ターニングポイント第46話本気
片倉は泣き言を言いながらも何とか富士山を二往復した。
片倉はへとへとになりながら武士疾風と共に道場まで歩いた。
「今から稽古を始めるぞ。木刀を持て」
「えっ、ホントにやるんですか?」
「俺が冗談を言うように見えるか?」
「全く見えません」
「だろ、じゃあ構えろ」
片倉は覚悟を決めて構えた。
そこから激しい稽古が始まった。
倒れる片倉に
「早く、立ち上がれ」
武士殿はどうしてあんなに早く動けるんだよ。一緒に富士山二往復したのに
あまりの辛さに思わず笑ってしまう片倉に
「おい、片倉何笑ってんだ」
「すみません」
「お前、稽古だからって攻撃を加減してるな」
「すみません。もし当たりどころが悪くて怪我をされたら」
「ふざけるな。お前は戦場でも加減して戦うのか!」
「いえ、戦場では本気で行きます」
「だったら、普段の稽古から本気を出せ!!稽古で本気を出せない奴が戦場で本気を出せると思うな」
「戦場は今まで鍛え上げたものをさらけ出すだけの場だ。大事なのは普段本気で稽古をしてるかだ」
「はい」
「片倉、俺を殺す気でかかってこい!!」
「でも」
躊躇する片倉に武士疾風は真剣な表情で
「安心しろ、俺もお前を殺す気で戦うから」
片倉は武士疾風の言葉に震えた。
片倉は気合いを入れ直して武士疾風に襲いかかる。
武士疾風は片倉の攻撃を受け止めながら
「いいぞ、片倉さっきとは見違えるほど攻撃のキレが増した。しかしまだ弱い」
武士疾風は片倉を思いっきり突き飛ばした。
突き飛ばされた片倉に武士疾風は
「おい、立て片倉」
片倉は根性で立ち上がり武士疾風に襲いかかるがまた突き飛ばされた。
「片倉、辛いか。もう立てないか」
片倉はあまりの辛さに武士疾風に言葉を返すこともできない。
辛すぎて立ち上がれない片倉に
「辛いときに自分を奮い立たせる方法を教えてやる」
「辛いときに自分を奮い立たせるのは優しい言葉じゃない」
「自分が今まで受けてきた屈辱的な過去だ!」
この言葉を聞いた片倉は屈辱的な過去を思いだし
「もう、俺は大事な人を失いたくない」
呟きながら立ち上がり
大声で怒鳴りながら
「もう、俺は大事な人を失いたくないあいつらの幸せは俺が守り抜くんだ」
最後の力を振り絞って感情を込めた一撃が武士疾風の木刀を真っ二つにし武士疾風は間一髪でよけた。
片倉はそのまま気絶して倒れこんだ。
三時間位すると片倉は目を覚ました。
「おっ、目を覚ましたな」
「すみません、稽古の途中に倒れて」
「お前、最後の一撃は素晴らしかったぞ」
「いやぁ、そうですかぁ」
片倉は褒められて嬉しくて少し笑いながら照れた。
「お前、平気そうなら一緒に温泉行かないか?汗だくで気持ち悪いだろ」
「そうですね。ぜひ行きたいです」
片倉と武士疾風は温泉に入った。
武士疾風は片倉の背中を流しながら
「お前、絶対に俺より強くなるよ」
片倉は笑顔で
「ホントですか?私褒められると困っちゃうなぁ」
「困っちゃうのか、お前面白いなぁ」
二人は笑いあった。
温泉から上がると片倉の前にはご馳走が用意されていた。
ご馳走の凄さに片倉は思わず笑ってしまいながら
「すっ、凄いご馳走ですね」
武士疾風は優しい表情で
「修行は疲れるだろ。いっぱい食って栄養付けろ」
「はい、わかりました」
片倉の修行は四ヶ月も続いたある日
「武士疾風殿、片倉様宛にお手紙が」
家来から片倉宛の手紙を受け取った武士疾風はそのまま片倉に渡した。
片倉はその手紙を読んで
「武士殿すみません。修行を打ち切ってもよろしいでしょうか?」
「どうした?何かあったのか」
「天羽家が大山家と戦をすることになりました」
「それは一大事じゃないか」
「はい」
「すぐに行ってこい」
「ありがとうございます」
丁寧に頭を下げて行こうとする片倉に
「あっ、ちょっと待ったこれを持ってけ」
「こっ、これは武士殿が大切にしている刀じゃありませんかそんな代物もらえませんよ」
「俺、お前と修行して楽しかった。だからこれはお礼だ」
「いや、こちらこそ修行に付き合って頂いてこちらがお礼をしないと行けないのに」
「じゃあ、今度さ、酒を奢ってくれよお前と飲んでみたいからさ」
「わかりました。私も武士殿とは一度酒を飲んでみたいので必ず飲みに行きましょう」
「じゃあ、気をつけてな」
「はい、ありがとうございました」
こうして片倉の修行は終わったのだった。




