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ターニングポイント 第60話義父

 萬崎は自分の部屋で天子の膝の上に頭を乗せながら


「そういえば、お主最近父上に会ってないだろ、たまには会いに行くか?」

「えっ?いいのですか?」


「あー、最近落ち着いて来たからな、じゃあ明日行こうか」


 天子は萬崎の言葉に驚き


「明日‼あまりに急ではありませんか?」


「何、驚いてるんだ。善は急げと言うことわざ知らないのか?」


「知ってますけど」


「じゃあ、その言葉知っているなら大丈夫だよ」


 天子は少し呆れながら


「いやそう言う事ではないんですけど」


「とにかく明日行くぞー‼」



 次の日萬崎は五千の兵を連れて天子の父親がいる萬崎の隣の国の岐阜へと出立した。


 萬崎達は無事に天子の父親の難攻不落と呼ばれている山城の居城、稲葉山城に着いたのであった。


 萬崎と天子は客間に通されようとしたが萬崎は天子に


「先にいっててくれ俺は用を足してから行くから」


「わかりました」


 そう言って天子は客室に向かった萬崎も天子にばれないように付いて行き天子が客間の入り口を閉めると萬崎は客間の前で座り込んだのであった。

 天子は客室に入ると少し太った六十歳くらいの男がニコニコしながら


「おう、天子久しぶりだな」


「父上、お久しぶりです」


「あれ、婿どのは?」


「今、お手洗いに行っているのですぐ来ると思います」


「そっか、そっか、しかしよう来てくれたなワシは嬉しいぞ」


「私も父上のお顔を久しぶりに見れて嬉しいです」


「そっか、そっか嬉しいこと言ってくれるな」


天子の父は上機嫌になった。


「最近はどうだ、婿殿とうまくやってるか?」


「はい、殿は少し甘えん坊なところもありますけどとても優しい方なので」

「それはよかった、少しでも不満があったらすぐに言うんだぞ、その時は叩き切ってやるんだから」


 客間の前に座って二人の会話を聞いている萬崎は天子の父上の言葉にゾッとしたのであった。


 二人が楽しそうに話している時に客間の前に座り込んでいる萬崎に通りかかった天子の父上の家臣が


「萬崎様、どうなさいましたか、こんなところに座っていて」


 萬崎は慌てて大きな声で


「しっー、バカ余計な事を言うな!」


 すると客間の戸が開き天子が優しい口調で


「殿、このようなところにいてなぜ入らないのですか?」


 萬崎は苦笑いしながら


「いや、それは、そのね今入るところだったんだよ」


 バカ余計な事をしやがって、せっかくの親子水いらずだったから俺はここで待機していたのに


 萬崎は家臣を睨みつけた。


 睨まれた家臣はブルっと震えて慌てていなくなったのであった。


 天子の父上は


「婿殿、今日は娘に会わせてくれてありがとう」


 萬崎は緊張しながら


「いや、どうも」


「婿殿、うちの天子はちゃんとやってますか?」


 萬崎はさっきの会話を聞いていたので慌てた感じで声を上ずらせながら

「はい、それはもちろん僕はいつも天子様に助けられています。天子がいなければ萬崎家は成り立ちませんよ、むしろ天子様が萬崎家の当主にふさわしいですから」


 慌てる萬崎を見て天子の父上は笑いながら


「天子、萬崎殿はいつもこんな感じか?」


「いえ、違います。いつもは俺天才ウェーイウェーイって言っている感じです」


 萬崎は赤面した。天子の父上は笑いながら


「婿殿、あんまり硬くならなくていいですよ」


 萬崎は小さい声で「はい」とうなずくことしかできなかった。



 その後、萬崎と天子はご馳走を振舞ってもらい堪能した後萬崎は天子の父上に呼び出された。


 萬崎が緊張の面持ちで部屋に入ると


「婿殿、酒は飲めるか?」


 萬崎はほんの少ししか酒は飲めないのに即答で


「はい、飲めます」


 天子の父上は窓を開け嬉しそうに萬崎の盃に酒を注いだ。


「ワシは今猛烈に嬉しいぞ」


「なぜですか?」


「ワシは天子の婿と二人で飲むことが夢だったからなそれが今日叶った、お主のおかげじゃ」


「いや、僕は何もしてないですよ」


 謙遜する萬崎に


「外を見てみよ、今宵は月見酒だな」


 窓の外にはそれはきれいな満月が姿を表していた。


 天子の父上は呟くように


「天子は可愛いか?」


 萬崎は照れながら小さい声で


「そりゃ、可愛いに決まってるじゃないですか?」


 天子の父上は切ない顔で


「そっか、それはよかった。天子はなぁ昔から優しい子だったんだぞ。ワシの事を考えてくれて婿殿に嫁ぐ時も「もし父上の邪魔になるような男なら私が刺し殺して参ります」って言ってくれたくらいなんだぞ」


 えっちょっと待って、天子、俺のこと殺そうとしてたの?すげぇー恐ろしい

 萬崎はブルっと震えた。


「でも、そんな天子がさっきワシに」



 回想


「父上、私話しておかなければいけない事があります」


「なんだ、話してみろ」


「昔は私の一番大切な人は父上でした、でも今私は殿を愛しています、殿は天下統一を本気で目指している方です、その手伝いに私は人生をかけようと思っています。だから父上も協力してください」


 天子の父上は切ない顔でうなずく事しかできなかった。


 回想終わり




 天子の父上は畳に両膝をついて頭を下げて


「だから、天子を幸せにしてください」


 萬崎は泣きながら


「はい、もちろんです」


 二人はその後も酒を酌み交わした。


 この出来事で萬崎と天子の父上の絆は深い物となったのであった。




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