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ターニングポイント 第58話炎上

「殿、私そろそろ伏兵のいる場所に行きます」


「わかりました、気を付けて」


「ちょっと待って」


「どうしました海老太郎君」


「ひっのー一人じゃ心配だから僕も行きます」


「おっ、海老太郎たまにはいい案だすじゃん」


 士郎の言葉に海老太郎は照れながら


「そうですか、えへへ」


「海老太郎さんが一緒だと心強いです。よろしくお願いします」


 ひのの言葉に海老太郎は


「なんか、めっちゃうれしいです。僕頼られてるんですよね、片倉さん」

 片倉は優しい口調で


「そうだよ、頼られてるんだよ」


 経丸は真剣な顏でひのと海老太郎の手を取って


「二人とも無事帰って来て下さい」


「はい」


 海老太郎は大きな声で


「頑張ります‼」


 士郎は耳を抑えながら


「だから、声の調節しろって」


 海老太郎は大きな声で


「はい、すみません‼」


「お前、今わざとだろ」


 海老太郎は慌てたそぶりを見せながら


「いや、わざとじゃないです」


「いいや、お前絶対わざとだ」


 ひのは海老太郎の袖を軽く引っ張って


「海老太郎さん、士郎さんはほっといて行きましょう」


「おい、なんでそれがしをほっとくんだよ」


「兄貴、黙って」


「なんでそれがしなんだよ」


「皆さん、行ってきます」


 海老太郎はめちゃくちゃ小さい声で


「僕たち、めっちゃ頑張って来るから」


「おい、小さすぎて聞こえないよ」


「えっ、理不尽ですよ。士郎さんが声が大きいって言ったんじゃないですか」


「お前、声量上手く調節できないのか」


 ひのがため息をつきながら


「ホント、こだわりが強い人ですね」


「こういうのはこだわりじゃないわ‼」


「士郎君のツッコむ声の方がうるさいわ」


 士郎は膝から崩れ落ち


「片倉さん、それを言っちゃおしまいよ」


 皆は笑ったのであった。



こうしてひのと海老太郎の二人は大多喜城を出て伏兵の待機している場所に向かった。


「じゃあ、経丸それがしも大山にちょっかい出してきますわ」


 経丸は真剣な表情で


「頼んだよ士郎」


「あぁ、任せろ」


 二人はがっちりと握手をし士郎は経丸達と別れ士郎と共に行動する兵と合流し自分の気持ちと兵の士気を高めるために


「皆の者、気持ちー‼気持ちー‼」


 士郎の言葉に兵達は応えるように


「オー‼」


「皆の者出陣じゃー‼」


 士郎達は士郎を先頭に勢いよく城を出たのであった。

 

大山軍を発見した士郎は馬から降りて膝を地面につけて 


「大山暴走殿、お久しぶりです。我らは大山殿に降伏に参りました」


 頭を下げる士郎に大山は


「どうせ嘘だろ」


「本当です、我らに戦意などありません」


「では、経丸が切腹すれば攻撃をするのはやめよう」


 士郎は必死な顏で


「それだけは無理です。他の条件はないのですか」


「ない、我らが求めるのは経丸の切腹ただ一つ」


 士郎は大山暴走に向かって頭を下げながら


「それだけは無理です!他の条件をお願いします」


 大声で叫ぶ士郎に大山暴走は


「じゃあ、交渉決裂だな」


 士郎は心の中では作戦どおりと思いながらも


「お願いします、そこをなんとか」


「しつこい、皆の者かかれー‼」


 大山暴走のこの一言で大山軍は士郎達に襲い掛かって来た。士郎達は少しだけ抵抗して大多喜城に逃げ帰った。


 圧倒的兵力で士郎達を敗走へと追い込んだ


大山軍は勢いに乗って城に攻め込もうとする兵に向かって大山が大声で


「待って、一旦止まれ」


 大山暴走の命に兵達は


「総長、今こそ攻め時なのにどうして止めるのですか」


「豊影軍は天羽家の罠に引っかかって負けた今回も罠があるかも知れない。勢いだけで攻めたら痛い目に遭うかも知れないから一旦冷静になってから攻め込む」


「しかし、戦には勢いが必要です」


「確かに勢いは大事だ、しかし関東の覇者になる大山軍が万が一天羽家に負けるということがあってはならない」


「総長、考え過ぎですよ今こそ好機ですよ」


 大山は強い口調で


「勝ち急ぐな!大山家は名門だ 、どっしり構えようぜ」


 この一言で兵達はハッとし


「そうだ、総長のいう通り俺たちは名門だ、こんな小さな城など急いで落とす必要ないわ」


 落ち着きを取り戻した兵に大山暴走は


「今回は力攻めはせず兵糧攻めをする皆の者その準備を」


「はっ!」


 大山暴走が大多喜城を力攻めしないのにはもう一つ理由があった。関東制覇を目指す大山暴走は大多喜城を拠点とし大多喜城から千葉県の下半分を制覇するつもりなので大多喜城をなるべく無傷のまま天羽家から奪い取りたいのである。




 その頃大多喜城城内では


「兄貴、上手くやった?」


 士郎は得意げに


「もちろん」


「さすが士郎」


 そう言って経丸は士郎の手をぎゅっと握った。握られた士郎は経丸の手が震えている事を感じ取った。


 油を部屋中に撒いた片倉が経丸に向かって


「殿、準備が整いました」


経丸は泣きそうな顔で


「ついにこの時が来たんだね」


「殿、辛かったらそれがしが火を付けましょうか」


 士郎の言葉に経丸は


「ダメだ、私がやらないと私が当主なんだから」


経丸の頭にはここ大多喜城であった色々な思い出がよみがえってくるがそれを振り払って覚悟を決め肩を震わせながら大きな声で「今までありがとうございました」と叫びながら火の付いた木を油の染みた畳に投げ捨てた。

そして燃え盛る大多喜城を経丸達は抜け穴を使って脱出したのであった。


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