ターニングポイント 第35話判断
春日山城の天羽家が借りている一室で天羽家の皆は各自戦の格好に着替えている時片倉は心配そうに
「殿、大丈夫ですかお体は?」
「ご心配おかけしました」
「戦で緊張されてるんですね、私達がついていますから大船に乗ったつもりで」
経丸はまさか士郎と風呂に入ったから興奮してのぼせたとは言えずに
「はい、皆さん頼もしいから安心しました」
「経丸、それがしの船はでかいからなぁ安心だな」
「士郎の船は泥船でしょ」
「なんだとこの野郎‼」
皆笑った。
片倉は冗談の言えている経丸を見てほっとした。
片倉は皆の談笑が一段落したときに
「いいですか、皆我らは援軍という気持ちは捨てて主力と思って戦いに挑みましょう」
皆は声を揃えて
「はい!」
皆円陣を組んで
「片倉さん気合を入れるためいつものつまんないギャグお願いします」
片倉は笑いながら
「つまんないとは失礼だな、士郎君」
「いいから早く」
「新潟だけにこの戦ニッ勝ったー!」
士郎は真顔で
「何言ってんですか?」
片倉は恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら
「俺何言ってんだろう」
経丸は大声で
「大多喜―‼」
「魂‼」
天羽家の皆が気合を入れた後スッーと戸が開き
「経丸さん」
「金崎様」
「ただいまから松本軍の進軍を止めるため長野県、川中島に向かいます」
「はい、わかりました」
経丸は皆の方向を向き真剣な表情で
「皆、金崎様について行きますよ」
皆は声を揃えて
「はいっ‼」
身支度を整えて城を出ようと廊下を歩いている時経丸は片倉の耳元で
「片倉さん、さっきはありがとうございました、不安が取れました」
片倉は優しい表情で
「これで殿は無敵ですね」
金崎は決戦の地川中島に向かった。この川中島は金崎家と松本家の領地の間にあり中心に三本の川が流れている盆地ある。川中島の中心から東に松本軍の陣営となっている海津城がある。
松本軍陣営では
「お屋形様、金崎軍が遂に動き始めました」
「そうかぁやっと動いたかぁ、敵兵の数は」
「ざっと一万三千にございます」
松本徳博は兵の数を聞いてビックリして
「一万三千⁉、我らより七千も少ないのか」
周りにいた家臣達が
「我ら最強の騎馬軍団を舐めてるのか金崎は!」
騒ぎ立てる家臣達に松本徳博は低い声で
「一旦落ち着け」
この一言で家臣達は静まり返った。
「少し、席を外す高尾ついてこい」
「はい」
松本徳博は軍師の保守幹介を個室に連れて行った。
「金崎軍はここ海津城に必ず攻めてくる、ここで籠城すれば兵の少ない金崎軍など返り討ちにできると思っているが高尾はどう思う」
「一か月も前から海津城で待機をしていた兵達は戦はまだかとイラだっています。ここで籠城を選択すれば士気は下がり家中は分裂する可能性があります」
「ましてや自分達最強の騎馬隊が馬鹿にされたのに決戦を挑まないとなればお屋形様を臆病者だと思い離反する者が相次ぐでしょう」
松本徳博は顔をしかめながら
「ってことは決戦を挑めって事か」
「はい」
「しかし、金崎は戦の天才だ。そんな相手とまともにぶつかって大丈夫か?」
「お屋形様は慎重過ぎます。我らは最強の騎馬隊なんですよ、蹴散らしてやりましょうよ」
松本は一呼吸おいて
「わかった、全軍率いて八幡原で金崎を迎え討つぞ」
松本軍は海津城を出て八幡原に進軍しそこで陣を構えた。
八幡原に進軍した松本軍の情報を聞いて金崎は
「よし、皆さん今から妻女山に行きますよ」
金崎の家臣は慌てて
「妻女山は裸山じゃないですか松本軍に包囲されたら終わりですよ」
妻女山は松本軍の陣営の南に位置する小高い裸山なのである。
金崎は家臣の肩をポンと叩き
「松本徳博はとても慎重な男です、絶対に勝てると思った戦しかやらないだから私が圧倒的不利な状況にならないと決戦にならないんですよ」
そう言って金崎はグビっと酒を飲んだ。
金崎軍が裸山の妻女山に陣を取ることで数の多い松本軍は圧倒的に攻め込みやすくなるのである。
「しかし、不利な状況になって最強の騎馬隊松本軍に勝てるんですか」
金崎はグビっと酒を飲んで
「勝てますよ、私は毘沙門天の化身ですから」
酒を飲む金崎に家臣は不安そうに
「殿、まさか酔っぱらってるんですか?」
「私は酒は飲みますが酒に飲まれた事はありませんよ」
金崎はそう言ってまたお酒を飲んだ。
その姿を見て家臣はとても不安なのであった。
その頃松本軍陣営では
伝令が慌てた感じで
「お屋形様‼」
松本は伝令を見て少し不安な声で
「どうした?」
「金崎軍が妻女山に陣取りました」
松本徳博は驚いた表情で
「まことか‼」
隣にいる保守幹介は首を傾げて
「おかしいですね、我らよりも人数が七千も少ないのにあんな攻めるのにも守るのにも不利な場所に陣を置くなんて」
「そうだな、金崎は何を考えているのか」
不安そうな表情の松本に保守は
「お屋形様、私に策があります」
「なんじゃ」
「啄木鳥戦法でございます」
「何じゃ?啄木鳥戦法とは」
「啄木鳥は木の中に入った虫を取るのときあえて穴と反対側を突っつきます。そして突っつく音に驚いて穴から飛び出した虫を食べるのでございます」
「つまり金崎を裏側から襲いそれに驚いて逃げ出した所を表で待ち構えていればよいということか」
「さすがお屋形様、その通りでございます」
松本は自信をもった表情の保守幹介を見て
「お主がそこまで自信があるならこの策でいこう」
「はい」
松本は保守幹介が策を考えてからは一回も負けたことがないから保守幹介を完全に信用しているのであった。
「まだ動かないなぁ松本は」
そう思っている金崎の横で海老太郎が士郎に
「ねぇ、士郎さんあっち火事かなぁ、大丈夫かなこっちまで火が燃えてこないよね?」
凛が割って入るように
「違うよ、海老太郎君あれは松本軍の食事の支度の煙だよ」
「そうなんだぁ、凛ちゃん僕火事だと思ってたよ」
凛は少し笑いながら
「全くあわて者だね、海老太郎君は兄貴に似て」
「それがしに似てるって、よかったなぁ」
海老太郎の肩に手を回す士郎に対して海老太郎は真顔で
「えっ、なんかそれは嫌だな」
「お前失礼な奴だな」
海老太郎は慌てた顔で
「いや、そんなつもりじゃ」
「じゃあどんなつもりだ‼」
士郎は海老太郎の頭を拳でごりごりした。
「やめな、兄貴やめなさい」
凛は士郎を止めた。
「でも、あの煙凄い量だから雲ができるかもね」
海老太郎の言葉を聞いて金崎は
煙凄い量、食事の支度。あっ、わかった
「皆さん、旗をここにたててここを降ります」
金崎の家臣が
「殿、いきなりどうしされましたか?」
「わかったんです、相手の策が!」
金崎はひらめいた。このひらめきが果たして吉とでるか凶とでるか
この戦の大きなターニングポイントになるであろう。




