


「わがまま言ってんじゃねぇよ‼」


 山根孝はいきなり怒鳴る萬崎に驚いた。


「誰にだって才能があるわけじゃない、しかしお前には才能がある、才能あるものはその才能を人々のために生かすのが使命じゃないのか?」


 昔天子の父に付いて兄と戦った山根はそのことを少なからず兄に恨まれていて今どんなに功績を上げても自分の才能を認められなかった山根孝は久しぶりに自分の才能を認めてくれる者に出会い嬉しくなりながらもその気持ちを押し殺して


「しかし、私はいつ死ぬかわからぬ身」


「この世の中誰だっていつ死ぬかわからぬ、けど武士として生きるなら誰かの役に立ち戦場で死ぬのが本望ではないのか」


 心打たれつつある山根孝に萬崎は


「俺はこの世から戦をなくし皆が平和に幸せに暮らせる世の中にするためにはこの日ノ本を一つにしないといけない、天下を統一しないといけないんだ山根君俺の天下統一事業を手伝ってくれないか」


 そう言って萬崎は山根孝に頭を下げた。


 山根孝は他の大名が自分の領地を守るか敵の領地を奪う事しか考えていないこの世の中で萬崎の天下統一をするというあまりにもでかすぎる目標に度肝を抜かれ自分の小ささを痛く痛感させられたのであった。


 山根孝は萬崎に頭を下げて


「私でよければ手伝わせてください」


 萬崎はニコッと笑って


「ありがとう」


「萬崎様最後に一つ質問いいですか?」


「何?」


「まさかですけどここまで一人で来たんですか?」


 強張った表情で聞いて来る山根孝に萬崎はキョトンとした顔で


「そうだけど」


 山根孝は少し震えながら


 やっぱりこの人只者ではない、本気で将来この日ノ本から戦をなくすことができるお方かもしれない


 その日のうちに萬崎と山根孝は萬崎の居城那古野城に戻ったのであった。


 那古野城に戻ると爺やがおっかない顔で


「殿、またどちらにいっておられたのですか」


「爺や、そんな説教より新しい家臣を連れて来たもてなせ」


「新しい家臣?」


 萬崎の後ろから山根孝は爺やの前に姿を現して


「今日からお世話になります、岐阜の山根孝でございます」


 爺やは驚き


「あの、稲葉山城を乗っ取った山根殿ですか?」


「はい」


「どうしてここへ?」


「萬崎殿の天下統一事業の手伝いをするために参りました」


 爺やは驚きのあまり開いた口が塞がらない


 全く状況を理解できない爺やを萬崎はほっといて


「ってことで稲葉山を乗っ取る軍議を開く山根君策はあるんだよな」


「はい、もちろん」


 この才能ある男山根孝を家臣にして萬崎家はどんどん強くなっていくのであった。







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