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ターニングポイント 第52話撤退

経丸は敗走の中自分の未熟さに落ち込んでいた。


 私なんかダメだ、私なんかダメだ、私がちゃんと最初から撤退と判断していればたくさんの犠牲を出さずに済んだのに


 落ち込んでいる経丸に片倉は優しい口調で


「殿、今は落ち込んでいる場合じゃありません逃げる事だけを考えないと」


 経丸は今にも泣きそうな顔で泣くのを堪え震える声で


「そうですよね」



 その頃士郎達は



 士郎は味方の兵を奮い立たせるために大声で


「ここが正念場だ、気持ちー‼気持ちー‼」


 海老太郎も「日々成長―‼」と叫びながら敵兵を打ち抜いていった。


 しかし大山軍の勢いは凄まじく士郎達は残り数十人にまで追い詰められたあげく大山軍に完全に包囲された。


 士郎はもはやここまでと思い味方に武器を捨てさせ大山軍に白旗を上げた。


 包囲する大山軍に士郎は大声で


「それがしの首と引き換えにここにいる兵の命をお助けください」


 士郎は地面に頭をつけて土下座した。


「総長、どうしますか?」


 大山乱暴はニヤリと笑いながら


「もうこれ以上の殺生はなんの意味もない、土下座している男は連れてきて他は逃がせ」


「はい、わかりました」


 士郎以外は経丸のところに向かって逃走し


士郎は大山乱暴の前に連れられた。


 士郎は大山乱暴の風貌を見て恐怖を感じたがその恐怖をほぐすために気持ちー‼気持ちー‼と心の中で叫んだ。


 大山乱暴は士郎に


「お前、名を名乗れ」


「外岡士郎」


「お前、此度の殿たいしたもんだおかげさまでお前の主天羽経丸を討ち漏らした」


 そう言って大山乱暴は士郎に饅頭を差し出した。


 士郎は警戒するような目で


「これでそれがしを殺す気か?」


 大山乱暴は大笑いしながら


「これで殺すわけないだろ、疑うなら今俺が食べてやる」


 大山乱暴は饅頭を半分食べた。


「ほれ、大丈夫だろ」


 食べかけの饅頭を差し出してくる大山乱暴に士郎は


「しっかり歯形のついた饅頭など食べたくありません」


「それもそっか」


 大山乱暴は一人で笑った。


 一人で笑う大山を見て


 なんだこいつ、変わった奴だな


 士郎は変な目で大山乱暴を見ていると


 大山乱暴はいきなり真剣な目で士郎を見て


「お前、俺の軍に入れば切腹はしなくていい入らなければ切腹どちらを選ぶ?」


 士郎は即答で


「大山軍に入ることを選びます」


 大山は落胆した感じで


「お前は仲間思いで熱い男だと思っていたのに自分のためなら仲間を裏切るんだな」


 その言葉に士郎は


「ああ、裏切りますよ、一時的にですけどね」


「一時的?」


「それがしはまだ殿を幸せにするって目標を達成してないこの目標のためならどんな生き恥晒そうがどんな汚い手を使おうが生き抜いて必ず達成してやる。だから武士らしく潔く死ぬわけはいかないんだ」


「一度裏切れば(俺に付けば)不信感が生まれて元の関係に戻れないんじゃないか」


「これを裏切りだと本気で思う奴は天羽家にはいない!!」


 大山はニヤリと笑って


「お前、面白い奴だな」


「大山様、雑用から何からすべてやりますだから命だけは許してもらえないでしょうか」


「仕方ない、人質としての利用価値がありそうだから命は取らないでやるよ」


 士郎は頭を地面につけて


「ありがとうございます」


 士郎は平静を装っているが内心は


 恐かったぁ~、なんとかひとまず助かったぁ~


 士郎はホッとしたのであった。


 こうして士郎は大山乱暴の人質になったのだった。



 

 その頃敗走時には千人ぐらいいた兵が十数人位になってボロボロになりながらもなんとか経丸達は金崎の元にたどり着いた。


 ボロボロの天羽軍とは対照的に金崎軍は経丸と別れてからわずか二日しかたってないのに三つの城を落していた。


 金崎はボロボロの経丸を見るやいなやすぐさま手当を支配し天羽家の者達を簡易風呂に入れて綺麗サッパリさせてあげた。


 その後金崎は経丸に


「何があったのですか?」


 金崎の問いに経丸は下を向いて


「すみません、今は答えたくありません」


 金崎は優しい表情で


「わかりました」


 と一言言って経丸の前から立ち去った。


 金崎は着かれている天羽家の者に消化の良いものを振舞った。


 天羽家の皆は食事を終えて休息に入ろうとしたところへボロボロの海老太郎と稲荷が現れた。


 皆は海老太郎に近づいて


「海老太郎さん、よくぞ無事帰って来て下さいました」


 経丸は泣くのをグッと堪えながら海老太郎と稲荷に抱きついた。


 稲荷は真剣な顏で


「殿、士郎が大山軍に捕まりました」



稲荷の言葉に天羽家の皆は驚きを隠せなかったのであった。


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