ターニングポイント 第50話奈月
「申し上げます、天羽軍が金崎軍と合流して攻めて来ます」
大山は驚きながらも殺気に満ち溢れた表情で
「あの野郎卑怯だな、我らにビビって金崎に泣きつきやがって」
大山は伝令に褒美を渡した後家臣達に向かって大声で
「金崎が相手なら我らは籠城する皆の者準備をいたせ」
「はい!」
俺は一歩もこの城から出ないからな
夜明け
経丸に城攻め手本を見せたいと言っていた金崎は冷静な口調で全軍に向かって
「今です」
金崎の言葉を聞いた家臣達は
「かかれー‼」
家臣達の言葉に続くように兵達が「うぉーー‼」と叫びながら一気に小田原城の支城西東京の八王子城に攻め込んだ。
沼田城では
「申し上げます、金崎軍が攻め込んで来ました」
身長百六十センチの巨乳、十九歳の女性八王子城城主奈月は冷静な口調で
「まさか、小田原城に攻め込むのではなかったのか?」
「いやぁ我もそう思っていたのですが」
「仕方ない小田原城に援軍を求めよ、それまではここで食い止めるぞ」
「はい」
金崎は皆に向かって
「いいですか皆さん、敵が大勢を整える前に城を落しますよー」
金崎軍は物凄い勢いで突撃しわずか二時間で沼田城を落した。
金崎の隣でそのすごさを見せつけられた士郎と経丸は
「凄い、わずか二時間で城が落ちたよ」
「やはり金崎様は強い、強すぎる」
金崎のあまりの強さに経丸はショックでその場に座り込んだ。
私と同じ女子なのになぜこんなにも違うのだ
経丸は自分は全く金崎に追いつけないと思うと悔しくて地面を拳でめいっぱい叩いた。
まぁ経丸からしたら金崎は憧れではあるがいつか追いつきそして超えたいという思いがある、その高い高い壁に絶望したのであった。
わずか二時間で沼田城が落ちたことは小田原城にも速やかに報告された。
「総長、申し上げます、沼田城がわずか二時間で落とされました」
大山は笑いながら
「そうか、もう落とされたか、さすがは金崎軍」
大山は刀を振り回しながら
「とりあえず今援軍に向かっている者を引き返させろ」
「はっ」
その頃沼田城では
次々と城兵が金崎軍に捕らえられた遂に
「殿、城主の奈月を発見しました」
城主の奈月は動揺もせずあぐらをかいて座り込んでいた。
まったく動揺しない奈月を金崎軍は不気味に思いながら十数人で刀を向けながら包囲した。
「これは、これは金崎殿、素晴らしいお出迎えで」
金崎は動揺しない奈月に警戒しながらも家来達に刀を鞘に納めさせた。
「あなた、この状況にビビってないのか?」
奈月は鋭い目つきで金崎を睨みつけながら
「武士が一度戦場に出ると覚悟したならどんな状況になったってビビったりしないもんだ」
「ほう、じゃあこの場で命果てる覚悟がおありって事ですね」
「その前に私と一つやってもらいたいことがある」
「何をですか?」
「私の生き死にを賭け、賭け事をしませんか?」
奈月の言葉に金崎の家臣は
「何を言ってるんだこの状況で、お前にはもう死しかないんだ」
奈月は家来の言葉を無視して
「私が負けたらおとなしくこの場で腹を切ります、もし勝ったら城兵と私を逃がして頂きたい」
この言葉を聞いた家臣はまたも
「ふざけんな!こっちになんの得もないだろうが」
奈月は嫌味っぽい口調で金崎に
「へぇー、義で動く金崎軍がまさか損得で動く大名だったとは思ってなかったわ」
金崎の家臣は「なんだと、この野郎」と斬りかかろうとするが金崎は片手で止める。
「賭け事をしないのなら最後の抵抗で私が殺されるまでここにいる金崎の兵を死に物狂いで殺しにかかりますよ」
金崎は一呼吸おいて
「それでも賭け事はしませんよ」
奈月は襲い掛かろうと腰をあげる。
金崎は奈月両肩に両手を置いて奈月の目を見て
「でも、私はあなたとこれ以上城兵を殺さない」
奈月は驚いた顔で金崎を見つめ座り込んだ。
家臣は慌てて
「殿、何を申しているんですか?」
金崎は奈月に満面の笑みで
「私はあなたの度胸と城兵を大切にする気持ちがとても気に入りました」
奈月は金崎の器の大きさにもはやかなわないと思って戦意を喪失した。
「此度の戦はもはや決着は着きました、あなたの度胸と仲間思いの気持ちを私はかいました。あなた私の家臣になってくれませんか?」
家臣が割って入るかのように
「何を申すのです殿」
金崎は優しい口調で
「静かにしててください」
「とても嬉しい話ですが城兵をほったらかしにして私だけがいい思いするのはできないだからお断りします」
頭を下げる奈月に金崎は
「誰があなただけを雇うって言いました?」
「えっ?」
「もちろん城兵や城兵の家族全員を雇うって話ですが」
「えーえー!」
奈月は物凄く驚いた。
家臣は慌てて
「殿、何をバカな事を申してるんですか?」
金崎は家臣の言葉を無視して
「奈月さんどうしますか?」
奈月は迷うことなく
「金崎様、よろしくお願いいたします」
金崎は笑顔で
「判断も早くてますます気に入りました、奈月さんこれからよろしくね」
そう言って金崎は奈月に向かって右手を差し出した。
奈月は慌てて右手を掴んで
「こちらこそよろしくお願いします」
こうして金崎は家臣を増やして次の戦に臨むのであった。




